2019年10月10日木曜日

銀行も保険会社もそして証券会社もさようなら!


金融の世界はさまざまな場面でAIが席巻しています。

そもそも金融の世界は情報産業なので、コンピータとの親和性がすこぶる良いのです。

銀行などでは、誰かさんの口座の数値を、足したり引いたり、利子分を掛けたりして手数料をいただいていました。

このような操作はコンピータがもっとも得意とする分野であり、かえって人間が介在すると、計算間違いや、変な操作をして横領などが発生します。

したがって今金融業界は大リストラ旋風が吹き荒れています。

加えて政府挙げてキャッショレス化を進めていますから、銀行窓口で現金を引き出す人は絶滅危惧種となりそうです。

一方銀行のビジネスモデルは、短期のお金を集めて長期で貸し付けし、利ざやを稼いでいました。

しかし家計金融資産1859兆円は預貯金に滞留し、銀行はこの運用先に苦慮しています。

なぜなら借り手側の企業は内部留保が充実しており、また株式や債券の発行により金融市場から直接資金を調達しているため、つべこべうるさい銀行が敬遠されています。

そして頼みの綱の日本国債はマイナス金利ですから、これまでの銀行のビジネスモデルは崩壊しつつあります。

保険会社にしても、ALM(Asset Liability Management)の考え方にもとづき、長期の負債(保険契約)と長期投資(責任準備金の運用)の利回りをバランスさせなくてはなりませんから、日本国債のゼロ金利は深刻な問題となっています。

参考
2020年1月からついに標準利率(保険会社が予定利率を設定する際の基準)が0%になります。つまり「円建ての終身保険」は貯蓄性がまったくなくなってしまうのです。したがって明治安田生命は、先行して10月からこの種の保険の取扱を休止しています。またソニー生命は11月から円建ての学資保険の販売を休止します。

証券会社はまた違う観点で苦境に陥っています。

1つは営業が「儲かり情報」を顧客に提供し、株式などの回転売買を促して稼いでいたことに対して金融庁が「やめなさい!」と指導しはじめたこと。

2つ目は、株式などの売買がHFT(高頻度取引)によりスピード勝負の世界となったため、人の介在がじゃまになってきたこと。

したがって高齢者の取引では、昔ながらの電話対応が残るかも知れませんが、取引の基本は携帯によりポチッとするだけとなりました。

そして証券会社では不要となった人員を削減し、ほとんどすべてのシステムをAI化する事で大幅なコスト削減ができるため、手数料削減競争が一段と加速しそうです。

参考
日経記事より
チャールズ・シュワブは、10月7日から米国株などの取引手数料を無料にすると発表した。この影響により、今後手数料値下げ競争が激化するとの見方が出ている。


最後に、金融機関の存在意義は「決済」にあると言っても過言ではありません。

この決済は、同一行内はもとより、日銀、外銀等との連携により日々行われており、そのためシステムの統合と接続に膨大な手間と経費が費やされています。

システム間の連接は、メーカーの違いなどにより、それこそ気が狂うほどの手間暇のかかる作業となりますが、この煩雑なシステムが将来ブロックチェーン技術により、スッキリと解決されそうです。

なにしろ全ての決済がパソコンをネットに接続するだけでできてしまうのですから、銀行も日銀もFRBも必要なくなってしまいます。

仮想通貨が流通する世界では、中央銀行が通貨を発行する必要も無く、口座を管理する銀行も不要となります。

しかもブロックチェーン技術は、子供のお小遣い程度の金額をアメリカから日本に瞬時に送金でき、そのための銀行口座を作る必要もないのです。

そうなると、やがては世界に君臨する「米ドル」が基軸通貨の地位を追われるかも知れません。

そうした未来が明るく楽しいものになるのか、巨額なマネーを操る投資会社やリブラ(Libra)を発行する(予定の)フェイスブックなどが世界を支配するようになるのか、はたして・・・




2019年9月18日水曜日

厚労省「公的年金の財政検証」を検証してみました(その2)


財政検証について検証してみました。

まず公的年金の現在の状況は、

1 公的年金の被保険者数(社会保険料を支払っている人たち)
 1号(国民年金)被保険者数    1,460万人
 2号(厚生年金)被保険者数      4,430万人
 3号(サラリーマンの妻)被保険者数 840万人
                                       合計 6,730万人

2 基礎年金受給者数(公的年金を貰っている人たち)
  国民年金+厚生年金       合計  3,590万人

3 標準報酬等及び年金の平均額
  ①現役男子の平均的な標準報酬額     43.9万円
  ②現役男子の手取り収入(可処分所得)    35.7万円
  ③厚生年金の標準的な年金受給世帯の年金額 22.0万円
    内訳    報酬比例年金額      9万円
            基礎年金 (夫婦2人分) 13万円(満額)
  ④所得代替率
  ③÷②×100%=22万円÷35.7万円×100%=61.7%

参考
なぜ現役男子だけなのかとお怒りの方もおられるかも知れませんが、社会保険や税制のしくみの大前提は、働く夫(男)と専業主婦(女)の世帯なのです。だからと言って女性に不利益があるのではなく、3号被保険者の保険料が0円(年金は1千万円以上が給付される)になっていますから、保護されている面が多いのです。方や独身世帯については扶養控除がなかったりしますから、不利です。


さて、公的年金制度を長期的に安定させるためには、
収入(保険料)=支出(年金給付)
とする必要があります。

グラフ参照 (川島FP作成)
参考
このグラフは標準生命表2018から作成しています。
10万人が生まれてから、年齢が進に従って人口が減少し、やがて0人となります。
18歳から65歳までを現役世代、65歳以降を年金世代とすると、現役世代が社会保険料を支払い(収入)、そのお金を年金世代が年金として受け取っている(支出)のが現在の公的年金のしくみです。このデータでは現役世代と年金世代の人口比は2.5対1となっています。しかし現状として18歳~22歳は就業人口が少なく、また各年代で未就業者がいますから、この比は1.9対1となっています。


また前記の式は、
(収入)被保険者数×保険料単価=年金受給者数×年金額(支出)
となります。

参考
この収支の大雑把なイメージとして、
保険料等40兆円+12兆円(税金+GPIF)=年金47兆円+積立5兆円

この式に現状の数値を代入すると、
保険料等40兆円=6,730万人×60万円(年額)
年金給付47兆円=3,590万人×131万円(年額)
131万円の年金の平均月額は約11万円(夫婦2人で22万円)となります。

注意
全体を平均化してしまうとこのような結果となりますが、年金受給者については、未納期間、免除期間などがあり、個々人の受給額には増減があります。

そこで将来を予測する上で重要となる点は、被保険者数と受給者数がどのように増減するのかです。

少子高齢化が言われていますが、出生数と死亡数が今後どのように変化するのか、予測が難しいため、財政検証では数限りない前提と組み合わせを網羅しており、アホなマスコミを尻込みさせるには十分な内容となっています。

でもはっきり言って、スプレッドシートをいくら作ったところで、予測は当たらないので、無理に熟読する必要はないのです。

以下にエッセンスだけご紹介します。

注意
示されたデータについて「これって本当」とか、「絶対正しいの?」とか疑問を持ってはいけません。「ふ~んなるほどね」程度でご理解ください。

まず被保険者数と受給者数がどのように増減するのかの見通しです。

                     川島FP作成

横軸は西暦、縦軸(左)は人数、縦軸(右)は被保険者数と受給者数の比です。

この図より2019年、被保険者数は6,730万人、受給者数は3,590万人からスタートします。

現状として、保険料を支払う被保険者数は年金を貰っている人の1.9倍(右目盛り)居られます。

つまり1.9人が60万円づつ社会保険料を天引きされ、それに税金から15.5万円、GPIFから1.5万円を上乗せし、その年に1人の受給者に131万円を年金として給付していることになります。

注意
社会保険料60万円の中には会社負担分も含まれていますから、サラリーマンの負担はより軽くなっています。

そして将来は、いずれの人口も減少しますが、現役世代の被保険者数が激減し、年金受給者の1.2倍程度になってしまいそうです。

注意
この倍率は、2049年頃から1.2倍で一定となりますが、このあたりが予測の限界で、つまりその先は「よく分かりません。」と読み取るのが正しい見方なのです。

でも将来、現役世代が減り始めたら、待機児童問題は解消されるはずですから、大学までの学費無償化も実現すれば、もしかしたら「産めよ増やせよ!」の世の中となるかも知れませんね。

さて次に、今の若い人たちが将来いくらぐらいの年金が貰えるのか?

                     川島FP作成

このグラフは、それぞれの年代の方が65歳からいくらぐらいの厚生年金(夫婦2人の月額)が貰えそうかを示しています。

例えば、今年30歳の人は65歳から夫婦2人で月額22万円を一生涯貰えるかも知れません。

夫婦共に90歳まで生きるとすると、
22万円×12月×25年=6,600万円

こんなに貰えます。(訂正、貰えるかも知れません。)

注意
繰り返しますが「これ絶対正しいの?」とか聞かないようにお願いします。

現在50歳以上の方は、年々年金額が目減りしそうです。

参考
グラフでは、30歳の人たちは50歳以上の人たちより年金額が多く、それも長期で貰えるので、年金制度は将来改善するかのように見えますが、50歳以上の人たちの標準報酬は、昭和~平成の頃に貰った給与の平均(保険料は少額)なので、所得代替率で見ると、若い人たちよりもお得な世代なのです。


以上財政検証について検証してみました。

この投稿が若い世代の方の年金財政に関するご理解促進にお役に立てるならば幸いです。

その1




2019年9月17日火曜日

厚労省「公的年金の財政検証」を検証してみました(その1)


とは言うものの、100年後を予測しようとする人は、アホか嘘つきか、狂人か占い師のいずれかであることは確かだと思います。

私は投資家としてはっきり申しますが、明日株価が上がるのか下がるのかまったく分かりません。(もっとも興味が無いというのが本音ですが。)

ですから、厚労省の財政検証では「今のままの年金制度が100年持つ。」とは言っていないのです。

厚労省ホームページより
「公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠なものです。」

公的年金制度は賦課方式なので、若い世代の支払う社会保険料をその年に高齢者への年金として支払う仕組みとなっており、このバランスをうまく取ることで「長期的な制度」にできるのです。

そのような観点から、5年に一度公的年金制度を点検し、不具合があればそれを国民に公表し、バランスの微調整について国民の理解を得るため財政検証をしているのです。

ですから正しい財政検証の読み方としては、100年先を見るのではなく、5年程度先の年金財政がどうなのかを見れば良いのです。

しかし統計や年金制度を理解しないマスコミなどのアホどもは、年金制度は100年もたないとか、破綻するとか、払い損だとかいろいろ言っていますが、その目的は「話題作り」のために書いているのです。

またそのページには銀行や証券会社、保険屋さんなどの「○○個人年金保険」「○○投資信託」「○○信託」などの商品が並んでおり、広告収入もUPするので、「年金財政の真実」はともかく、国民の不安を煽ることが目的となっており、そうすることが彼らの収入に直結しているのです。

ですから賢い国民は、マスコミなどの意見に惑わされず、公的年金制度を正しく理解しなくてはなりません。

そこでまず公的年金制度の仕組みがどうなっているのかを見てみます。

すでに「国民年金、厚生年金の研究」で年金特別会計について投稿していますが、平成29年度の年金特別会計全体として見ると、保険料等収入約41兆円に対して年金給付額が約47兆円、不足額の穴埋めとして一般会計から11.4兆円、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から納付金として約0.9兆円が支払われています。

GPIFからの納付金は僅か0.9兆円(年金給付額の約2%)程度ですから、そもそも年金財政への影響をどうのこうの言うほどのことはないのです。

参考
GPIFの稼ぐ能力は巨大であり、75年間毎年9.4兆円(合計705兆円)を年金特別会計に納付することが出来ます



これが年金財政の現状です。

いったいこの仕組みのどこが破綻するのでしょう?

少子化だからと言って保険料を支払う国民がいなくなるのでしょうか?

日本は老人しかいない国になってしまうのでしょうか?

GPIFは博打に負けてすってんてんとなるから、年金が支払われなくなるのでしょうか?

賦課方式よりも、金利が0%の積立方式がよいのでしょうか?

金融や保険のしくみを少しでもかじった人なら、このような意見がいかにばからしいものか、すぐにわかるはずです。

このブログの読者諸氏には、マスコミの偽情報に騙されないよう、この図をじっくりご覧になり、真実がどこにあるのかお考えください。


その2



2019年8月12日月曜日

株式アナリストの厳しい現実


8月7日のロイターに興味深い記事がありましたのでご紹介します。
落日の株式アナリスト、厳しい現実と生き残りの方策

以前、マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆(ひろき・たかし)氏の「相場を予想するということ」をご紹介しましたが、ファンダメンタルズ(基礎的経済指標)を分析し、株価などを予測する仕事の人たちは、もう死にそうなくらい追い詰められているようです。

まあ一般のサラリーマンに比較し高給を貰っている(らしい)ので、それも当然なのかも知れませんが、そうした人たちの現在の苦境をロイターが書いています。

要旨

1 市場予測には政治だけが意味を持つようになった
 2008年の金融危機以来、世界的な低金利が常態化し、株価を動かしているのは、個別企業の業績よりも中央銀行の金融政策(やGPIFの投資政策)となってしまった。

2 困った大統領であるトランプ氏の気まぐれなツイッターにより、株価は大きく変動し、アナリストは言うに及ばず、政治記者たちもまったくお手上げ状態。 

3 政治要因として、中国共産党の経済原則を無視した政策や、イギリスのブレグジットなどは、多分中枢の人間でも明日どうなるのか分かっていないようなので、まして政治に疎い(株式価値は素早く計算出来る)アナリストは「どうなっても俺の責任じゃない」と言いたいところでしょう。

4 株価予測にもとづき投資するアクティブ運用は、その酷い成績が知れ渡り、年々パッシブ運用に押しまくられた結果、運用資金が縮小し、ファンドマネージャーやアナリストはリストラされるか、給料が減らされているかも・・・。

5 そもそも、アナリスト・レポートを信頼し、巨額な投資をしようとするクライアントはいなくなり、レポート自体も山ほどスプレッドシートを付けてはいるが、結論は「将来は過去の延長線上にあるかもね・・・」ってことなので、わざわざレポートにお金を払う気になれないようです。

6 結論として、アナリストの企業や産業に関する高度の知識や分析力は、現在の状況において「無意味」となった。

たぶん7割ぐらいは正しい要約であり、川島FPのいい加減な追記が3割ぐらいとお考えください。

さて、これを読んでいるあなた!
有名な証券会社のアナリストの講演を、高額な授業料を支払って受講していませんか?

ネットを見て「一攫千金」を狙い、株式講座などを受講するか、DVDなどを買っていませんか?

はっきり言って、それらはすべて詐欺です。

そんなに儲かるなら、こっそりと自分だけ儲けていればよいのに、わざわざ手の内を多くの人たちに教えてくれるのは、その情報や手法では儲けられないので、素人を騙して日銭を稼ぐしか方法がないのです。

そこで、オーバーコンフィデンス(自信過剰)の投資家の皆様に是非お伝えしたいことは、チャートにしろファンダメンタルズ分析にしろ、投資の成績にはまったく結びつきませんから、時間の無駄とお考えになられたらいかがですか?

10年ぐらいすると、トランプさんや中国共産党や、ブレグジットなどは消え失せているでしょうから、今年、来年の心配をするよりも、バフェットの言うようにインデックス投信を持ち続けることが、儲けるための最善の策ではないかと私は考えます。