2010年7月6日火曜日

不動産投資はお勧めか?(その1)

7月1日に恒例の路線価が国税庁から発表されました。
東京と名古屋では下落率が20%を超えたそうです。

路線価は、税務当局が発表しますから、その目的は相続税や贈与税の算定基準を示すことにあります。
一般に実勢価格の70%程度ぐらいの感じです。
(バブル後は不動産価格の下落スピードが早く、実勢価格よりも高い時期がありました。)

路線価の基準日は本年の1月1日です。つまり前年の不動産価格の変化をまとめた結果報告です。

したがって、情報自体は1年遅れなので古いものです。
ニュ-スでは大きな下落率と書き立てていますが、元の情報自体が古すぎるので、路線価の発表で不動産価格が動くことはありません。
(東証REIT指数は値上がりしています。)

不動産売買の目安となるのは、公示価格(4月に国交省から発表)、基準値標準価格(9月に都道府県から発表)があります。

近年では、バブルの反省から、土地の生み出す将来の価値から逆算する方法(DCF法、収益還元法)により適正な価格を計算することが多くなっています。

さて、実際の不動産の市場動向はどうでしょう。
不動産価格が下がり手頃な価格となったこと、マンションなどの新築物件の供給が減ってきたこと、それとローン減税や贈与税などの税制改正と未曾有の低金利により全体的には住宅購入者も増えていますが、V字回復にはほど遠い、低位安定といったところです。

都心の傾向としては、オフィス需要の減退が著しい一方、マンション需要は都心への回帰傾向が続いており、都心の住宅需要には,根強いものがあります。

このため、「投資用マンション」販売が目に付くようになりました。

公的年金への不安や超低金利の銀行預金・ローン金利を追い風に個人投資家向けにワンルームマンションを売るものです。

たしかに家賃収入は安定し、表面利率が6%超にもなり、銀行預金よりはお得なように見えますが、1000万円を越える高額な投資となり、また「不動産」という資産の特質に起因するさまざまなリスクが付随します。

ワンルームマンションは、お客様に借りていただくものですから、建物の老朽化(美観)対策や設備の陳腐化対策をこまめに行い、価格競争力を長期間維持することで、「安定収入」に繋がるものですから、「預金」や「株式投資」などのように買いっぱなしでは利益が見込めませんし、失敗したからと言っていつでも換金できるものでもありません。

そもそも不動産価値の判断は難しいものがあります。
物件選びの目利きが必要です。

不動産は環境を買うものですから、現地も最低4回(平日、土日、日中、夜間)訪問し、周辺を観察する必要があります。

中古物件なら建物の耐震性なども注意が必要ですし、設備も最新かどうか更新の必要性はないかどうか確認しなければなりません。

最も注意が必要なことは、費用のほとんどをローンを組んで投資する場合です。
はっきり言って、借金して投資しても儲かりません。

実質利回りがマイナスになるからです。
不動産投資は、自己資金が原則と考えた方がよいと思います。

結論として、自己資金、不動産や設備、金利、税金の知識、こまめな気遣いをお持ちの方ならお勧めします。

確定申告をしたことがないようなサラリーマンでしたら、お勧めしません。

ただし、現状として、「株式」「債券」「預貯金」に比べると「不動産」投資には大きな魅力があります。
個人投資家にお勧めできる「不動産」投資を次回ご紹介します。

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