2021年5月26日水曜日

予想分配金提示型ファンドって何?

 

たこ足配当が知れ渡り「毎月決算型ファンド」から資金流出が止まりません。

参考 たこ足配当

儲かっていないにもかかわらず、毎月配当金(たこ足配当)を支払い続けている投資信託のこと。この配当金の原資は、投資家の投資元本であるため、基準価額はどんどん目減りしてゆきます。名目は配当金ですが、実質は投資元本の払い戻し(貯金のとりくずし)であり、おまけにこの払い戻しでは手数料もぼったくられています。


一方、毎月分配金がほしい投資家ニーズは根強く、この要望に応えるため、手を変え品を変え新手が考え出されています。


モーニングスターによると「予想分配金提示型ファンド」への資金流入が加速しているそうです。


毎月決算型で存在感高まる「予想分配金提示型」、資金流入加速・設定相次ぐ

参考

 「予想分配金提示型ファンド」 たこ足配当をしないことを約束した「毎月決算型ファンド」です。つまり儲かったときだけ配当しますという投資信託です。(これって普通の投資信託と同じじゃないの?)

注意

個別の投資家の取得価額(個別元本)が異なるため、高値で買った購入者については、特別分配金(たこ足配当)が支払われることがあります。


こんなものが続々と設定され、いまや51本もあり、1,387億円の純資金が流入しており、過去最高を更新したそうです。


いずれにしても、目先をちょっと変えただけで投資家は騙されてしまうようです。


では「予想分配金提示型ファンド」とはいかなるものか、その本質部分をご紹介します。


具体的には「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」をとりあげます。

このファンドの諸元は次のとおりです。


・アライアンス・バーンスタイン株式会社

  日本籍の資産運用会社


・運用資産額

  約5兆円(2021年3月末現在)


○アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信について

  (BコースおよびDコースは、R&Iファンド大賞を7年連続で受賞)


*投資対象

マザーファンドを通じて、主として成長の可能性が高いと判断される米国株式に投資(アクティブ運用)


*マザーファンド(ファンド国籍: ルクセンブルグ)

アライアンス・バーンスタイン・米国大型グロース株マザーファンド(株式98.42%)


*純資産総額

 59億2,464万米ドル(概算6,559億1,689万円)(2021年3月31日現在)


*ポートフォリオ

50~70銘柄程度


*ベンチマーク

S&P500株価指数(配当金込み)


*コース設定

A,Bコース:年2回決算、分配金あり、Aコースは為替ヘッジあり

C,Dコース:毎月決算、Cコースは為替ヘッジあり

C,Dコースの分配金は以下のとおり。


予想分配金提示型ファンドの特徴として、基準価額が一定額以下となったら、分配金が無くなるか、激減します。


参考



つまり、分配金を支払うと、ファンドの純資産が目減りし、元本の成長には不利になると言っています。


*手数料等

購入手数料   上限3.3%

信託財産留保額  なし

運用管理費用    1.727%

税金            決算するたびに20.315%の税金が天引きされる(所得税+地方税)


さてこのファンドのコース別もうかり度はどうなっているのか?


2021/5/25現在

C,Dコースは毎月分配金を支払っているため、全然基準価額が上がっていません。

一方、年2回決算のA,Bコースは順調に基準価額が上昇し、Aコースは3.5倍に、Bコースは4倍にもなっています。

この4コースとも同じマザーファンドですから、基本的な利回りは同じなのですが、毎月配当しているとロスが大きいので、複利効果が得られず、しょぼい成果しか得られません。

つまり長期でガッポリ儲けるためには毎月分配型は不向きなのです。

それに、毎月配当金を支払うたびに前記の各種手数料をぼったくられたら、ますます長期では儲からない投信となってしまいます。

したがって金融庁が「止めなさい」と言っている「毎月分配型」は看板を変えたところで、老後資金のための資産運用先としてはまったく適さないのです。

要は「ダメなものはダメ」なのです。