ニッセイ「ロングドリームGOLD3」の分析と評価
ニッセイが第一生命に対し敵対心をむき出しにして営業攻勢をかけています。
ニッセイはこれまで営業の主力は保険のおばちゃん(チョット昔っぽいかな?)たちでしたが、銀行の窓販など販売チャンネルの多様化に本気で取り組んでいます。
そうした中、銀行窓販商品として外貨建て(米ドル・ユーロ・豪ドル建て)の一時払い終身保険を7月から発売しています。
積立利率は契約時点により変動しますが、契約後はその利率が10年間保証されます。
豪ドルの場合、7月下旬の利回りは2.9%となっています。
注意
表面利率は2.9%ですが、一時払いの時点で7%も手数料がぼったくられるので、実質利回りは2.15%になってしまいます。
これって、一時払いが1000万円の場合、手数料が70万円も取られることになり、たぶん銀行には50万円ぐらいがころがり込むのでしょうから、銀行にとってはかなりぼろ儲け商品と言えそうです。(こんなに手数料がよいのですから明治安田生命の「年金ひとすじワイド」なんかほっといて、銀行はニッセイに全力投球するのは当然ですね。・・・こりゃー売れるわ!)
以前こちらに投稿していますが、内容としてはほぼ同じ商品です。(ロングドリーム・ゴールドではショボク為替手数料25銭が取られます・・・残念)
注意
中途解約時には市場価格調整率が適用されます。
オーストラリア国債などの金利が上昇した場合に債券価格が値下がりし、元本割れとなるリスクがあります。
基本的な仕組みは、
○一時払い保険料を円で入金(入金日の為替レートで換算)
(最低金額100万円、10万円きざみ)
例 一時払い1000万円、為替レート 1豪ドル=91.52円(為替手数料は25銭、50銭も取る銀行もあります。)
投資額 1000万円=109,266AU$ (この金額が死亡保険金として最低保証される。)
手数料控除 70万円(銀行とニッセイの儲け分)
積立額 930万円=101,617AU$(元本)
○101,617AU$(元本)を固定金利2.9%(7月契約の場合)で運用
10年後 135,245AU$(元本) (投資額に対する返戻率は124%)
実質利回り 2.15%
10年後の為替レートが1豪ドル=100円(円安)なら
135,245AU$×100円=13,524,500円(約350万円の利益となります)
不幸にして為替レートが1豪ドル=75円(円高)なら
135,245AU$×75円=10,143,375円(約14万円の利益)
○10年経過後は自動的にAU$から円に戻され、以後日本国内の超低金利で運用(円建終身保険)
参考
目標金額について、例えば1,400万円に設定すると、豪ドルの運用期間10年の間に超円安(1AU$=140円ぐらい)があると、この目標金額にヒットしますから、その時点で解約され1,400万円の終身保険に切り替えられます。(当然いろいろの手数料は取られます。)
目標金額を設定するのなら、
135,245AU$(満期元本)×92円(契約時のレート)=約1,244万円以上がよいと思います。
この商品の売りは「10年間固定の(高?)金利」なのですが、為替のリスクがあり、利回りも低いため、結局儲かるのかどうかは為替レートしだいとなります。(つまり主たるリターンは投機=博打で稼いでいることになります。)
外貨建て終身保険に興味のある方は、比較の対象が国内で売られている一般の終身保険や年金保険だと思われますが、FPの視点からするとそうした方々は「無知」と言わざるを得ません。
保険も金融商品ですから、選択の基準は「リスクとリターン」にあるのです。
欧米では、債券などで運用する固定金利の保険商品は、同様な仕組みとなる投資信託(外国債券)と比較することが常識となっています。
この商品の主たるリスクは為替にあるのですから、同じ為替のリスクを取るなら、私は手数料0円(ネット証券、NISA口座の場合)のこちらの商品をおすすめします。
参考
ロングドリームGOLD、GOLD2と「市場価格調整率」の怖い関係
ニッセイ外貨建て一時払い変額年金保険「ラップドリーム」の分析
つみたてNISA・・・金融庁がお勧めする老後資金作りの決定版
一時払い外貨建て保険を買ってはいけない明確な理由
外貨建て一時払い年金保険の手数料の実態
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