2011年6月3日金曜日

太陽光発電(ソーラー発電) 投資は儲かるか?(その1)


(クリックすると図は拡大します。)


ソフトバンクの孫社長が大規模な太陽光発電事業に乗り出しました。

原発の現状をみると、もはや世界中で脱原発の流れができつつあります。

そうした流れの中にあって、CO2削減の効果も期待できる自然エネルギーの利用は大いに注目されています。

でもエコが好きだけでは普及に限界があります。

やはり投資効率からどうかという視点は不可欠です。

そこでこの投資が現実的に儲かるかについて私自身の実証データをご紹介します。
これからソーラー発電を付けたいと思われている方にご参考としていただき、より一層の普及が図れれば嬉しいです。

1 投資内容

設備:SHARP製「住宅用太陽光発電システム(SUNVISTA)」
システム内容
・太陽電池モジュール(瓦一体型、合計容量3.17KW)
・パワーコンディショナー(直流を交流に変換し自宅への配電や電気を売ったりします。)
・リモートコントローラ

太陽電池モジュール
NE-38K1R(シリコン系多結晶1228×280mm、モジュール1枚が38Wのものを42枚使用)
NE-53K1R(シリコン系多結晶1535×280mm、モジュール1枚が52.5Wのものを30枚使用)
太陽電池モジュール設置面積合計 27.3㎡
単位面積あたりの出力 116w/㎡)
設置場所は自宅(千葉)の切妻屋根の南斜面であり、周辺には障害物もなく最適設置条件です。

投資額 125万円(平成20年に設置したので補助金0円(^^;) )
注:足場などの工事費は新築時に設置したので、0円です。


2 収益状況

グラフにソーラー発電による収益の状況を月別に示しています。
注:収入額は前月の発電量に対するものなので、棒グラフの高さがその月の発電量と比例していません。また単価も異なります。

折れ線は月別の発電電力をkwhで示しており、右目盛りから読み取ります。

収益の区分は2つあり、日中に余った電力を東京電力に売ったものが「収入額」、もう一つが、発電した電力を自家消費した結果、本来買うべき電力を買わなかったことによる利益が「節減額」です。

データ期間は2010.6-2011.5の1年間です。

最も収益の大きい月は7月の14,609円、最も低い月は12月の7,912円でした。
目安として夏期は冬期の1.5倍の収益となっています。

発電電力(折れ線グラフ、右目盛り)は、8月が最大の374kwh、最低が10月の176kwhとなっており、夏から初秋にかけて「つるべ落とし」のように半減しています。

1月は294kwhと意外に健闘しており、冬型の気圧配置により関東は晴れ間が多く、その分稼いでくれています。

4月が349kwhと年間でベスト2となっていますが、天候が良かったのはもちろんですが、ソーラーパネルの温度が高くならず、変換効率が最もよい季節であるためのようです。

その結果、売電額は4月分(5月支払い)が年間最高の10,512円となりました。

ちなみに発電容量のカタログ値は3.17kwですが、通常は1~2.5kw程度が現実です。
最高で3.18kw(3月29日)でした。

また1年間の総発電量は3,292kwh、平均すると月274kwh、1日9kwhとなります。

自家消費による節減額は7月、8月が約6,000円あり、日中のエアコン使用などによるものです。

3月に自家消費が多いのは、震災による停電時に炊飯器を使用したためです。

この2つの収益の1年間の合計は、129,556円であり、内訳は売り電による収入80,880円、節減による額が48,676円となっています。

したがって9.6年で収支が釣り合うことになります。(金利は無視)

私の場合は設置費がない分投資額が少なくなりましたが、3.2KWのものを後付けで設置をした場合、160万円~200万円かかりますから、元を取るのに12年~15年となります。

以上から現状では「あまり儲からない」と言うのが実感です。

次回ではもう少し詳しく太陽光発電投資の損得を分析してみたいと思います。


参考(平成23年度の状況)
国の補助金(太陽光発電普及拡大センター
KW×48,000円
(3.2KWの場合 153,600円)

自治体の補助金
1kWあたり2~3万円/上限8~10万円
(3.2KWの場合 6.4万円~9.6万円)


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