個人事業主にとっては個人年金として国民年金基金が 重要な選択支です。
一生涯個人事業主だった人には、1号被保険者として国民年金から老齢基礎年金が79万円支給されます。(40年間保険料を支払った場合)
厚生年金加入者(サラリーマン)の場合、この他に報酬比例の老齢厚生年金が100万円~150万円上積み支給されます。
不公平になりますから、個人事業主限定の国民年金基金という年金制度があります。
国民年金基金という国の機関があるわけではなく、国民年金法に基づき地域型(都道府県に1組織)と職能型(全国の同種の事業、業務に従事する1号被保険者 により組織され、1業種1組織)があり、それぞれが独立した法人として設立され、加入員からの掛け金を管理運用し、給付を行っています。
国民年金基金に加入し20歳から60歳の間、毎月一定額を積み立てると、65歳から終身または一定期間年金をもらうことができます。
例えば、20歳から毎月39,420円積み立てすると、65歳から年金として1,486,728円を亡くなるまでもらえます。(積立限度額は68,000 円/月)
試算はこちらでできます。
加入パターンはつぎのとおりです。
【1口目】いずれかの加入が必須です。
A型(15年保障期間付終身年金、年金月額2万円、1.5万円、1万円コース*)
B型(保障期間なし終身年金、年金月額2万円、1.5万円、1万円コース*)
* 35歳誕生月までは全コース、45歳誕生月までは1万円、1.5万円コース、50歳までは1万円コースのみ選択できます。
B型は、保障期間がない分割安な掛け金となっています。
【2口目以降】必要に応じ年金の上積み額を選択(それぞれの型では年金月額1万円、5千円コースが選べます。コース選択は年齢制限があります。)
A型(同上A型の上乗せ)
B型(同上B型の上乗せ)
Ⅰ型(65歳から15年保障)
Ⅱ型(65歳から10年保障)
Ⅲ型(60歳から15年保障)
Ⅳ型(60歳から10年保障)
Ⅴ型(60歳から5年保障)
具体例として30歳(男)の個人事業主(1号被保険者)の場合、
1口目A型及び追加としてA型5口とした場合、
掛け金は、1口目が9,740円(中途減額はできません)
追加の5口は、24,350円(中途で減口できます)
合計の掛け金は、月額34,090円になります。
受取年金額は、65歳から亡くなるまで873,880円もらえます。
15年以内に死亡した場合は、未支給額が遺族に一時金として給付されます。
さてこの場合の積立利率は、このソフトで計算した結果、
積立期間、据置期間、支給期間を通じて1.03%でした。
月額34,090円を30年間この利率で積み立てると、
1,426万円になります。
60歳から65歳まで据置になりますから、この利率で運用すると、
1,500万円になります。
65歳男性の平均余命を約19年(平成20年簡易生命表よ り)とすると、
この期間、この利率で運用しつつ前記年金額の給付を受けると、84歳で残金が0円となります。
積立利率1.03%は現状としてはまあまあのレベルです。
東京海上日動あんし ん生命の個人年金保険では、積立利率は1.18%ですから利回りとしては多少劣ります。
ただし、国民年金基金の利点は毎年の所得控除にあります。
東京海上日動 あんしん生命の個人年金保険は保険料控除が5万円(住民税3.5万円)までです。
前記の例では、年間の掛け金は、
34,090円×12月=409,080円
課税所得300万円、所得税及び地方税はともに10%とすると、
個人年金保険の大凡の節税額は、
5万円×10%=0.5万円
3.5万円×10%=0.35万円
国民年金基金の節税額は、
409,080円×20%=81,800円
個人年金保険に比べて国民年金基金は、毎年約73,300円も節税になりますから、30年間では、
73,300円×30年=2,199,000円
こんなにもお得です。
(毎月の掛け金の限度額が6.8万円ですから、所得控除はもっと大きくできます。)
個人事業主の人にとっては個人年金として国民年金基金はお得な選択支だと思います。
でも現状を考えると、個人型確定拠出年金の方がリスク分散において優位性はあると思います。
個人型確定拠出年金は次回で・・・
参考
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