2017年5月12日金曜日
国民年金、厚生年金の研究(その2)
年金に関係する国のお財布(特別会計)はその1で示した図のとおりですが、現実的には皆さんが支払う保険料や、受け取る年金、そしてねんきん定期便などは日本年金機構が国に代わって事務処理をしています。
以前は社会保険庁という国の機関でしたが、悪行がバレたため潰されて「日本年金機構」に組織が改編されています。
その悪行は後ほど書くとして、とりあえず日本年金機構の事業経費と業務内容について見てみます。
日本年金機構は、平成22年1月1日に社会保険庁を解体し新編された非公務員型の特殊法人であり、厚労大臣から委託を受け公的年金制度等に関わる以下の諸業務を行っています。
1 国民年金の事務(保険料の徴収など)
2 厚生年金保険・健康保険などの事務(同上)
3 年金等の給付事務
4 年金相談
5 公的年金制度に対する理解の促進
6 お客様サービス向上
資本金約1000億円、職員約12,000人、予算約2,769億円
(アニュアルレポート2015より)
日本年金機構の事務経費(約2,769億円)は、日本年金機構法第44条にもとづき交付金(税金)が投入されています。
日本年金機構への交付金の流れは次のとおりです。
日本年金機構の人件費などの事務経費はその1で示した年金特別会計のお金の流れからは切り離されており、機構内部で年金がピンハネされるようなことはありません。ご心配なく。
しかし旧社会保険庁そして厚労省については、杜撰な仕事により巨額の税金と保険料をムダに使った前科がありますから、納税者及び被保険者は決してそれらの過去を忘れてはいけません。
忘れてはいけない過去 その1
第一次安倍内閣を吹っ飛ばしたのは「消えた年金5000万件」でした。
腐りきった社会保険庁を大リストラしようと安倍政権がメスを入れたところ、官公労の自爆テロ(年金業務の杜撰な管理状況をマスコミにぶちまけたこと)により内閣もろとも吹き飛んでしまいました。
当時の社会保険庁の職員数は13,000人であり、腐敗分子1,500人を処分しましたが、職員数は現在も12,000人が維持されていますから、膿は出し切れていないのかも知れません。
(公務員は犯罪をしていない限り、たとえ仕事をさぼっていてもクビにはできないのです。)
忘れてはいけない過去 その2
バブル期の1980年~1988年当時、年金給付に対して年金保険料が巨額に集まったため、年金積立金が膨れあがり、これに目を付けた厚労省の役人と族議員が「グリーンピア事業(年金受給者等のための保養施設)」に無駄金を使ってしまいました。
「グリーンピア事業」として、全国13カ所にリゾート施設が作られ、その内8カ所は歴代厚生大臣の地元だったのです。
これら13カ所のグリーンピアは、小泉政権の時に事業中止が決定され、平成17年度末までにすべて廃止(地方自治体へ譲渡)されています。
ちなみに「グリーンピア事業」では、総事業費1,953億円に対して、売り上げが僅か48億円という惨憺たる状況です。(役人の計画する事業はだいたい杜撰なものばかりです。)
しかもこの壮大なムダ事業の責任を取った人は誰も居ません。
(役人は法律に基づき行動するだけですから違法行為はしていないのですが、そもそも法案を作り成立させた仕掛け人であることは確かです。)
このように腐りきった社会保険庁が改組され日本年金機構が発足し、また年金積立金を横流しした年金福祉事業団が潰され年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が発足したそもそもの原因が前記の悪行なのです。
このため日本年金機構は負の遺産(腐りきった組織)を引き継いでおり、今でも贖罪の日々を過ごしています。
アニュアルレポートでは、その8割は信頼回復のため「日本年金機構再生プロジェクト」を推進し、「組織改革」「人事改革」「業務改革」「情報セキュリティ対策」に力を注いでいることを強調しています。
その成果もあり、「消えた年金5000万件」については、「ねんきん定期便」などにより個人の確認を促す等さまざまな取り組みにより、約3,110万件以上が解明されています。(解明作業中の件数は、現在約1,986万件に減少しています。)
日本の年金制度は良い制度なのですが、巨額な年金積立金に群がる役人と政治家は屑ばかりで本当にがっかりさせられます。
ですから年金にかかわるお金の流れについて国民はしっかりと監視しなくてはならないのです。(その他の税金についても言わずもがなです。)
参考
屑だった政治家は自民党ばかりでなく、社会党政権、民主党政権の国土交通大臣、副大臣だった政治家の地元に交付された訳の分からない補助金(だいたい10億円が基準のようです)を調べれば、党派に関わらずやっていることは皆同じです。
(つまり役人が忖度し、大臣の地元に予算を付けてあげることで丸め込むようになっているのです。)
次回は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用状況等を書く予定です。
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