2019年9月17日火曜日

厚労省「公的年金の財政検証」を検証してみました(その1)


とは言うものの、100年後を予測しようとする人は、アホか嘘つきか、狂人か占い師のいずれかであることは確かだと思います。

私は投資家としてはっきり申しますが、明日株価が上がるのか下がるのかまったく分かりません。(もっとも興味が無いというのが本音ですが。)

ですから、厚労省の財政検証では「今のままの年金制度が100年持つ。」とは言っていないのです。

厚労省ホームページより
「公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠なものです。」

公的年金制度は賦課方式なので、若い世代の支払う社会保険料をその年に高齢者への年金として支払う仕組みとなっており、このバランスをうまく取ることで「長期的な制度」にできるのです。

そのような観点から、5年に一度公的年金制度を点検し、不具合があればそれを国民に公表し、バランスの微調整について国民の理解を得るため財政検証をしているのです。

ですから正しい財政検証の読み方としては、100年先を見るのではなく、5年程度先の年金財政がどうなのかを見れば良いのです。

しかし統計や年金制度を理解しないマスコミなどのアホどもは、年金制度は100年もたないとか、破綻するとか、払い損だとかいろいろ言っていますが、その目的は「話題作り」のために書いているのです。

またそのページには銀行や証券会社、保険屋さんなどの「○○個人年金保険」「○○投資信託」「○○信託」などの商品が並んでおり、広告収入もUPするので、「年金財政の真実」はともかく、国民の不安を煽ることが目的となっており、そうすることが彼らの収入に直結しているのです。

ですから賢い国民は、マスコミなどの意見に惑わされず、公的年金制度を正しく理解しなくてはなりません。

そこでまず公的年金制度の仕組みがどうなっているのかを見てみます。

すでに「国民年金、厚生年金の研究」で年金特別会計について投稿していますが、平成29年度の年金特別会計全体として見ると、保険料等収入約41兆円に対して年金給付額が約47兆円、不足額の穴埋めとして一般会計から11.4兆円、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から納付金として約0.9兆円が支払われています。

GPIFからの納付金は僅か0.9兆円(年金給付額の約2%)程度ですから、そもそも年金財政への影響をどうのこうの言うほどのことはないのです。

参考
GPIFの稼ぐ能力は巨大であり、75年間毎年9.4兆円(合計705兆円)を年金特別会計に納付することが出来ます



これが年金財政の現状です。

いったいこの仕組みのどこが破綻するのでしょう?

少子化だからと言って保険料を支払う国民がいなくなるのでしょうか?

日本は老人しかいない国になってしまうのでしょうか?

GPIFは博打に負けてすってんてんとなるから、年金が支払われなくなるのでしょうか?

賦課方式よりも、金利が0%の積立方式がよいのでしょうか?

金融や保険のしくみを少しでもかじった人なら、このような意見がいかにばからしいものか、すぐにわかるはずです。

このブログの読者諸氏には、マスコミの偽情報に騙されないよう、この図をじっくりご覧になり、真実がどこにあるのかお考えください。


その2


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