2018年2月19日月曜日

3分で分かる株式投資


「株」の語源は「切り株」だそうです。

木を切り倒しても「切り株」はずっと残り、そこから新に目を出すイメージより、世代を超えて樹木としての価値を伝えて行くため、転じて利益の源泉の持ち分のことを「株」と呼ぶようになったようです。(諸説有り)

江戸時代には「株仲間」があり、一種の同業組合(座、カルテル)を作り、それぞれが資本を出し、利権(独占権)を共有していました。

英語の「STOCK」も同様のイメージであり、企業に出資した金額に応じて、その持ち分(share)を証券化したものが「株式」なのです。

世界最初の株式会社は、こちらにも書きましたように、オランダ東インド会社です。(1602年3月20日にオランダで設立)

船による貿易は当初、1航海ごとに出資と利益の分配が行われていましたが、株式会社として法人化することで事業の永続性が担保されると共に、多数の船団を抱えることでリスクの分散が図られ、出資者側の安心感が格段に高まりました。

このような仕組みにより、個別的事業への出資から株式会社への出資に変わり、資産の運用が投機的な性格から、より配当に期待した投資へと変化し、株式そのものも市場を通じて売買されるようになったため、投資がより安心安全な資産の運用手段となったのです。

注意
「より安心安全な資産の運用手段」とは「投機」と比較した場合の評価であり、銀行預金のような安全確実な資産運用と同じ意味ではありません。

株式は出資額に応じて発行されますから、最初に100万円を出資した人には額面100万円分の株券が発行されます。

つまりこの出資者は、株式会社の全資産のうち100万円分を所有(持ち分、share)していることになります。

しかしこの額面100万円の株券が流通市場で売買されると、500万円になったり、あるときは1円になってしまったりします。

したがって株式市場では、株式は額面にかかわらずその価格は需要と供給により時々刻々と変化することになります。

一昔前は1株の額面が50円の株式が一般的で、株式市場では1000株単位(額面は5万円)で売買されており、売買値は数十万円から100万円ぐらいで取引されていました。

流通市場では、株券の額面で価格が決まるのではなく、1株当たりの利益や解散価値を評価するようになった(つまり会社の稼ぎっぷりや、保有資産の状況を評価するようになった)ため、額面に意味が無くなりました。

参考
昔々の株式は、持ち合い(金融取引上のお付き合いのための保有)だったため、安定株主が多く、配当も額面50円当たり5円とか10円程度(株価に対してはリターンが1~2%程度)でお茶を濁していました。株主総会もその程度の配当に誰も異議を唱えないので、シャンシャンと30分で終わっていたのです。

前記のとおり現在では、株式の評価として利用されているのが、発行株式総数から計算される1株当たりの収益率(PER:株価が当期利益の何倍になっているのかの指数)や、解散価値(PBR:発行株式総額が会社が持っている全資産の何倍になるのかの指数)が一般的です。

このような株式市場における趨勢から、2001年に商法が改正され「無額面株式」に統一されました。(つまり株式の価値は「時価」が基本になり、持ち分については以下の式で計算される額となります。)

参考
2009年には手間暇のかかる株券の発行や、保管、名義の書き換えなどを効率化するため、株券の電子化が行われ、現物の株券を見ることができなくなりました。


では株式投資において、株式を保有するとはどういうことなのか具体的に見てみましょう。

株主資本1億円、発行株式100株、当期利益1000万円の会社の場合、

この会社のPBR(解散価値≒持ち分比)を1倍とした場合は、
1億円÷100株÷1倍=100万円

この会社の株を1株保有している人は、その株式の絶対的価値が100万円あることになります。(もしも会社が倒産(解散)しても、この場合株主には最優先で1株あたり100万円が配当されます。)

注意
PBRは、その会社の純資産(株主資本)を株式総数で割った(1株あたりの解散価値)を基準として、(株価)がその何倍になっているのかの指数(倍率)として算出されます。0.5倍なら会社の資産は株価の2倍もあり、1倍なら株価と同程度の資産があり、2倍なら会社の資産は株価の50%しかないことになります。

したがってPBR 1以下で株式を買えたなら、投資した金額を会社の資産が十分に担保していることになり、いわゆる兌換券と考えられるため、お得な買い物と言えます。(意外とPBRが1以下の会社はあるのです。でも1以下となっているにはそれなりの理由(じり貧?)もあるのです。)

また1株が100万円とすると、1株あたりの当期利益は、
1000万円÷100株=10万円

したがって、この場合のPER(株価収益率)は、
100万円÷10万円=10倍(PER)

PERが10倍とすると、この株式のリターンは年率10%(=10万円÷100万円×100%)あることになります。
リターンはPERの逆数×100%で計算出来ます。
(1÷PER×100%=10%)

一般的にPERは14倍~16倍と言われています。

PERが16倍の場合、
1÷16×100%=6.25%
この場合のリターンは年率6.25%あることになります。

ITなどの新興企業は、ときにPERが100倍を超えますが、それは投資家が1年先、2年先にその企業の利益が何倍にも拡大すると「捕らぬ狸の皮算用」をしているためなのです。

そこで株価がどのように形成されるのか?

基本は、企業の「来期の利益予想」にもとづき株価は形成されます。

参考
株価が半年先を予測して値が付けられている理由は、この「来期の利益予想」が株価を決めている重要な要素だからなのです。

前記企業の場合、来期の利益予想が2000万円(1株利益20万円)に伸びるとした場合、

株価は、利益予想が発表された瞬間にその情報を織り込み、
株価÷20万円=PER
(株価=PER×20万円)

PERを10倍のままとすると、株価は200万円に跳ね上がります。

PERが世間並みの16倍とすると、株価は320万円に暴騰します。

このように株価は、直接的には企業の来期利益予想で決まりますが、その他の景気や投資家の思惑などが渦巻き、PERが変化しますから、ときに上がり、ときに下がります。

投資家の思惑によりPERが変化することで株価が上がった結果儲かるのがキャピタルゲインであり、これは投機的な利益となります。(PERが上昇しても「買いだ」と考える投資家がいることで得られる利益。)

一方企業の地道な努力により、当期利益が増加することで、株主により多くの配当金が支払われる利益のことをインカムゲインといい、平均すると株式会社は6%~10%ぐらいのリターン(配当)を稼いでいます。(利益は、内部留保や税金などにより目減りし、その100%が投資家に配当される訳ではありません。)

つまりPER14倍~16倍の株式は、一般的な評価として堅実妥当な株価であり、20倍を超える株価は「怪しい(投機的)」と考えてよいと思います。

ちなみに、
○トヨタ自動車
 予想PER=9.94倍、実績PBR=1.16倍、予想配当=2.91%
○ソニー  
 予想PER=13.88倍、実績PBR=2.44倍、予想配当=0.47%
○三菱商事
 予想PER=8.74倍、実績PBR=0.9倍、予想配当=3.37%
○楽天
  予想PER=16.3倍、実績PBR=1.79倍、予想配当=0.49%
○ソフトバンク
 予想PER=18.48倍、実績PBR=2.1倍、予想配当=0.5%
○任天堂
  予想PER=54.12倍、実績PBR=4.33倍、予想配当=1.09%

私の評価として、任天堂は「投機的」であり、三菱商事は堅実な「投資」と言えます。

今現在の情報を踏まえるといろいろと反論がありそうですが、長期でみればだいたいそんなところではないでしょうか。

注意
私は個別株式は持っていませんし、三菱商事をおすすめもしていません。


以上ご参考としてください。
投資は自己責任でお願いします。



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