2010年6月19日土曜日

今後5年間の経済予測

日本の将来について多くの国民は不安に思っています。
そのことについて私なりの分析と予測をしてみました。

経済評論家では有りませんから、しっかりした理論的な基礎はありませんが、いずれにしろ専門家や政治家の予測や説明が信じられない状況ですから、言ったもん勝ちと思い投稿することにします。

まず国民は次の3点について不安に思っているのではないでしょうか。
・景気低迷
・雇用不安
・将来への不安

日本の名目GDP(国内総生産)は1997年の517兆円をピークに、その後500兆円付近で低迷しています。
為替は、1998年7月の終わり値1ドル144.66円をピークに38%も値上がりし、リーマンショック以来、ドル-円は100円以下の状態が継続しています。

したがって世界経済の視点では、日本の国内ではGDPは低迷しているものの、円の価値が上昇しているため、原油や食料などの輸入購買力は上昇しています。(購買力平価ベースのGDPは1997年以降も右肩上がりで推移しています。)

一方米国のGDPは、この間順調に拡大し、リーマンショックまでの10年間で1人当たりのGDPが42%も上昇しています。(この期間に米国では住宅バブルが発生しています。)

同様に中国では、驚くなかれ、この期間のGDPは約4倍に拡大し、いまや世界第2位の経済大国になろうとしています。

ではなぜ日本経済だけが低迷しているのでしょうか?
ケインズ経済学では失業を防止し、経済活動を高めるためには有効需要を増大させればよいと教えています。

その教えに従い、橋本内閣以降の歴代内閣は、毎年20兆-30兆円の国債を発行し、景気刺激策を延々と行ってきました。
鳩山首相に至っては、税収を超える44兆円もの国債発行を行っています。
この15年間の国債の発行額は500兆円を超えています。

民主党政権が掲げる政策を実行した場合、財務省の予測(2011~13年度の歳出入の試算)では、歳出入の「差額」が2013年度に58.4兆円に達するそうです。
世界的に見れば、もはや天文学的赤字の破産国家と言ってもいいでしょう。

しかし自民党が政権に復帰したところでこれまでの財政政策に変化はないのでしょうから、日本の将来は極めて暗いと言わざるを得ません。

ケインズ経済学は死んだのでしょうか?
いや、乗数効果が無くなったのです。

大きな都市の間にまったく道路のない場合、道路を造れば経済効率が格段によくなり、道路整備費の何倍もの利益が生み出されます。(経済乗数効果)

しかし、村民が500人の村と村に道路を作ったら、お爺さんお婆さんは買い物が便利になり喜びますが、経済効果はほとんどありません。

政治家と役人は経済乗数を無視した(空港整備の実態を見ると需要のでっち上げは得意なようです。)インフラ整備を続けていることに問題があるのです。

特に役人は族議員と連携し、道路公団の民営化や道路財源の一般財源化の例に見られるように、自分たちに都合の悪い政策は無視し有名無実化してしまいます。

事業仕分けや天下り禁止も結構ですが、この「役人のサポタージュ」こそが諸悪の根元なのです。
役人には日本の国家を運営してきたというプライドがあるのでしょうが、先進国に目標設定できる国が無くなった今、役人には何のアイデアも無く、省益を守ることだけが仕事になってしまっています。

もう一つの問題は、長期金利を低く押さえ込んでいることです。
ここでも役人のいらぬお節介が問題なのです。

国民のため、中小企業のため低金利こそ必要な金融政策だとすべての国民は信じているようですが、これこそが日本経済を蝕む問題の根元です。

自由経済においては利潤がもっとも重視されるべきです。
今の経済状況で、低金利で資金を借りて、事業に投資したら大きな利潤が得られるでしょうか?
それは経済のパイが拡大している場合の話で、パイが縮小しているときに誰も大きなリスクを取ろうなどとは考えはしないのです。

自由経済は優者が繁栄し、敗者が退場する社会なのです。
そのルールがあるから経済は発展し、社会に利益がもたらされるのです。
敗者にも資金提供し、返せないときは返済を猶予するなどは、まったく経済原則を無視した政策です。

そのような政策では、いつまでも敗者が生き延び、社会全体が負の遺産を引きずってしまうのです。
政治家と役人そして国民全体が低金利信仰を捨てて、痛みを覚悟し、自由な経済社会に脱皮しない限りこの国の経済に復活はあり得ません。

雇用問題についても、年末の派遣村などの報道があるたびに国民受けする政策が次々に実施されますが、失業問題の根元は、為替(円高)に行き着きます。
こんなに円高になると、例えばIT関係ではデータ入力や、プログラム作成などが、アニメ関係では、アニメーターの作画の仕事が低労賃の国に移ってしまいます。

また国内の法改正により労働コストがさらに上昇すれば、ただでさえ黒字確保に必死な企業はどんどん中国やベトナム、インドに仕事を発注し、一層国内から雇用がなくなってしまいます。

政治家やマスコミは表面的なことしか見ず、雇用対策が雇用消失に繋がっているという経済の実態を理解できない人ばかりです。

さて、5年後の日本はどうなっているのでしょう。
私の理想は、為替政策(100円から110円を目標)によるソフトランディングなのですが、たぶん80%ぐらいの確立でハードランディングとなるでしょう。

クラッシュ(日本国破産)ではありません。
ハードランディングとは、ハイパーインフレになることです。
日本国債は暴落し、利率は10%超になるかも知れません。

海外に工場を持たない中小企業は、ほとんどが倒産し、低所得者のほとんどが失業します。(1997年アジア通貨危機のときの韓国と同様の状況です。)
失業率は10%超となるでしょう。
貧しい人がより貧しくなる社会になります。

その責任は、
サポタージュした役人
財政政策に巨費をつぎ込んだ政治家
その政治家を選んだ国民
にあります。

賢い投資家としては今から備えておく必要があります。
ハイパーインフレ対策としては、
・日本国債は買わない
・不動産投資
・株式投資(海外投資が多い企業)
・外貨投資

それと経済の分かる政治家(市場経済重視派)に投票することです。
日本にもサッチャーが現れてほしいと願っています。