GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2020年度に37.8兆円も稼ぎました。(利回り25.15%)
2020年度の国の税収が60兆8216億円、高齢者等への年金給付額が47.5兆円(保険料収入は41兆円)でしたから、この利益額の巨大さが分かると思います。
こんなに巨額な稼ぎが続いたなら、やがては松下幸之助氏が唱えた「無税国家」も実現できるかも知れません。
参考
「無税国家論」とは、国家の経営も会社の経営も同様であり、会社が無借金で経営できるのなら、国家も無借金で経営できるはずや。ということで国家も経営に努力し、蓄財し、これを運用すれば、国民から税金を取る必要が無いはずや。とのお考えのようです。
GPIFの過去20年間の運用実績(平均利回り)は、3.78%でした。(累計95.3兆円の利益額)
そうすると、年金額47.5兆円をこの利回りで割り引くと、約1,257兆円の元本があれば、現役世代が支払っている年金保険料をただ(無料)にできます。
つまり、2人で1人の老人を支えるために、若い人たちが高額な年金保険料を支払うことになるという暗い未来が消えて無くなり、また将来の年金のため、子供を産めよ増やせよという馬鹿な政策も必要がありません。
ではその可能性はあるのか?
あります!
2020年度の国庫納付額はわずか1.2兆円(=納付額-受入額)程度ですから、稼いだ37.8兆円はほぼ丸ごと再投資に回されます。
したがって、運用資産額は、2019年度の150兆円から、2020年度は186兆円に爆増しています。
2021年度の運用についても、ワクチン接種の普及により、世界経済は急速に回復するでしょうから、GPIFのばく進はまだまだ続きそうです。
そしてGPIFの試算によると、2060年頃には運用資産額(積立金)が600兆円を超え(中央値)、うまくすると1,000兆円超えの可能性もあります。
600兆円はかなり控えめな見積もりですから、1,000兆円超えはそれほど無理な見積もりではありません。
試算例
元本 186兆円
平均利回り 3.78%(5%)
運用期間 40年間
元利合計額 820兆円(1,309兆円)
(平均利回りを5%とすると、40年間の元利合計額は1,309兆円になります。)
参考
米国最大の年金基金(CalPERS:カリフォルニア州職員退職年金基金)の過去16年間の平均利回りは6.9%でした。(GPIFは安全性を重視しているため、利回りはあまり追求していません。)
そこで、2060年の年金事情を見積もってみます。
2060年にGPIFの運用資産額が820兆円あるとすると、この時の運用利回りがもし5.8%あれば、利益額が47.5兆円となり、この年に支払う年金のほぼ100%をまかなうことができます。(インフレ率は考慮していません。)
つまり理論的には保険料は無料にできます。
GPIFの運用期間をもう少し長期に取れば、これは十分に実現できる値です。
ですから、「年金」に暗い見通ししか持てない若い人たちに是非言いたいことは、現状の年金システムは、国民がしっかり監視し、育ててゆけば本当に100年安心できる仕組みなのです。
そこで大事なことは、国民がGPIFをしっかり監視することです。
懸念材料はたくさんあります。
その第一は、厚労族議員や厚労省が巨額な積立金をつまみ食いしてしまうことです。
その実例は「国民年金、厚生年金の研究(その2)」に書きました。
これらの人たちは「屑」しかいないのです。
国民が油断していると、すぐに何兆円も無駄遣いしてしまいます。
第2に財務省も「年金特別会計」は俺のものだと思っていますから、赤字国債の償還にGPIFの儲けを流用しかねません。(日銀も同類)
第3にGPIFの内部規律の乱れです。
現状はとても規律正しく機能していますが、いずれにしろ「人」の行うことですから、周辺を取り囲んでいるいかがわしい業界関係者と仲良くなると、手数料ばかりが搾取され、リターンが目減りしてしまいそうです。
特にSDGsとか、地球温暖化とか、へりくつをこねて無駄金を使わそうとする腹黒い人たちがたくさんいます。
参考
GPIFの社会的な責任は、年金積立金を安全効率的に運用し、国民年金・厚生年金の被保険者の利益のためにガッポリ儲けることです。したがって政治的な環境だとか、福祉だとかは考慮する必要はないのです。(行動規範の「受託者としての責任」)
いずれにしてもGPIFの運用資産186兆円は、現役の若い人たち(年金被保険者)がもらう予定のお金(貯金)なのですから、赤の他人に使わせてなるものかと、しっかり監視しなくてはならないのです。
参考
GPIFの経営委員等の出身別内訳
厚労省 1人
日本銀行 2人
検察庁 1人
連合(労組) 1人
野村総研 3人
三井物産 1人
監査法人 1人
農林中金 1人
ゴールドマンサックス 1人