「年金ひとすじワイド」は、ＡｌｌＡｂｏｕｔマネーのランキングで１位となった個人年金保険です。
多くの方たちは自分年金づくりとしてこの商品に興味を持たれているのではないでしょうか。
この商品は死亡保障を無くして貯蓄性を高め（「年金ひとすじ」とは「保険ではないよ年金だけですよ」という意味です。）、トータルとしての返戻率を１２５％超にしています。
これは先の投稿で取り上げた「東京海上日動あんしん生命の個人年金保険」の返戻率１１９．２％を上回っています。
「年金ひとすじワイド」の貯蓄性について以下で分析してみます。
使用するソフトは、自作のマクロで、こちらでダウンロードできます。
前提
被保険者 ３５歳男性
年金開始年齢 ６５歳
月額保険料 ２万円
３０年間の累計保険料 ７２０万円
払込満了時の貯蓄額 ８４２万円（返戻率 １１７％）
１０年間の年金合計額 ８９７．６万円（返戻率 １２５％）
年金額 ８９．７６万円
注 積立配当金があれば年金に上積みされます。
年金支払い期間中に死亡した場合は、未払い年金の現価（その時点の貯蓄額）が受取人に支払われます。
参考
2013/7/27現在
払込満了時の貯蓄額 ７９７万円（返戻率 約１１１％）
１０年間の年金合計額 ８３６万円（返戻率 約１１６％）
年金額 ８３．６万円
このデータから自作ソフトで利回りを計算すると、
積立期間の利回り １．０６％
年金支払期間の利回り １．１５％
参考
2013/7/27現在
積立期間の利回り ０．６９％
年金支払期間の利回り ０．８７％
東京海上日動あんしん生命の商品は、積立期間の利回りが１．１８％（固定）ですが、年金支払い期間の利回りが０％なので「年金ひとすじワイド」のほうがトータルの返戻率で上回っています。
参考
2013/7/27現在の東京海上日動あんしん生命の個人年金保険の推定利回りは ０．９３％です。
（年金支払い開始時の返戻率は、東京海上日動あんしん生命が１１９％、「年金ひとすじワイド」が１１７％となっています。）
「年金ひとすじワイド」は、年金支払い開始前であれば、１０年確定年金に換えて１０年保障期間付（割増）終身年金に変更できます。
支払期間が終身となるので、当然年金額は低下し４２．８万円（＋配当金）となります。
どちらが得かは、被保険者の寿命によりますが、８５歳以上まで生きれば終身年金がお得になります。
逆に早期に死亡すると、（年金＋未払い年金の現価）は、合計で既払込保険料を大きく下回りますから、ＦＰとしては早くもらってしまうことをお勧めします。
（ちなみに６５歳男性の平均余命は１８．６歳ですから、統計上はバランスするように計算されています。）
また年金支払い開始時に所定の心身障害者に該当していると、終身年金額が４２．８万円から４８．７万円に増額（＋１３．８％）されます。
これは「年金ひとすじ」とは言うものの、保険らしさがひと味効いててよいと思います。
さて「年金ひとすじワイド」のＦＰとしての評価は以下のとおりです。
「年金ひとすじワイド」は個人年金保険の中では優良な部類に入り、よいと思います。
しかし、この商品は長期固定の低金利商品ですから、やがて来る金利上昇時には解約せざるを得なくなる可能性が高いと私は考えています。
したがってご加入することはお勧めしません。
2016/2/23
＜明治安田生命＞一時払い終身 予定利率引き下げ
マイナス金利政策により３月以降、０．８５％から０．７５％に引き下げられます。
注
平成２４年４月から明治安田生命では「年金ひとすじワイド」の銀行での窓口販売を制限する予定です。この理由として、「年金ひとすじワイド」が売れすぎたため、日本国債への投資額が急激に増大し、もし将来「日本国債暴落（急激な金利高騰）」となったときのリスクに備えることが目的とアナウンスされています。
このリスクとは、異常な金利高騰により、固定金利である「年金ひとすじワイド」の解約が殺到した場合、明治安田生命としては、保有する日本国債を投げ売りせざるを得なくなるという状況のことです。
2014/06/08
Business Journal 記事
「国債超低金利の8月転換説、なぜ広がる？生保は金利急騰に備え売却体制、巨額評価損も」
参考
ニッセイの外貨建て終身保険(ロングドリームGOLD)の評価
個人年金保険契約者に迫り来る市場価格調整率の恐怖
人気の外貨建て保険を利回りで比較してみました
東京海上日動あんしん生命の個人年金保険
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グラフで見る個人年金保険商品別の貯蓄額
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