知っている人は知っていると思いますが、まだまだ投資の世界ではメジャーになりきれていないので今回はJ-REITを取り上げます。
REIT(Real Estate Investment Trust)
不動産投資信託のことで、米国と同様のものが日本に導入され、2001年9月に日本で初めてJ-リート(日本版リート)が東京証券取引所に上場されています。
いわゆる不動産の証券化商品です。
個人でマンション経営をされている方もおられるかと思いますが、一般的に現物の不動産価格は、数千万円から数百憶円もしますし、簡単に売買もしにくい特性があります。
この不動産を小口の証券にして、リスクの分散と流動性を持たせた商品がREITです。
最近では、不動産価格の低下とともに、REITの利回りが改善して来ています。
REITの仕組みとしては2種類ありますが、現在主流となっている会社型の「投資法人」について説明します。
投資法人は投資証券を発行し、これを投資家が証券会社を通じて購入します。
投資法人は、集めた資金を実際に不動産の運用を行っている「投資信託委託業者」に運用を委託します。
この投資信託委託業者には、不動産運用の人材確保や財務内容が厳しく審査され、内閣総理大臣からの許可が必要とされています。
投資法人については、内閣総理大臣への登録制となっています。
不動産投資については、バブル期に乱脈投資が行われ、死屍累々と不良債権が発覚しましたが、そのような反省も加味し、投資法人と運用会社が分離され、厳しい資格審査を行うことで、投資家保護がなされています。
REIT発足後9年近くなりますが、本数、純資産額は順調に伸びており、5月末現在上場投信38本、時価増額2兆9千億円となっています。
○特徴はなにか
・1口10万円~70万円で不動産投資ができる。(イメージとしてはマンションを共同で購入し、そこから賃料(配当)がもらえる。)
・投資口(投資証券)は株式と同様に市場で自由に売買が可能
・現物の不動産の運用(維持管理、家賃徴収、新規投資、売却等)はすべて運用会社まかせのため、投資家には定期的な配当と、投資口売買による収益が関係するだけです。
○REIT投資は儲かるか
グラフを見てください。
不動産証券化協会の発表資料を使わせていただきました。
分配金利回り実績(全投資法人平均)はここ2年間は6%前後となっており、株式配当に比べても2~3倍もあります。
○危なくないか
リスクはいろいろありますが、総じてミドルリスク・ミドルリターン商品です。
・おもなリスクとして、投資先が100%不動産ですから、地価動向により価格は上下し、元本割れとなる可能性があります。(価格変動について債券とは負の相関関係にあります。)
・投資法人は借入金の割合が大きく、金利が上昇すると配当に影響が出ます。
・クローズドタイプの投資信託であり、投資法人の買い戻しがありません(不動産の現金化が困難なため)ので、市場でしか換金ができません。
・地震や火災の被害状況によっては価格が大きく下がる可能性があります。
○税金は
不動産会社へ直接投資する場合と比較し、REITは税制上のメリットがあります。
株式へ投資した場合、会社の利益は一端法人税が引かれた後に、配当金には再度20%源泉課税されます。(その他に利益が社内に内部留保されることもあり、投資家への利益の還元率は高くありません。)
REITの場合は、投資法人の利益について法人税は非課税であり、90%以上が投資家に配当として還元されます。(当然20%の源泉はとられます。)
REIT投資は、高い配当利回りとインフレヘッジとしての効果が期待できるので、株式投資に魅力が持てない現在お勧めできる投資先だと思います。
ただし物件によりリスクが異なりますので、投資は自己責任でお願いします。
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