2010年12月28日火曜日
複利効果について
投資信託を買われる方に是非知っておいていただきたいことがこの「複利効果」です。
投資信託を買われる方には多様なニーズがあるかと思います。
例えば、資産を取り崩しながら生活をされている定年後の年金生活の方については、投資信託からの毎月の配当金が生活資金として必要かも知れません。
しかし多くの方達は、資産を増やすことに大半の興味を持たれているのではないでしょうか。
そういった方達には「複利効果」を是非理解していただきたいと思います。
まず単利と複利の違いはつぎのとおりです。
単利とは、毎年「投資元本だけに利子がつく」タイプです。
複利とは、毎年「投資元本とそれまでの利子も含めて利子がつく」タイプです。つまり複利とは、利子に利子が付くことです。
今人気の「毎月分配型投信」は利子に相当する配当を毎月分配していますから、原理的には投資元本は増えることがないので「単利」商品となります。
一方、一般的な投資信託は、年一回の決算で配当を行いますが、長期的な資産形成を目的としているものは配当ではなく「再投資」されますから、「複利」商品となります。
上図に「単利」と「複利」のグラフを示しています。(クリックすれば拡大表示します。)
横軸は、投資してからの経過年数です。
縦軸は、投資額を100%とした場合の元利合計の百分率を示しています。
グラフでは、単利、複利とも利回りを5%としています。
税金は考慮していません。
グラフから明らかなように、経過年数と共に差が明確となり、30年後には単利250%(投資元本が2.5倍)に対し、複利では432%(投資元本が4.32倍)にも増えています。
これを投資信託の基準価額と配当金に当てはめたのが下の図です。
配当金を再投資するタイプ(オレンジ色)と毎月配当金をもらうタイプ(薄紫と水色)を示しています。
利回りは5%一定、原資産の価格変動はないものとしています。
(グラフの差は単利と複利による差のみです。)
基準価額1万円からスタートした場合、30年後には、
再投資タイプの基準価額 43,219円
毎月配当タイプの基準価額 10,000円
毎月配当タイプの累積配当金 15,000円
したがって、30年後、再投資タイプは複利効果により毎月配当タイプよりも18,219円もお得になります。
現実的には、基準価額は変動し、税金を差し引かれますから理論どおりにはなりませんが、毎月配当金をもらうタイプが再投資タイプよりも儲かることはありません。
注:原資産がデフォルトになった場合、先に配当としてもらっていた人のほうがお得にはなりますが・・・。
毎月「配当金」が支払われると、なんとなく「お得」感があるかも知れませんが、実際は複利効果分「損」をしていることになります。
長期投資では資産が増えるのをじっと「待つ」ことがなによりも大切な心掛けです。
参考
ウォーレンバフェット氏はバークシャーの株主に対し、同社の巨額のキャッシュ保有から配当を支払うことは、長期的には株式の価値に弊害をもたらすことになるだろうと言っています。
さらに、配当は税金面でも効率が悪いと述べ、配当から得られる現金すべてが毎年の税金の対象となるが、株式売却の場合は株主は売却時のみ税金を支払うことになると説明した。
今人気の毎月分配型、高利回りの商品については、「単利商品」であること、信託期限があること、信託報酬が高いことなどにより短期的に利ざやを稼ぐ商品と言えます。
したがって長期にじっくり資産を増やすには適切な商品とはいえません。
毎月分配型の具体例はこちらをご覧ください。
蛇足
投資信託選びのコツ
利回りアップには複利効果(配当金より再投資)
そして申込手数料はノーロード(無料)、信託報酬は1%以下
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