(グラフはクリックすると拡大します。)
先に通貨選択型ハイイールド債券投信について投稿しました。
その投稿では、通貨選択型の仕組みとして、為替取引により利益の上乗せが図られていることを説明しています。
しかし為替ヘッジについて文章や計算式で説明しても分かりづらいものがあると思います。
今回はグラフを使ってもう少し分かりやすく説明したいと思います。
上のグラフは、3通貨(ブラジルレアル、米ドル、円)の為替レートの推移をリーマンショック直前(2008年7月)から週次のデータで示しています。
為替レートはつぎの関係にあります。
BRL/USD レアル/米ドルのレート
BRL/JPY レアル/円のレート
USD/JPY 米ドル/円のレート
各レートはこの期間の平均値に対する%でグラフに示しています。
最初に米ドル/円(USD/JPY)のレートを例にグラフについて説明します。
ご承知のように米ドルは対円で昨年(2010年)5月以来下がり続けています。
7月15日現在では80円を切った状態(ドル安)まで下がっています。
グラフではUSD/JPY のレートも下がり続け、この間の平均値の90%以下にまでなっています。
ブラジルレアルはどうでしょう。
BRL/JPY のグラフをご覧ください。
リーマンショック直後に80%以下にまで低下(レアル安)しましたが、その後回復し、2009年6月以来95%~108%の間で安定した推移となっています。
為替があまり動きませんから、レアル/円の為替取引ではあまり儲からない状況であったと言えます。
さてレアル/米ドルのレートはどうでしょう。
BRL/USD のグラフをご覧ください。
2009年3月から2009年11月にかけて急激に上昇(レアル高)しています。
その後1年間は大きな動きはなかったものの、2010年9月から再び上昇(レアル高)し、104%から117%になっています。
ですから、レアルが上昇している期間については通貨選択型の投信は儲かったと言えます。
以上から通貨選択においてブラジルレアルが儲かったのは、対円ではなく対ドルだったと考えられます。
しかもブラジルレアルが強いのではなく米ドルが弱すぎたというのが私の分析結果です。
もしレアルが強いのであれば、対円でも上昇しているはずですが、そうはなっていません。
では今後もレアルは上昇するのでしょうか。
それは米ドル次第と言えます。
しかし、レアルは対米ドルのレートですでにリーマンショック前の数値に達しています。
多分これまでのように順調に上がり続ける状況にはないのではないかと私は考えます。
投資は自己責任でお願いします。
参考
「高金利通貨に興味のある方へ」
最近のブラジル経済に関する情報
英エコノミスト誌 2013年1月19日号
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