金融の世界はさまざまな場面でAIが席巻しています。
そもそも金融の世界は情報産業なので、コンピータとの親和性がすこぶる良いのです。
銀行などでは、誰かさんの口座の数値を、足したり引いたり、利子分を掛けたりして手数料をいただいていました。
このような操作はコンピータがもっとも得意とする分野であり、かえって人間が介在すると、計算間違いや、変な操作をして横領などが発生します。
したがって今金融業界は大リストラ旋風が吹き荒れています。
参考
Bloomberg記事「銀行の人員削減数は今年7.8万人、15年以降で最多-欧州が大半占める」
加えて政府挙げてキャッシュレス化を進めていますから、銀行窓口で現金を引き出す人は絶滅危惧種となりそうです。
一方銀行のビジネスモデルは、短期のお金を集めて長期で貸し付けし、利ざやを稼いでいました。
しかし家計金融資産1859兆円は預貯金に滞留し、銀行はこの運用先に苦慮しています。
なぜなら借り手側の企業は内部留保が充実しており、また株式や債券の発行により金融市場から直接資金を調達しているため、つべこべうるさい銀行が敬遠されています。
そして頼みの綱の日本国債はマイナス金利ですから、これまでの銀行のビジネスモデルは崩壊しつつあります。
保険会社にしても、ALM(Asset Liability Management)の考え方にもとづき、長期の負債(保険契約)と長期投資(責任準備金の運用)の利回りをバランスさせなくてはなりませんから、日本国債のゼロ金利は深刻な問題となっています。
参考
2020年1月からついに標準利率(保険会社が予定利率を設定する際の基準)が0%になります。つまり「円建ての終身保険」は貯蓄性がまったくなくなってしまうのです。したがって明治安田生命は、先行して10月からこの種の保険の取扱を休止しています。またソニー生命は11月から円建ての学資保険の販売を休止します。
証券会社はまた違う観点で苦境に陥っています。
1つは営業が「儲かり情報」を顧客に提供し、株式などの回転売買を促して稼いでいたことに対して金融庁が「やめなさい!」と指導しはじめたこと。
2つ目は、株式などの売買がHFT(高頻度取引)によりスピード勝負の世界となったため、人の介在がじゃまになってきたこと。
したがって高齢者の取引では、昔ながらの電話対応が残るかも知れませんが、取引の基本は携帯によりポチッとするだけとなりました。
そして証券会社では不要となった人員を削減し、ほとんどすべてのシステムをAI化する事で大幅なコスト削減ができるため、手数料削減競争が一段と加速しそうです。
参考
日経記事より
チャールズ・シュワブは、10月7日から米国株などの取引手数料を無料にすると発表した。この影響により、今後手数料値下げ競争が激化するとの見方が出ている。
最後に、金融機関の存在意義は「決済」にあると言っても過言ではありません。
この決済は、同一行内はもとより、日銀、外銀等との連携により日々行われており、そのためシステムの統合と接続に膨大な手間と経費が費やされています。
システム間の連接は、メーカーの違いなどにより、それこそ気が狂うほどの手間暇のかかる作業となりますが、この煩雑なシステムが将来ブロックチェーン技術により、スッキリと解決されそうです。
なにしろ全ての決済がパソコン(携帯)をネットに接続するだけでできてしまうのですから、銀行も日銀もFRBも必要なくなってしまいます。
仮想通貨が流通する世界では、中央銀行が通貨を発行する必要も無く、口座を管理する銀行も不要となります。
しかもブロックチェーン技術は、子供のお小遣い程度の金額をアメリカから日本に瞬時に送金でき、そのための銀行口座を作る必要もないのです。
そうなると、やがては世界に君臨する「米ドル」が基軸通貨の地位を追われるかも知れません。
そうした未来が明るく楽しいものになるのか、巨額なマネーを操る投資会社やリブラ(Libra)を発行する(予定の)フェイスブックなどが世界を支配するようになるのか、はたして・・・
参考
bloomberg記事より 2019/10/19
「G20が「ステーブルコイン」規制の必要性を主張、リスク抑制へ」
要旨:「ステーブルコイン」(例:Libra)はヤバイので皆で潰しましょうということでG20は合意したようです。
bloomberg記事より 2019/10/19
「G20が「ステーブルコイン」規制の必要性を主張、リスク抑制へ」
要旨:「ステーブルコイン」(例:Libra)はヤバイので皆で潰しましょうということでG20は合意したようです。
・・・でもLibraを叩き潰したところで、中国がその技術力と14億人のパワーで「ステーブルコイン」を普及させたら、世界の支配者は中国になるかもね・・・
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