2020年4月30日木曜日

「円高」よ、さようなら・・・


リーマンショック後、なにかにつけ異変がある度に「円高」となり、その際に「円は安全通貨」というキーワードを、ばかの一つ覚えのようにマスコミは書いてきました。

今となっては、ほんとうにマスコミはバカだったことがはっきりしました。

という理由は、世界大恐慌(1929年9月4日頃から始まったアメリカの株価の大暴落)以来と言われる武漢ウイルスによるパンデミックにおいて、世界経済がフリーズ状態にもかかわらず、ドル円レートがほぼ安定して推移しており、安全通貨と思われてきた「円」への逃避がまったく見られないからです。


注意
2020/3/9の102.34円はHFT(高頻度取引)によるもので、一旦「ドル高、円安」に振れた後に、瞬間的に「円高」となりましたが、AI(機械取引)も武漢ウイルスに関する知見がないので、右往左往しただけ、結局もとのレートに戻っています。(AIがもてはやされていますが、あまり賢くはなさそうです。)


この為替レートの変化より、「円は安全通貨」という説明はまやかしであり、真実は、投資家たちはそのときどきで儲かる物(損失の出ないもの)を必死で探し出し、投資しているだけなのです。

今回は、ドル(現金)へのリパトリエーション(Repatriation、本国への回帰)が多くの投資家たちの判断のようでした。(その他に「金」投資も見られました。)

リーマンショック後の「円高」の要因として、日銀のサポタージュにより、米国などがドル紙幣を刷りまくっている時に、円札を刷らなかったため、円が不足したことが原因とされていますが、いずれにしろ「円は安全通貨」という説明はちぐはぐであり、説明になっていません。

結果として「円高」の要因は、以前の投稿のとおり、日本国債が儲かるから投資家は買うのであり、儲からなければ買わないのです。

この儲かるのかどうかは、クロスカレンシー・ベーシス・スワップ市場におけるジャパンプレミアムが高いか安いかによって決まるのです。

「円高」の頃は、国内の銀行が「ドル」を調達する際には、米国債の利回り+1%(+100bp)も金利を上乗せしなければなりませんでした。(ジャパンプレミアム)

反対にドル資金を提供する側は、米国債に投資するよりも円に交換し、日本国債に投資する方がはるかに儲かったのです。

このジャパンプレミアムは、現在国内銀行に有利な状況となっており、ドル資金の調達では、米国債利回り-0.1%(-10bp)程度なので、米国債利回りよりも安くドルが手に入ります。

一方ドルを提供する投資家は、日本にドルを提供するよりも米国債に投資する方が+0.1%儲かるのです。

参考
ユーロでも国内銀行に有利な状況となっており、円をユーロに替えて欧州債に投資すると、利回りは本来の利回りに+0.2%(+20bp)程度上乗せされます。


したがって、現状として「円高」にはなりようがないのです。
(それとも円は危険通貨になったのでしょうか?、それなら超円安になるばず・・・)

マスコミも身銭を切って為替取引をしてみれば、ドルのスワップポイントがどのように変化しているのかが実感としてわかるのではないでしょうか。

その実感が肌身にしみれば「円は安全通貨」というばかなことは書かなくなると思います。