2020年1月14日火曜日

確定拠出年金(iDeCo)の投信は9割りが くずだ!

2020/1/19  純資産額について補足を追加


この数年間iDeCo(確定拠出年金)が急速に伸びています。

企業型ではこの5年間に1.8倍に、個人型(iDeCo)では6.6倍にも増えています。

金融庁の金融審議会が公表した「老後資金が2000万円不足する。」という脅しが効いたのか、とってもお得なiDeCoに人気が集中しています。

でも「つみたてNISA・・・金融庁がお勧めする老後資金作りの決定版」に投稿したように、確定拠出年金の運営管理機関が提案する投資信託はくずばかりです。

そこで金融庁は、後発となるつみたてNISAの制度設計では、対象商品を厳選し、どれを選んでもほぼ絶対儲かるようにしています。

おかげさまで私も「つみたてNISA」でがっちり儲けさせていただいてます。(^_^)

したがって確定拠出年金の投信は「つみたてNISA」のようにどれでもお得とは言えないので、極めて慎重に商品を選ぶ必要があります。

その状況を日経が詳しく書いています。
企業型確定拠出年金、高コスト投信なお 老後資金に大差


記事の要旨

1 企業型では、決められたメニューからしか投信を選べないので、企業のメニューに載せる商品選びで、積立額に大きな差が生まれる。

2 信託報酬が1%の割高な投信と0.2%の低コストの投信では、30年間積み立てると、総額で300万円以上の差となる。

3 現状、信託報酬が1%超の割高な投信が増加傾向にあり、この4年間で1.7倍に増加している。

4 個人型は自由に金融機関を選べ、高コストの投信が選ばれることは少なく、一方企業型では高コストの投信が多くメニューに乗せられている。

5 投信会社は、信託報酬をぎりぎりまで低下させているが、企業から選ばれた運営管理機関(銀行など)が手数料稼ぎのため、そのような割安な投信をメニューから外している。

6 このような傾向は、大企業では少なく、力関係が弱い中小企業では運営管理機関の言いなりになっている。

7 この状況に激怒した厚生労働省は、運営管理機関の反対を押し切り、運営管理機関ごとの商品一覧表をそれぞれのホームページで開示させた。

注意
要約には多少の誇張がありますが、気にしないでください。m(_ _)m

記事の感想
日経は財務省と金融機関のポチかと思っていましたが、案外良い仕事をしています。


さて、確定拠出年金の実態はどうでしょう?

厚生労働省がせっかく苦労して「運営管理機関登録業者」を作成しているので、企業の確定拠出年金担当者や加入者の皆様に大いに活用してもらいたいのですが、いかんせん、運営管理機関側の「隠したい」意図がホームページにはにじみ出ていますので、膨大なデータから有益な情報を見いだすことは、素人では無理だと思います。

そうは言うものの、仕事として運営管理機関を選定する企業の担当者にはこの情報を精査し、従業員の幸せのため、しっかりと業者選定と商品選定をしてもらいたいものです。

一方プロのFPはどうかと言えば、投信を売っているFPは金融機関の手先ですから、割安な投信を提案することなど端から考えていません。

そこで、たぶん私しかやらないと思いますが、がんばって、世のため人のため、前記ビッグテータを解析してみました。

最初に運営管理機関の三井住友信託銀行から・・・

あらら
ホームページに公表はしているものの、データのダウンロードもコピペもできません。
見るだけ~なのです。(そんなにしてまで・・・)

このような信頼できない業者は放っておいて、善良?なる運営管理機関のホームページへ

では三井住友銀行から分析してみます。
こちらはちゃんとコピペできました。(三井住友信託銀行も見習ってほしいものです。)

三井住友銀行が運営管理機関として提供している投資信託は272本あります。

これを信託報酬の安い順にヒストグラムにしたものが次のグラフです。


左側の0.0%の柱状グラフは、信託報酬が0.2%未満のものの比率を表しており、実質は0.13%が最低の信託報酬となっています。

このヒストグラムより、代表値は次のとおりです。

平均値         0.82%
モード(最頻値)    0.2%以上0.4%未満
メジアン(中央値) 0.67%

三井住友銀行では、信託報酬が0.2%以上0.4%未満の商品が最も多く、0.4%未満の商品は全体の29%あります。

一方1%以上の商品も36%ありますから、ちょっとした商品説明の仕方により、こちらへ誘導されてしまう方が居るかも知れません。

さて、これら豊富なメニューを見て、「いっぱいあっていろいろ選べるから嬉しい。」というバカな考えは止めた方がよさそうです。

選ぶべき商品はグラフ左端の0.0%の柱状グラフに入っているものだけです。

つまり信託報酬が0.2%未満の投資信託だけがあなたが選んで良い商品なのです。

具体的には

「野村DC国内株式インデックスファンドTOPIX(国内株式パッシブ)」信託報酬0.15%
「野村外国株式インデックスファンドMSCI-KOKUSAI(外国株式パッシブ)」信託報酬0.15%
などがお勧めです。

それ以外はすべて「くず」です。

なぜなら信託報酬と騰落率には相関がありませんので、信託報酬が0.15%に対して1.6%の投資信託が10倍儲かることはあり得ないのです。

インデックスタイプで同種の投資信託ならば、信託報酬にかかわらず騰落率はほぼ同一ですから、商品選択の唯一の基準は安い信託報酬のものを選ぶことです。

株屋さんなどは「プロが運用するアクティブ投信は儲かりますよ!」とか言いそうですが、これは明確に「詐欺」です。

投資においては、プロの運用(アクティブ)と素人の運用(パッシブ)に明確な差はありません。

次に保険会社2社を比較してみます。

日本生命


このヒストグラムより、代表値は次のとおりです。

平均値         0.79%
モード(最頻値)   0.2%以上0.4%未満
メジアン(中央値) 0.61%

三井住友銀行に比較し、日本生命は0.2%未満の商品が19%もあり、比較的よい商品が多いと言えます。

お勧めは、

「DCニッセイ国内株式インデックス(国内株式パッシブ)」信託報酬0.15%
「DCニッセイ外国株式インデックス(外国株式パッシブ)」信託報酬0.15%
などです。

明治安田生命


このヒストグラムより、代表値は次のとおりです。

平均値         0.78%
モード(最頻値)    0.2%以上0.4%未満
メジアン(中央値) 0.61%

代表値としては、ほぼ日本生命と同じですが、0.2%未満の優良な商品が極めて少ないと言えます。

つまり選べる商品が、日生が47本に対して明治安田生命は15本しかありません。

とは言うものの、少ない商品の中からお勧めは、

「DCニッセイワールドセレクトファンド(株式重視型バランス、パッシブ)」信託報酬0.15%
「野村DC国内株式インデックスファンドTOPIX(国内株式パッシブ)」信託報酬0.15%
などです。

つぎに地銀3社を見てみます。

横浜銀行


このヒストグラムより、代表値は次のとおりです。

平均値          0.92%
モード(最頻値)    1.6%以上1.8%未満
メジアン(中央値) 0.75%

なんじゃこりゃ~

信託報酬が0.2%以下はわずか1本。

モード(最頻値)が1.6%以上1.8%未満ということは、ハマギンで売りたい商品はこのクラスのようです。

そうは言うものの、運営管理機関に選んでしまった企業もあるかと思いますので、お勧めの商品を記します。

「DIAM国内株式インデックスファンド<DC年金>」信託報酬0.24%
「三菱UFJ プライムバランス(安定型)」信託報酬0.24%

ハマギンを選んでしまった会社の方は、商品選択で要望を伝えるか、最終的には運営管理機関の変更も考えた方がよいのでは。

ハマギンが株主だと何も言えないのかな~

千葉興業銀行


このヒストグラムより、代表値は次のとおりです。

平均値         1.18%
モード(最頻値)    0.6%以上0.8%未満
メジアン(中央値) 1.02%

これはハマギンより悪い例です。

なにしろ0.4%未満がハマギン11本に対して千葉興銀1本。

メジアン(中央値)は1%を超えています。

運営管理機関として選んでしまった会社は、社員を人質にしてお金を借りているのかな?

最後に琉球銀行を見てみます。


このヒストグラムより、代表値は次のとおりです。

平均値         0.47%
モード(最頻値)    0.0%以上0.2%未満
メジアン(中央値) 0.48%

すばらしい!!!

信託報酬0.2%未満が全体の35%(7本)もあります。

琉球銀行さん、これで儲かっていますか?
ちょっと心配になります。

でも銀行として、お客様のため努力している様子がとてもよく分かります。

ではお勧めは、

「DCニッセイ外国株式インデックス(外国株式パッシブ)」信託報酬0.15%
「野村外国債券インデックスファンド (DC)」信託報酬0.15%
「DC日本債券インデックス・オープンS」信託報酬0.18%
「DCニッセイ日経225インデックスファンドA」信託報酬0.19%
「DCインデックスバランス(株式20)」信託報酬0.19%
「DCインデックスバランス(株式40)」信託報酬0.20%

沖縄の企業の方は、ぜひ琉球銀行を運営管理機関に選んであげてください。m(_ _)m


補足
信託報酬と共に投信選択の重要な要素として「純資産額」があります。

純資産額とは、どれだけその投信が買われているのか、つまり人気の指標と言える数値です。

この金額が数十億程度と少ない場合、20年ぐらいの長期で考えると、繰上償還されてしまう可能性があります。(投信会社として、純資産額が少ないと維持管理できなくなるため、その時点で精算し、残っているお金を投資家に返します。)

そうすると、せっかく積み立てて来たものが、強制的に精算され、確定拠出年金はその時点で終了となってしまいます。(清算後に返金される金額が増えているのか減っているのかは時の運です。)

ですから投資信託を選ぶときには「寄らば大樹」、とにかく純資産額の大きな商品を選びましょう。

参考として大和証券の企業型商品155本について純資産額の分布状況を示します。


このグラフより、なんとモード(最頻値)は、純資産額が10億円未満となっています。

具体的には
○ダイワつみたてインデックスバランス50
  信託報酬0.15%、純資産額2百万円(2019年12月)
○DCダイワ・ターゲットイヤー2050
  信託報酬0.4%、純資産額3千万円(2019年12月)

ターゲットイヤー2050と看板を掲げていますが、純資産額が3千万円ですから、たぶん数年以内に繰上償還されてしまうのは確実だと思います。

ですから、このようなごみのような投信に引っかかってはいけません。

寄らば大樹ですから、大和証券の商品の中で私のお勧めは次のとおりです。

○野村外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI
  信託報酬0.15%、純資産額2,067億円(2019年12月)
○三菱UFJプライムバランス(安定成長型)
  信託報酬0.25%、純資産額2,138億円(2019年12月)



以上ご参考としてください。

参考
morningstar アナリストの視点




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