2020年6月22日月曜日
ドルコスト平均法(定額購入法)と定量購入法の比較研究
積立方式としてこの2つの方法がありますが、結論は、ドル・コスト平均法がもうかります。
たとえば過去4年間に計100万円をそれぞれの方法でTOPIX株価指数に連動するETFに投資した場合、ドル・コスト平均法では元本が1,109,376円に増え、定量購入法では1,097,622円に増えます。
したがってドル・コスト平均法では定量購入法よりも11,754円(約1.2%)もうかります。
なぜこの差が生まれるのか、以下にその詳細を記します。
<前提>
○投資元本100万円
○使用データ TOPIX東証株価指数(2016/1/4~2019/12/27)日次データ
○ドル・コスト平均法による投資
毎月月初に20,833.33円(=100万円÷48月)をTOPIXに連動するETFに投資します。
○定量購入法
毎月月初にTOPIX東証株価指数1口分のETFを購入します。
48月分の東証株価指数の合計は75,793.53ポイントとなるので、
指数1ポイント当たりの投資額は13.1937円(=100万円÷75,793.53)となります。
購入例
2016/1/4のTOPIX指数は1,509.67なので
この月の投資額は、
1,509.67(1口分)×13.1937円=19,918.19円
となります。
○利益率
投資する各月について、その投資額が値上がりすると、2019/12/27日時点の利益額を100万円で割った割合を100倍した数値(ベーシスポイント)を計算し、表及びグラフに表示しています。(表及びグラフの表示では(%)となっていますが、示している値はベーシスポイントです。)
以上の前提より、各月の投資等の状況をまとめたものが次の表となります。
注意
倍率=2019/12/27の指数÷投資日の指数
この表より利益率の変化を示したのが次のグラフです。
グラフの左軸は利益率(%)を、右軸はTOPIX指数を示しています。
このグラフより、2016/7/1①の状況を見てみます。(表の年月日のゴシック体参照)
○ドル・コスト平均法
2016/7/1の投資額は20,833.33円、この額が2019/12/27の時点で1.3816倍となるため、元本は28,784.09円に値上がりし、利益率は79.51%(利益額7,950.76円)となります。
○定量購入法
同様に、この月の投資額はTOPIX ETFを1口分(1,254.44ポイント)購入します。
このときの投資額は、
1,254.44×13.1937円=16,550.75円
この額が2019/12/27の時点で22,867.12円(1口分)となるので、
利益率は63.16%(利益額は6,316.37円)となります。
ドル・コスト平均法の利益率79.51%(利益額7,950.76円)は、定量購入法の利益率63.16%(利益額は6,316.37円)より高くなっています。
この原因は、ドル・コスト平均法はTOPIXの割安な時期に定量購入法よりも多く投資しているためです。
参考
ドル・コスト平均法の利益額と定量購入法の利益額の差は、
7,950.76円-6,316.37円=1,634円
これは投資額の差から生じたものです。
投資額の差=20,833.33円-16,550.75円=4,282.58円
この差額が産む利益額=4,282.58円×0.3816=1,634円
(期間利回り0.3816=1.3816倍-1)
次にTOPIXが割高な時期②(2018/2/1)の状況を見てみます。
○ドル・コスト平均法
投資額 20,833.33円
利益額 -1,528.83円
利益率 -15.29%
○定量購入法
投資額 24,678.10円(=1,870.44×13.1937円)
利益額 -1,810.98円
利益率 -18.11%
定量購入法は、ドル・コスト平均法よりも282円損をしています。
これは割高な時期に定量購入法は、ドル・コスト平均法よりも3,844.77円多く投資せざるを得なかったためです。
2019/1/4③の状況も①と同様であり、割安な時期により多く投資することで、ドル・コスト平均法は定量購入法に勝っています。
定量購入法は、割安な時期には投資額を減らしてしまうため、もうけ損なうのです。
○ドル・コスト平均法
投資額 20,833.33円
利益額 3,710.51円
利益率 37.11%
○定量購入法
投資額 19,410.10円
利益額 3,457.02円
利益率 34.57%
では定量購入法が一矢報いているときはないのか?
ありました。2017/10/2④です。
○ドル・コスト平均法
投資額 20,833.33円
利益額 741.41円
利益率 7.41%
○定量購入法
投資額 22,081.30円
利益額 785.82円
利益率 7.86%
こうなる原因は、株価が割高でもなく、割安でもないときに、定量購入法がドル・コスト平均法よりも少し多く投資していて、かつリターンも平均並みの場合に発生します。
同じ状況が2019/10/1~2019/12/2でも発生しています。
でも勝ったからと言って僅か44円ですから、誤差程度です。
以上の結果より、ドル・コスト平均法が定量購入法に比較し優れている理由は、次のように分析できます。
それぞれの投資方法は、次の模式図で示される直線となります。
注
①~④の数字は前記状況に対応した場所のイメージ(時期については前後しています。)
ドル・コスト平均法は、投資月額が一定で、合計の投資額は、青線を上辺とする長方形の面積となります。
定量購入法の投資月額は、投資対象の価額とともに上昇し、合計の投資額は緑線を斜辺とする台形の面積となります。
投資合計額を一定とすると、この長方形の面積と台形の面積は等しくなります。
(この前提において、それぞれの投資方法を公平に評価できます。)
参考
投資対象の価額は変動しますから、定量購入法の投資合計額は、投資期間について積分した値となります。(投資期間の指数の累計に比例する。)
さてドル・コスト平均法が、積立投資の中でなぜ最強なのかを分析すると、次の結論が導かれます。
○前掲グラフより、利益率は、時間を遡るほど大きくなっています。これはTOPIXなどの指数は年率6%程度で上昇するため、時間を遡るほど期間利回りが大きくなります。
定量購入法は、この時期の指数が低く、投資額が少額となり、一方ドル・コスト平均法は、この時期により多く投資するので、期間利回りを有効に活かせます。
注
指数が右肩上がりではない場合、期間利回りは0以下となるので、この効果はなくなります。
○定量購入法は、割高な時期により多く購入し、割安のときに僅かしか購入しないため、投資効率が悪くなります。
○定量購入法は、指数の上昇に伴い投資額が増大するため、いつまでも続けられません。いつかは定額購入法(ドル・コスト平均法)にせざるを得なくなります。
ということで、長期の積み立て投資にはドル・コスト平均法がベストです。
ドルコスト平均法の効果とは?