個人年金保険への課税については、保険料支払いのときと、年金受取のときに区分して解説します。
保険料控除は、「一般の生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2つがあり、それぞれ所得税が5万円、住民税が3.5万円まで控除できます。(平成24年分からは介護医療保険料控除が新設され、生命保険料控除は生命、年金、介護医療の3種類となり、それぞれが所得税最高4万円、住民税最高2.8万円まで控除できるようになります。)
個人年金保険の保険料は、原則一般の生命保険料控除の対象となりますが、つぎの場合には、個人年金保険料控除が別枠で受けられます。
・年金の受取人が契約者本人または配偶者であること
・年金の受取人を被保険者とすること
・保険料払込期間が10年以上あること
・年金の種類は、受取期間が10年以上の確定年金・有期年金であり、年金開始日において被保険者の年齢が60歳以上であること
・「個人年金保険料税制適格特約」を付加していること
(特約で医療などを付けている場合は、その部分の保険料は含まれません。)
保険料の支払いにおいて、[前納]している場合は、割引がありますから、例えば10年分100万円の保険料を、前納割引して92万円を一括して支払った場合、当年の個人年金保険料控除額は、
92万円×1/10年=9.2万円
年間の保険料が10万円以下ですから、生命保険料控除の式で計算すると、
9.2万円×1/4+2.5万円=4.8万円
4.8万円を控除できます。
住民税は、7万円を越えていますから、控除額は最高の3.5万円となります。
翌年以降も同じ額を控除できます。
参考:生命保険料控除の式
所得税
年間の保険料額 2.5万円以下は、全額控除できる。
2.5万円超~5万円以下は、保険料×1/2+1.25万円
5万円超~10万円以下は、保険料×1/4+2.5万円
住民税
年間の保険料額 1.5万円以下は、全額控除できる。
1.5万円超~4万円以下は、保険料×1/2+7,500円
4万円超~7万円以下は、保険料×1/4+1.75万円
保険料を[一時払い]とした場合は、「保険料払込期間が10年以上」になりませんから、個人年金保険料控除ではなく生命保険料控除となり、保険料を支払った年の1回だけ5万円が控除でき、翌年以降の控除はありません。
個人年金保険と貯蓄を比較した場合、保険屋さんは生命保険料控除があるから有利と説明しています。
貯蓄だけを比較した場合、個人年金保険がお得なのは明らかです。
しかし、年金保険には私的と公的があり、公的な国民年金基金や確定拠出年金(401K)などは掛金全額が所得控除されますから、個人年金保険料控除の数倍から10倍もお得になります。
注
国民年金基金は自営業者などの国民年金の1号被保険者が加入できる制度です。
確定拠出年金はサラリーマンは企業型に自営業者などは個人型に加入できます。
生命保険料控除を加味した比較は、つぎの投稿をご覧ください。
東京海上日動あんしん生命の個人年金保険はお勧めか?
国民年金基金はお得か?
確定拠出型年金のすすめ
貯蓄性の良い個人年金保険
グラフで見る個人年金保険商品別の貯蓄額
公的な年金が制度的に有利なことは明らかですから、個人年金保険を検討する前に、サラリーマンなら確定拠出年金(企業型、個人型)や利子非課税が使える年金財形を優先的に検討すべきです。
高利回りの社内預金があるなら選択支の一つです。(公務員共済ではびっくりするほど高利回りな貯金があります。)
確定拠出年金ではマッチング拠出(企業型でも個人からの拠出ができるようになる。)が検討されていますが、拠出金が全額所得控除されますから、制度が発足したら最優先で余裕資金を配分すべきです。
個人事業主の人は、国民年金基金または確定拠出年金(個人型)を是非お勧めします。
年金受取時の税金は次回に・・・
個人年金保険の保険料と年金にかかる税金(その2)