2020年4月20日月曜日

S&P500 ETFは買うべきか買わざるべきか?


わたしは今回のチャンスに、しこたまS&P500 ETFを買いました。

こんなバーゲンセールはめったに来ないし、バフェット推奨銘柄ですから、まったく迷いはありません。

一方日経さんは「止めとけ!」とおっしゃっています。

米株、インデックス投資は再考の時か

日経の挙げた理由は次のとおりです。

1 企業には強い企業と弱い企業がある

   両方を含むS&P500は年初来で11%下げ、強い企業の多いナスダック100は1%上昇している。(強い企業だけを選ぶべきだ。いわゆる物色の目利きが必要だ。)

2 S&P500の17日終値2874は、年度末の収益から見積もるとまだ高い

  日経の見積りは次のとおり。
  PER18倍、1株利益130ドルとすると、S&P500種平均株価は2340になる計算
  2874>2340 なのでまだまだ株価は高すぎる。

3 S&P500種はナスダック100などに比べ今後も運用成績で見劣りする可能性が高い。
   利益の出ない弱い企業が多くいるため。

4 米株市場では指数連動型のインデックスファンドが幅を利かせているが、強い企業だけを物色すれば儲かるはずだ・・・(インデックス投資は再考すべきだ。)


世間で言われているように「日経」は経済記事以外はよいのですが・・・

この記事をバフェットが読んだら、「よしナスダック100を1億ドル買うぞ!」って言うのでしょうか?

たぶん・・・ないと思います。

まあ世の投資家にとって「日経」は「逆神」というのが通説ですから、記事とは反対側に投資すれば儲かる・・・と言われています。

今時こんな根拠の薄弱な記事、素人のブログでも書かないと思うのですが。

以下は、この記事に関する川島FPの分析です。

1 株価は予測できるのか?

今回ナスダック100がS&P500に勝てたのは結果論です。
1月にナスダック100を推奨したのなら尊敬しますが、後出しぢゃんけんで自慢げにアホなことを書くのは止めた方が良いと思います。

次に現状の株価についても幼稚な見積りをしていますので、少し見てみます。

基本公式
PER(株価収益率)=株価÷1株当たりの純利益(EPS)
(または、EPS×PER=株価)

日経の試算では、1年後の利益予想をEPS=130ドル(?)と見積もると、
現状の適正な株価は、PER=18倍として(?)
S&P500株価=EPS×PER=130×18=2340
しがって現状株価2874は割高となるそうです。

でもなんでEPS=130ドルなのでしょう?(JPモルガン・チェースが2割減と言っていたから・・・)
トヨタが自社の来期の利益予想を公表したのなら信用できますが、日経がS&P500全体のEPSを130ドルと決め打ちしても、誰が信じるのでしょう。

参考
ゴールドマン、米国株の下落見通し弱める-上昇傾向受けて予想撤回」2020/6/2

もしEPS=150ドルなら
S&P500株価=150×18=2700
となり、現状の株価2874はまあまあ買って良いレベルです。

それにPER=18倍は絶対正しいのでしょうか?
いずれにしろ、PER=18倍、EPS=130ドルは適当過ぎる前提と言えます。

いや、もしかして「日経」にはすばらしい水晶玉があって、誰にも分からない未来をぴたりと当てられるのかも知れません。

2 強い企業と弱い企業の見分け方

   日経は、現状の困難な状況でも儲けている企業が強い企業で、損失が大きい企業が弱い企業だと断定しています。

 具体的には、「巣ごもり消費」を追い風にアマゾンやネットフリックスが儲かっており、方や「資本財・サービス」「金融」「エネルギー」の不況3業種は弱い企業の代表のようです。

 したがって日経は、インデックスファンドはS&P500種をまるごと買うのはばかげていて、儲かっている(強い)企業だけを物色して買うべきだと御託を述べています。

  しかしその考え方は、100年も前から数限りの無い論理で投資信託に応用され、そして消えていったものであり、テーマ型とかスマートβとか今でも性懲りも無く生きながらえています。

 それよりも日経が自慢げに100年も昔のアイデアを書いていることに驚かされますが、とは言え現役のファンドマネージャーたちは「素晴らしいアイデアだ!」と感動してくれるのでしょうか?

参考
日経の記事のように簡単に儲けられる方法があるなら、誰かがとっくの昔に採用しているはずです。しかし現実は、物色の腕をセールスポイトとしているヘッジファンドが敬遠され、日銀をはじめ機関投資家では、インデックス投資(ETF)が主流となっています。
 それにヘッジファンド VS バフェット(S&P500 ETF)の10年勝負では、バフェットの圧勝でした。

 まあ馬と鹿さんはほっといて、賢い投資家の皆さんは、正しい市場原理を学びましょう。

 強い企業つまり儲かっている企業の株価は人気があり、当然割高です。PERは40倍とかになっています。

一方儲かっていない企業の株価は割安です。PERは10倍程度。

 そこで、魅力的な株は高値で、魅力の無い株は安値で売られることで、結局投資家はどちらを買っても損得がないようにバランスがとられているのが株式市場というものなのです。

 そうなる仕組みは、ファンドマネージャーたちは日々血眼で割安な株を探し、少しでも安く仕入れています。

 したがって株式市場のすべての株式には、いつでも適正な値が付けられていることになります。(効率的市場仮説)

  日経のアイデアのように、果たして強い企業の(割高な)株ばかりを買い集めたファンドは、インデックスに勝てるのでしょうか。

効率的市場仮説から導かれる結論は、それぞれの成績に差は出ないと考えられます。(だから分散効果の働く(リスクの低い)インデックスが機関投資家に買われているのです。)

参考
近年、アクティブファンドに対してインデックスファンドとETFが急速に普及して来た背景として、効率的市場仮説に対する信認があります。

注意
当然今回のようなブラックスワンが発生すると、効率的市場仮説では説明できなくなり、なかにはすごく儲かった株が発生しますが、事前にこれを予測することはできません。

 もしかして日経さんは効率的市場仮説を知らなかったのでしょうか?

 それともファンドマネージャーたちをはるかに凌ぐ目利き(すばらしい水晶玉)が日経にはいるのかも・・・

蛇足
この手のまやかしの一つに「成長率神話」があります。GAFAのような新興企業は高い成長率が売りです。したがってファンドは、オールドエコノミーよりも成長率の高い新興企業だけに投資すれば儲かる、という考え方です。(日経のアイデアよりは賢そうでしょう?)
でもジェレミー・シーゲルは「株式投資の未来」の中で「こうした急成長国の銘柄を買いたくなるだろうが、それは、おそらくまちがいだ。」と言っています。
その理由として「高い成長率は、かならずしも高いリターンを意味しない。国外企業であっても、国内企業にあっても、同じことだ。投資家リターンの基本原則にあるとおり、肝心なのは、成長率が期待に対してどうだったかであって、成長率そのものの水準ではない。株式市場のリターンを国別に比較した調査の結果も、はっきりこの説を裏付けている。成長率の信奉者を安心させる結果にはなっていない。」のだそうです。


 ですから、以上のことをよく理解しているバフェットは、だれにも注目されていない割安な企業を丸ごと買ってしまうことで年率20%超のリターンを挙げているのです。


 以上の分析より、日経は投資家としては素人以下と思われます。

 「人の行く裏に道あり花の山」


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