2010年6月30日水曜日

リーマンショックでわかる日本の投資家の特徴

過去6年間の投資信託の純資産残高を「世界」と「日本」に分けてグラフにしました。
データは投資信託協会HPを参照しています。

下図の「日本」のグラフについては、株式投信だけが左目盛りとなっています。左右の目盛りの単位に注意してください。上図「世界」は左目盛りだけです。

上図の「世界」から見える特徴は、
株式投信は、2004年から2007年にかけて72%増加し、リーマンショック後48%減となっています。(リーマンショック後ニューヨーク・ダウは、50%下げています。)

リスク資産の逃避先と考えられる公社債投信は、株式投信同様に純資産を21%減らしています。
この際MMFが17%も増加し、資産合計でも2004年比で74%増加しており、株式投信残高の90%にも達しています。

MMFは、公社債投信の一種であり、リスク対応への使い勝手の良さから資産の逃避先として選ばれたものと考えられます。

一方下図の「日本」から見える特徴は、
株式投信は2004年から2007年にかけて143%増加し、リーマンショック後39%減となっています。(リーマンショック後日経平均は、59%下げています。)

日経平均が59%下げていても株式投信の純資産が39%しか下がらない原因は、この間も割安となった株式投信を買っていた(証券マンが売り込んでいた?)と考えられます。

公社債投信もリーマンショック後は、14%減となっています。

特徴的なのは、「世界」ではリーマンショック後MMFが急増しているのに対し、「日本」では、MMFが10%減となっており、その純資産額も株式投信の6%程度とごく僅かな金額に止まっていることです。

もうひとつの特徴として不動産投信(REIT)がリーマンショック後も8%増加していることです。
しかしこれは、REITには買い取り(解約)がないため、純資産額の変化は、株式市場の変化よりも不動産価格の変化に影響されるからだと考えられます。

以上から分かることは「日本」の投資家の大きな特徴として、株式投信に偏重しすぎている点です。
リスクに柔軟に対応するためには、MMFなどの安全性と流動性のある資産を取り込んだポートフォリオの構築が望ましいのではないでしょうか。