SPDR®(スパイダー)ゴールド・シェア(1326)はお勧めなのだろうか?
テレビCMも流されていて、手軽に金に投資が出来、アベノミクスによるインフレ対策として人気がでているようです。
SPDR(スパイダー)ゴールド・シェアは、SSgA(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社)の金現物連動型ETFです。
このETFは、2004年に米国初のコモディティ(商品)ETFとして作られ、2008年に東京証券取引所に上場されています。(どこの証券会社からでも買えます。)
3月11日現在の資産残高は630億ドル(約6兆円)と金現物連動型ETFとしては世界最大、世界中のETFにおいても第2位の資産残高を誇っています。
信託金残高は現物の金の地金であり、約1,240tonを保有しています。
この金の保有量は、全世界で宝飾用に使われる金が年間約1,500tonですから、ほぼこれに匹敵します。
ちなみに日本国の金保有量は約760ton。SPDR(スパイダー)ゴールド・シェアの金保有量はこれの1.63倍にもなります。
約1,240tonの金は、HSBC Bank USA, N.A. ("HSBC")によって同行のロンドン貴重品保管室に保管をされています。
金の密度は19.3と高く、約1,240tonの金の体積は64.2㎥ですから、延べ棒として積んだとしても縦・横・高さ5mの部屋に入ってしまいます。(実際はフォークリフトなどの作業スペースが必要なのでもっと広いと思います。)
一方ステート・ストリートは機関投資家を主たる顧客とする世界有数の金融サービス会社であり、その歴史は古く、起源は2世紀以上も前に遡ります。
SSgA(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社)は歴史あるステート・ストリートの資産運用部門であり、運用総資産額は約2兆ドル(190兆円、2012/9/30現在)にもなります。(190兆円とは日本の一般会計2年分の額に匹敵します。)
またSSgAはAMEX とともにETFを開発した会社として知られており、1993年に米国初のETF、SPDR S&P500を上場しています。
さてSPDR®ゴールド・シェア(1326)についてです。
このファンドの運用目標は「金価格に連動する運用成果を目指します(信託費用差し引き後)」となっています。
「信託費用差し引き後」のかっこ書きがとても魅力的です。(日本の投信にもこのかっこ書きをぜひ付けてもらいたいものです。)
信託報酬等は0.4%程度です。
SPDR®ゴールド・シェアの 直近取引日の終値が1口(金約3g)¥14,410.00ですから、10口(30g)で約14,4万円とすると年間の信託報酬は576円ぐらいになります。
ちなみに田中貴金属で30gの金を買った場合、手数料は8,400円となります。(売る場合にも手数料がかかります。)
現物の金の売買や保管は手間がかかり、手数料も割高となります。
この点、金ETFは株式と同様にいつでも市場で売買ができ、信託報酬も極めて割安です。
したがって私は、投資対象として金を持ちたい方についてはSPDR®ゴールド・シェアをお勧めします。
とはいうものの投資対象としての「金」についての私の考え方は以前の投稿のとおりです。
「金」は株式や債券とちがい普遍的な価値をもっています。
世の中がどのようになろうと「金」だけはその価値を失うことがありません。
その一方、株式や債券は配当という利益を生み出しますが、金はなにも生み出しません。
200年間「金」を持っていても約15倍にしかなりませんが、株式は880万倍にもなります。
したがってこの特質から「金」は投資において資産保全の目的で利用すべきと考えます。
けっして「金」バブルでひと儲けなどと考えてはいけません。
安全第一で保有資産のすべてを銀行預金としている方については、インフレ対策としてその一部をSPDR®ゴールド・シェアに振り向けることはとてもよいと思います。
参考
2015/7/23
豊島逸夫氏のブログ「金暴落」
英フィナンシャル・タイムズ紙記事「5年ぶりの安値をつけた金相場」
閑話休題
SPDR®ゴールド・シェアの本質について、私の考えは「兌換紙幣」のようなものと考えています。
米ドルはニクソン・ショック以前まで兌換紙幣であり、いつでも金との交換ができました。
つまり「米ドル=金」の価値があったのです。
現在は管理通貨制度となり、紙幣(紙切れ)を中央銀行の信用力により世の中に流通させています。
SPDR®ゴールド・シェアは国家が発行しているわけではありませんが、その保有する膨大な金の信用力によりこのETFは世界で通用する通貨と考えることができます。
日本国債がもし暴落するような事態となったら、日本は保有する金の現物を市場で売却するよりもSPDR®ゴールド・シェアに現物出資しETFを受け取る方法がよいかも知れません。
その方がマーケットインパクトが小さく、かつ市場に買いたたかれることもなくなります。
儲けたい人のためのETF講座(その1)
儲けたい人のためのETF講座(その2)
儲けたい人のためのETF講座(その3)
儲けたい人のためのETF講座(その4)
儲けたい人のためのETF講座(その5)
儲けたい人のためのETF講座(その6)
儲けたい人のためのETF講座(その7)
儲けたい人のためのETF講座(その8)
儲けたい人のためのETF講座(その9)
儲けたい人のためのETF講座(その10)
儲けたい人のためのETF講座(その10補足)