儲けたくない人っているの?
たぶん居ないと思いますが、多くの個人投資家の投資行動は不合理であり、客観的に見て「儲かるもの」を選んでいません。
原因はいろいろあると思いますが、日本の金融商品は「販売側の論理」でマーケットが作られているため、結果として個人投資家がカモにされています。
金融商品については、売る側と買う側の「情報格差」が極めて大きく、商品自体の価格も変動するため、投資家は儲からなくても「市況の悪さ」や「運のなさ」にあきらめるしかないと思い込んでいます。
でも売る側は販売手数料(コミッション)の良い、しかも一度売れれば毎年固定収入(フィー)となる「おいしい商品」を売っていれば、「市況」がどうであろうとがっちり儲かる仕組みになっています。
私の見る限り、現状では投資から得られるリターンの7割ぐらいは売る側が天引きし、わずか3割ぐらいが投資家に配当されているのではないでしょうか。
例えば、銀行預金のスーパー定期5年物に100万円預金した場合、銀行は5年国債で運用すると0.2%のリターンとして2000円が得られますが、預金者には0.069%の金利として690円を支払っています。
この場合、預金者には利益の34%が支払われたことになります。
(預金者としてはせめて50%ぐらいは還元して貰いたいですね。)
銀行預金は、リスクフリーですから、このぐらいのリターンでガマンするのもやむを得ないかも知れませんが、リスク性の商品では販売者側のリターンは大きく、投資家が得られるのはマイナスのリターンと過大なリスクとなっています。
証券会社、銀行、郵貯、投信評価会社、出版社などすべてが「金融商品」が売れることで直接間接に利益を得ています。(投資信託などを販売しているFPもほぼ同類です。)
売る側が確実に儲け、買う側はあるかなしかのリターンでガマンしているのが現在の日本の金融商品のマーケットと言えます。
ではどうしたらいいの?
簡単です。
金融商品を販売する側が儲からないもの(お勧めされないもの)を選べばよいのです。
具体的な例をあげれば、上場投資信託(ETF)があげられます。
投資信託のコスト(投資家側の負担、販売側の利益)である信託報酬は1~1.6%が常識となっていますが、ETFは0.05~0.6%程度しかありません。
100万円を投資したとすると、1年間の信託報酬は、
1.6%の信託報酬なら 16,000円
0.05%の信託報酬なら 500円
10年間そのまま保有したとすると、10年間の信託報酬は、
1.6%の信託報酬なら 160,000円
0.05%の信託報酬なら 5,000円
その差は15万5千円もあります。
ファンドマネージャーが信託報酬1.6%見合う運用をしてくれるのなら何も言いませんが、プロの運用と素人の運用には差が無いことは事実ですから、差額の15万5千円は明確にぼったくりと言えます。
一方米国ではすでに機関投資家も個人投資家も「低コスト」が常識になっています。
世界的に投資に対するリターンが低下しているのですから、儲けるためには「低コスト」にならざるを得ません。
参考
「投信の手数料打ち切りも」 米国投資家に学ぶべきコト
この結果、米国では2000年以来ETFの残高が約20倍(約1兆ドル)、日本のETFの資産残高が2.5兆円ですから、米国は日本の約32倍の規模となっています。
参考
日銀はETFの超大口投資家で、1兆4000億円も買っており、今後も1兆6000億円まで買う予定です。日銀がETFを選ぶ理由はやはり投信に比べ低コストかつ流動性、透明性に利点があるからだと考えられます。
「ヘッジファンドがあなたのETFに投じる260億円-変わる常識」
現在テレビコマーシャルで放送されているSPDRの S&P 500 ETFの信託報酬は0.0945%です。
日本では三菱UFJ投信のMAXIS TOPIX ETFの信託報酬が0.0819%です。
1.6%の投資信託と比較すると1/20の安さです。
残高100万円の投資信託なら損益に関係なく信託報酬として16,000円が天引きされますが、MAXIS TOPIX ETFならわずか819円。
株価が低迷する中PERも低下し、配当利回りが3%超の株式も増えてきましたが、これまでの投資信託に投資している人が得られる配当金は極わずしかありません。
もしETFなら投資がもっと楽しくなるかも知れませんよ。
次回からETFの具体例をあげて分析してみたいと思います。
参考記事
証券会社が売りたがらないETFは「安全確実に儲かる」か
投資や家計全般のご相談についてはこちらをご覧ください。
儲けたい人のためのETF講座(その1)
儲けたい人のためのETF講座(その2)
儲けたい人のためのETF講座(その3)
儲けたい人のためのETF講座(その4)
儲けたい人のためのETF講座(その5)
儲けたい人のためのETF講座(その6)
儲けたい人のためのETF講座(その7)
儲けたい人のためのETF講座(その8)
儲けたい人のためのETF講座(その9)
儲けたい人のためのETF講座(その10)
儲けたい人のためのETF講座(その10補足)
レバレッジETFのしくみと危険性について