「損切り」は、基本的にはリスクコントロールになりますから、リスクに対する理論的な面を把握する必要があります。
図1は日経平均株価の2010年における価格ごとの発生頻度を示しています。(図をクリックすると拡大されます。)
横軸は平均株価を1/100にした値です。
縦軸は、平均株価の発生割合(%)(度数)になっています。
例えば、90(株価9,000円)の所では、発生割合が2%弱(100回の内約2回ぐらいこの価格となる)の値となっています。
発生割合が最も高かったのは、96(株価9,600円)が9.4%となっています。
次に104(株価10,400円)が7%となっており、ダブルピークを形成しています。
表1には日経平均と、為替レート(円/ドル)のリスク値(σ)を示しています。リスク値(σ)は平均値からの価格のバラツキ程度を定量的に把握できる数値です。
平均値からの変動がなければσ=0となりますが、一定割合で増える定期預金などはσが0ではありません。
しかし定期預金では金利が1年間で0.5%ぐらいなのでほぼσ=0です。
注:σ シグマと読みます。
シグマは、統計学の標準偏差のことです。
投資ではσはリスクまたはボラティリティ(volatility)と言われています。
表から、1年間の日経平均ではσ=621円(6.2%)となっています。
円/ドルレートではσ=4円(4.5%)となっています。
対象期間を3年、5年と伸ばした場合は、サンプル数の増加と共に変動幅が拡大され、それぞれσが増えます。
為替レートについては長期的な成長も、倒産のような破綻もないので一定幅の中で変動する性質があり、日経平均のσに比較し長期間となっても拡大倍率はそれほど大きくなりません。
一般的に、いずれの期間においても為替レートは日経平均よりもσが小さくなっています。
図2参照(比較のため日経平均及び為替レートの価格の平均値を100%として、1年間の価格の推移をグラフに示しています。日経平均の変動幅の大きさに注目!)
σの変動幅の中にはサンプル数(終わり値)の約2/3(68%)が含まれます。
投資におけるリスクコントロールは通常「想定内」として2σを取ります。
2σとすると、サンプル数の95.45%が含まれます。
といっても、分かりづらいと思いますので、イメージとして平均値の株価に対して13%超の価格になる(値下がり、値上がり)ことが年に数回ぐらい起こるということです。
(厳密には取引日を250日とすると約11回)
図1の2σの範囲を参考にご覧ください。
さて今回はσについての説明だけとなりました。
次回はリスクコントロールについて説明したいと思います。
続く
損切りの哲学と理論(その1)
損切りの哲学と理論(その2)
損切りの哲学と理論(その3)
損切りの哲学と理論(その4)
損切りの哲学と理論(その5)
投資や家計全般のご相談についてはこちらをご覧ください。