2020年5月18日月曜日

バフェット、ジェフ・ベゾス、本間宗久に共通する、投資で成功する方法(その2)


投資時期について古の賢人、本間宗久翁は「相場三昧伝」で次のように諭しています。

第1章(三位)
米商いは、踏み出し大切なり。
踏み出し悪しき時は決して手違いになるなり。
又商い進み急ぐべからず、急ぐ時は踏み出し悪しきと同じ。
売買共、今日より外、商い場なしと進み立ち候時、三日待つべし。
是伝なり。
米の通いを考え、天井底の位を考え売買すべし。
是三位の伝なり。
天井値段底値段出ざる内は幾月も見合わせ、図にあたる時を考え、売買すべし。商い急ぐべからずとは天井値段を見ることなり。
天井底を知る時、利運にして損なきの理なり。
利運の米は強欲思わず。

意訳
投資は、いつ売買するかが大切である。
相場の悪いときに買ってしまったりすると損をしてしまうことになる。
また、売買は決して急いではならない。
あわてて売買すると、得てして相場の悪いときに買ってしまうものである。
売買とも、今日しかない、今がチャンスとばかり心が急いているときは、ぐっとこらえて3日ぐらい売買を待ちなさい。
これが伝えたいことである。
価格の変動を予測し、天井値段、底値段が見極められたなら売買をしなさい。
これが「三位」という必勝法である。
天井値段、底値段とならなければ、何ヶ月もじっと待ち、思った通りの値段となったときにやっと売買をするのです。
売買を急いではならないと言った理由は、天井値段になるときをじっと待つためである。
天井値段、底値段を見極められたなら、かならず幸運が訪れ、損がでることはけっしてないのである。
そして天井値段、底値段となったなら、「もう少し増やそう」などと欲張ってはならない。


本間宗久の時代、現代のわれわれのように銘柄選びで悩む必要はまったくありません。

なぜなら、この時代は米相場しかなかったのですから。

参考
大坂の堂島米会所(どうじまこめかいしょ)には正米取引(現物取引:米切手の売買)及び帳合米取引(先物取引)しかなかった。

したがって本間宗久の相場三昧伝では「いつ取引すれば良いか」のみが書かれています。

そして「相場三昧伝」の極意として、「三位の伝」つまり天井、中段、底値が見極められたなら売買をしなさいと云っています。

つまり、三位が見極められたなら、安値で買い、高値で売ることができ、けっして負けることはないのです。

そのため、思ったとおりの値段が出なければ、何ヶ月もじっと待ちなさいと云っています。

待ちなさいということは、いざというときのため、キャッシュポジションをずっと維持しなさいということです。

ですから、この見極めができず、ちょっとした噂に乗って投資してしまう素人は、相場などに手を出してはだめですよと宗久翁は諭しているのです。


次に宗久は、「休む」ことを繰り返し述べています。

短期的には、今が「買いだ」と思ったら、「三日待つべし」と云っています。

逸る気持ちを抑え、理性的に売買しなさいと諭しているのです。

そして長期的にも休み(つまりキャッシュポジションの維持)の大切さを書いています。

第28章 休み
商い利運仕当たる時、先ず大概に致し、留むるものなり。
その節一両日休むべし。
この休むことを忘るる時は、何程利運に向きても、商い仕舞いの節は決して損出べし。
勝ちに誇り、百両の利は二百両取る気になり、千両二千両の気移り、欲に迷うて見切りかね、損出るなり。
これ欲より出で迷うなり。
不利運の時はなおもっての事なり。
その時の見切り大切のことなり。慎み心得べし。

意訳
運良く大儲けできたら、図に乗ることなく、そのくらいにして一両日休むことが大切だ。
休むことをしないと、いくら幸運があっても、結局最後には必ず損が出てしまうものだ。
その理由は、勝ち誇って欲を出し、100両儲けたら、今度は200両儲けようと欲に迷い、正しい見切りが出来なくなるためだ。
運に見放されたときには、なおさら損を挽回しようと焦るため、一層損を出してしまう。
冷静に三位が見切れるためには「休み」を取り、冷静さと客観性を取り戻さなければならない。


宗久は、思いどおりに天井付近で売れ、大儲けができたら、しばらく休みなさいと云っています。

休むとは、つまりキャッシュポジションをしばらく維持しなさいということです。
(手元資金が豊富だからと言って、すぐに投資してしまうから損失を拡大してしまうのです。)

したがって本間宗久の投資法は、通常はじっとしてキャッシュポジションを維持し、三位が見極められたときだけ積極果敢に勝負に出ることで莫大な利益を得ていたのです。

一方、日々何か儲かることはないかと、目をぎらつかせて、ちょっとした情報ですぐに投資してしまう人が儲けられない理由がここら辺にありそうです。


参考
本間宗久は、帳合米取引(先物取引)で莫大な利益を得ました。先物取引は株式と異なり、ゼロサムゲームです。したがって価額は一定の範囲を上下動しているため、三位の見極めが重要となります。一方株式(インデックス)の価額は、短期的には変動するものの、長期的には年率約6%で永久に伸び続けますから、長期投資において三位の見極めの重要性は低くなり、いつでも投資に最適な時期と言えます。


その1