日経記事「投信の成績表、初の全社開示」の分析と評価
まずKPI(成績指標)ってなに?
「長期的にリスクや手数料等に見合ったリターンがどの程度生じているかを「見える化」するために、比較可能な共通KPIと考えられる以下の3つの指標を公表します。」
①運用損益別顧客比率(顧客の中で、儲けた人の割合)
投資信託を持っている人が、基準日において、手数料を引いた実質で儲かっているのか損しているのかの割合で、顧客比率が80%なら、儲かっている人が80%、損している人が20%となります。
②投資信託預り残高上位 20 銘柄のコスト・リターン
設定後5年以上の投資信託で、売れ筋商品(上位20銘柄)について、信託報酬などのコストとリターンの関係を示した指標。(これを比べるとコストが高い割りにリターンがしょぼい商品を売っていることが分かってしまいます。)
③投資信託預り残高上位 20 銘柄のリスク・リターン
設定後5年以上の投資信託で、売れ筋商品(上位20銘柄)について、リスク(標準偏差σ)とリターンの関係を示した指標。(これを比べるとシャープレシオ、つまり顧客が取ったリスクに見合ったリターンが得られているのかどうかが分かります。毎月分配型のハイイールド債などは、一見リスクが低い債券に思えますが、リターンがマイナスで、とんでもないリスクを取っていることがよく分かります。)
注意
解説部分は私の「オリジナル」です。
このKPIをすべての金融機関が公表するそうです。
つぎに日経記事が言いたい結論は、
「多くの金融機関では、市場環境を下回るリターンしか顧客に提供できていないことになる。」
「金融機関による提案・取扱商品の選び方に課題がある。」
まったくそのとおり。 ヘ(^o^)/
私が言いたいのは以上です。
なに?
分析がない・・・
じゃ・・・付け足しで
①運用損益別顧客比率(儲けた人の割合)
○銀行・証券などの金融大手 46%以下(つまり損した人の方が多い)
三菱UFJ 42%
みずほ銀行 46%
三井住友銀行 約4割(多分30%台)
○コモンズ投信・ひふみ投信などの独立系 90%台(儲けた人が90%以上)
アベノミクスで株が上がっているのに、46%以下とは・・・
参考(日経記事)
「イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕社長がKPI算出の対象となった5年以上の運用実績を持つ投資信託およそ3000本を対象に調査したところ、実績5年で収益率がマイナスとなったのは本数ベースで11%、同10年では5%にまで低下した。」つまり、コストが低ければ、儲けた人の割合が90%台になって当然なのです。
まあ顧客は、毎月分配型のハイイールド債(米国)を買わされていたので、アベノミクスは他人事。
そして銀行は、市況の善し悪しに関係なく、とてもおいしい手数料をガッポリ稼げたわけです。
したがってKPIが公表されると、大手金融機関がいかに酷い商品を売りつけ、儲けているのか「あくどさ率」が見える化されますから、私はとっても期待しています。
蛇足で、
「SBI証券や楽天証券などのプラス比率は高い一方、30%以上の利益を得ている顧客比率に限定すると意外に低い。」そうです。
ネット証券は、ETFなどのコスパの良い投資信託が選べるのですが、売買が簡単すぎるので、チョット値が上がると直ぐ売ってしまう、せこい投資家が多いため、2倍3倍とガッポリ儲ける長期投資家は意外と少ないようです。
金融庁は、一生懸命に金融機関と金融商品の改善に努力し、ここ数年で飛躍的によくなって来ましたが、これからは個人投資家が賢くならないことには、資本主義日本の明るい未来は描けませんし、豊かなセカンドライフも実現できないと思います。