2010年8月20日金曜日

投資の哲学(投資で勝つ方法)(その4)

いくら天才といえども未来は予測できません。
世に蔓延る占い師も、日々の占いで人を騙して稼げますが、相場で儲けることはできません。

LTCMの例に見るように、オプション理論でノーベル賞をもらった経済学者も相場で大損をしており、バフェットのようにお金持ちになった人はいません。

ですから、「未来は分からない」ことを前提として、相場においては「細心の注意」と「慢心の戒め」が特に大事なのだと思います。

今回の「相場三昧伝」は、宗久翁の「投資の哲学」を述べている部分について取り上げます。

第14章 相場は天然自然の理
米の高下は天性自然の理にて高下するものなれば、極めて上がる下がると定め難きものなり。
この道不案内の人は迂闊にこの商いすべからず。

意訳
米相場は、天然自然の現象により高下するものなので、人の力では予測も、コントロールもできない。
したがって、素人が迂闊に手を出すものではない。

コメント
天候が予測できるようになった現在は、相場も予測できるようになったでしょうか。
私は、現在においても市場は「天然自然の理」が支配していると考えた方がよいと思います。
なぜなら、市場を支配しているのが人の本能とも言える「欲」と「恐怖」だからです。

天候により米の収穫量は左右され、市場への供給量が増減しますが、需要については、「実需」、「虚需」がないまぜになり、価格が決定されますから、宗久翁の云う「天然自然の理」には、そのすべてを含み「定め難きもの」と諭しているのではないでしょうか。

第29章 慢心するな
数月思い入れよく、八九分通り仕当たり候節、必ず勝ちに乗るべからず。
唯無難に取り留むることを専らにすべし。
必ず必ず、欲を深くし迷うべからず。

意訳
何ヶ月も待って、思い通りに当たった時には、勝ち誇り、慢心しやすいものである。
勝った勢いでまた相場を張ってしまいがちであるが、失敗の元がそこにある。
「欲」に駆られ、もう一儲けなどと決して考えてはならない。
熟慮し、天井底を見極めてやっと得られた勝利であることを忘れず、当初の予定通り、利益を確定し、淡々と撤退しなければならない。
決して、決して「欲」に迷ってはならない。

コメント
そのとおりだと思います。

第30章 勝負は天井と底だけ
底狙い、天井狙い、売買すること。
専ら心掛くべし。

意訳
勝算があるときだけ勝負すること。
そのために三位を見極め、じっくり勝負のときを待ち、勝てるときにだけ勝負すれば、百戦百勝できる。

コメント
極めて単純な戦略ですが、この方法に勝るものはありません。
しかし私のような素人には、三位を見極める「眼力」もなく、「欲」を捨て「待つ」ことも大変困難な弱い心しかありません。
「相場三昧伝」のページを破いて、煎じて飲んだら少しは宗久翁に近づけるかな?

投資の哲学(投資で勝つ方法)(その5