2010年8月21日土曜日

投資の哲学(投資で勝つ方法)(その3)

宗久翁は「相場三昧伝」で「待つ」そして「休む」ことを繰り返し諭しています。
投資においては、日々相場の通い、三位を見極めじっとチャンスを「待つ」ことがいかに大切か、その心得を述べています。

第27章 休み(1)
不利運の節、売り平均買い平均、決してせざるものなり。
思い入れ違いの節は早速仕舞い、四~五十日休むべし。
十分仕当たる商いにても、商い仕舞い候後は四~五十日休み、米の通いを考え、三位の伝に引き合わせ、図に当たる時を考え又仕掛くべし。
何程利運を得てもこの休むことを忘るる時は商い仕舞いの時は極めて損出ると心得べし。
但し、商い仕舞い休むというは、何心なく休むにあらず、その気の強弱を離れ、日日通い高下を油断無く考うべきなり。
又前年売り方にて利運する時は又々強気に張り詰めるものなれども、これ又前年の気をさっぱり離れ、その時その年の作の様子、物の多少、人気の次第を考うること第一なり。

意訳
運に見放されたときは、一切相場を離れ、40~50日休むことだ。
運があるときにも、一時相場を離れ、40~50日休み、客観冷静に相場の動きを分析し、天井底の値段と比較し、やがて訪れるチャンスを待って、仕掛けるのだ。
いくら運に恵まれていても、「休む」ことをしないと、トータルとして損が出てしまう。
ただし、投資は休んでも、心は冷静に日々油断なく相場を観察していなければならない。
自分なりの必勝パターンがあると間違いやすいので、さっぱり忘れ、今現在の、動向、需給、人気などを分析することが大事である。

第28章 休み(2)
商い利運仕当たる時、先ず大概に致し、留むるものなり。
その節一両日休むべし。
この休むことを忘るる時は、何程利運に向きても、商い仕舞いの節は決して損出べし。
勝ちに誇り、百両の利は二百両取る気になり、千両二千両の気移り、欲に迷うて見切りかね、損出るなり。
これ欲より出で迷うなり。
不利運の時はなおもっての事なり。
その時の見切り大切のことなり。慎み心得べし。

意訳
運良く大儲けできたら、図に乗ることなく、そのくらいにして一両日休むことが大切だ。
休むことをしないと、いくら幸運があっても、結局最後には必ず損が出てしまうものだ。
その理由は、勝ち誇って欲を出し、100両儲けたら、今度は200両儲けようと欲に迷い、正しい見切りが出来なくなるためだ。
運に見放されたときには、なおさら損を挽回しようと焦るため、一層損を出してしまう。
冷静に見切れるためには「休み」を取り、冷静さと客観性を取り戻さなければならない。

第51章 売買は2日待て
此の米是非、是非上がるべし、今日中に買うべしと進みたち候節、二日待つべし。
是非、是非下ぐべしと売り気進む時は、是又、二日待つべし。
是極意の秘伝なり。
すべて、天井値段の時に成っては、見計らい第一なり。
天井値段出る時は、売るべしの心専一なり。
底値段の節は買うべしの心専一なり。
この心掛け忘るべからず。

意訳
今がチャンスと思っても、そんなときは2日待て。
これが相場で勝てる極意である。
相場が天井値段となったときは、決断が最も重要である。
待った後、冷静客観的に天井値段と判断し決心したら、「売り」に集中し、一心不乱に邁進しなければならない。
この決心と、判断をブレさせないことを決して忘れてはならない。

第77章  急ぐべからず
商い進み急ぐべからず。
売り買いともに思い入れ進み候時は、今日よりほか、商い場なき様に思うものなれども、是は功者なき故なり。
幾月も見合わせ、通いを考え、たしかなる処にて仕掛くべきなり。
無理に天井値段、底値段の考えなく仕掛くる故、手違いになるなり。
是、急ぐ故なり。

意訳
相場を見ていると今日しかチャンスがないと思いこむものだが、それが失敗のもとである。
何ヶ月も相場を分析観察し、確かなところでやっと投資すべきである。
天井値段、底値段の考えがなく、無謀に投資してしまうから間違いが起こるのだ。
すべての原因は「急ぐ心」にある。

みなさん、お仕事の方は土日、祝日、夏休み、ちゃんと休めていますか?
投資も同じです。
勝負は年に2~3回。
それまでは「休み」ましょう!

投資の哲学(投資で勝つ方法)(その4