2021年4月12日月曜日

投資を始めたい人のための講座(その2)

 

投資額はいくらにするのか?

ムリは禁物ですから、毎月1~3万円程度のiDeCoやNISAの積立から始めましょう。

投資はコツコツと地道に長く続けるのが最善の方法なのですが、しかしいったん投資を始めると、のめり込む人がいます。

そしてついには借金までして投資を続けようとします。

これでは過大なリスクを抱え込むことになり、大半の人は破綻の道をまっしぐらとなります。

注意

過大なリスクを取った結果として億り人になった人もいないわけではありませんが、あなたがなれる可能性は宝くじと同じ程度です。


そこで重要な点は、あなたのリスク許容度を設定することなのです。

リスク許容度とは、1年間にどの程度損失が出ても日常生活に影響を出さずに耐えられるかの程度(投資金額の上限)です。

例えば、投資した金額が少しでも下がると心配で心配で眠れなくなる人は、投資には向きませんから(リスク許容度0円)、手堅く預貯金のみがよいでしょう。

値下がりは覚悟の上という人は、10万円の値下がりまでなのか、30万円の値下がりなのか、100万円までは我慢できるのか、ご自身の家計から十分に検討しておく必要があります。

一般にリスク許容度(金額)を手取り月収の3~6ヶ月分とすると60万円~120万円程度になります。

この金額が銀行の普通口座に常に確保できていれば、投資で損失が発生しても日常生活への影響は防ぐことができます。

リスク許容度=1年間の最大損失額

これを50万円に設定した場合、

株式などのリスク資産に投資できる最大の金額は、約167万円となります。

約167万円=50万円÷0.3

(株式投資の場合、1年間の損失として約30%(=0.3)程度を見ておく必要があります。)

また遺産その他として1千万円の資産がある場合は、

(50万円+1千万円×0.03)÷0.3=267万円

投資できる金額の上限が267万円程度になります。

一般に、銀行でもFPでも、相談者の手持ち資金すべてを投資させようとアドバイスしますが、そんなことをしてしまったら、あなたのリスク許容度をはるかに超える大きなリスクを抱え込むことになります。

そうすると相場の上げ下げに生活がかかって来ますから、極めて危険な博打に参加してしまうことになります。

ですから、手持ち資金が1千万円あっても、投資額は267万円程度に押さえておけば10年先まで安心して相場の変動をやり過ごすことができるのです。

注意

1千万円のうち267万円を投資した残りの運用先は、個人向け国債(変動10年)がおすすめです。(インフレに強く元本割れなし、現在の利率0.08%(変動金利)、いつでも解約できるので、銀行などの定期預金と比較しても最強です。)

いずれにしても、投資は余裕資金の範囲で実施すべきであり、なけなしのお金を投ずべきではないのです。


次に何に投資すべきか

○株式投資


       (Google Finance)

株式投資とは、株式会社のオーナーになることです。

もちろん資本金の極一部分(持ち分:share)ですが、持ち分比率の大小はあるものの、会社の所有権及び配当金の分け前は、持ち分に応じて受け取れます。

株式投資の最大のメリットは、株式会社は常に稼いでくれることです。(価値を生み出し続けている。)

赤字を出した社長は即刻クビです。(株主総会の議決で決まります。)

このグラフはTOPIX(東京証券取引所第一部上場全銘柄が対象、2020年1月21日現在2,159社の株価を平均した指数)の5年間の推移状況です。

コロナショックなどで暴落もありますが、平均すると年率約6%で成長しています。

このしぶとい成長性が株式投資の魅力となっています。


○債券投資
前記個人向け国債を参照。


○不動産投資(REAT)

       (Google Finance)

不動産投資(REAT)とは、つまりビルのオーナーになることです。

もちろんビルの極一部分ですが、持ち分に応じて家賃収入(配当金)が得られます。

REATの配当金利回りは3~4%程度で、株式の1~3%よりも高利回りです。

一方REATの基準価額は、長期的に横ばいか右下がりになります。(グラフ参照)

これはビルが年ごとに老朽化し、修繕も必要となり、賃料も値下げせざるを得なくなるためです。

したがって毎月の配当金がほしい人は、長期的に基準価額が下がってもよいのであればREATをおすすめします。(お金を増やす目的でREATを購入するとがっかりします。)


○金投資

(STATE STREET SPDR®ゴールド・シェア:1326)

金投資とは、すばり金を買うことです。

地金がほしい人もいますが、一般には投資目的と思われるので、投資信託(ETF)を購入することになります。

金は何も生み出しませんから、株式のように値上がる可能性は低く、たまたま○○ショックなどがあると暴騰します。

つまり株価が暴落すると値上がりします。

世の中が平穏で右肩上がりの時には、金価格はまったく上がりません。(グラフ参照)

金のずっしりとした重みがたまらない人は買ってもよいと思いますが、長期的な値上がりを期待してもムリです。
(インフレ対策として国債の代わりに一部分は金で保有してもよいと思います。)


以上投資対象について特徴を記しましたが、投資の目的がお金を増やすことであるなら、株式投資がベストです。

ではどのような株式に投資すればよいのか

おすすめは、インデックスタイプの投資信託です。

投資信託も2種類あり、ETF(上場投資信託)をおすすめします。

ETFではない投資信託は、相対取引となり、売買が不自由かつ信託報酬も割高となります。(価額は1日1回夜に算出され(基準価額)、売買は1日1回に制限され、約定価額は翌日にしか分からないという不自由さがあります。)

ETFは、上場されているので、売りたいとき買いたいときにいつでも市場で売買でき、リアルタイムで価額が分かり、指し値にも対応していますから、使い勝手が非常によい投資信託なのです。


ではどのようなインデックスがよいのでしょう。

私のおすすめは、

国内株式
 ・TOPIX
  ・日経225
このインデックスはいずれも歴史があり、厚み(参加者が多い)もあるため安心して投資できます。私はこの上場投資信託(ETF)をおすすめします。(信託報酬0.2%以下のものがおすすめです。)

インデックスにも医薬やIT関連などの特定業種等に特化したインデックスがありますが、ゴミですから避けましょう。(純資産額が100億円以上の前記インデックスがおすすめです。)

また先物やレバレッジをかけた投資信託もありますが、短期勝負の博打に近い商品ですから、初心者は避けるべきです。

外国株式
 ・MSCI国際
 ・S&P500
これらも歴史があり厚みもあるので、プロにもアマチュアにもおすすめできる投資商品です。

インデックスにも中国株や新興国株式などがありますが、厚みがなく、ボラティリティ(変動幅)が大きいので、初心者には不向きです。

ここで、新興国株式などのリスクを低く抑える方法としてFPもどきがよく言う、「投資初心者にはバランス型をおすすめします。」は無視してください。

投資信託の運用者に株式などの投資商品の組み合わせを丸投げすると、ポートフォリオを無駄にいじくり回し、その分余計に手数料を払わされ、結果としてより儲からないようにしたあげく、元本を減らされてしまいます。

前記のようにリスクの大小は、投資金額の大小でコントロールするのが正解であり、株式のリスクはできるだけ広く分散投資することで低減するようにしましょう。

そこでおすすめは、国内、国外株式のインデックスファンドを均等に持つことで、為替変動も含めてかなりのリスク低減効果が期待できます。


ということで、以上の結論として、

1 iDeCoやNISAの積立をしっかり続けましょう。

2 それ以外に投資する場合は、自分自身のリスク許容度を設定し、国内・国外株式のインデックスファンド(ETF)を購入しましょう。

3 値下がりは覚悟の上なので、損が出たからと言って損切りはせず、長く持ち続けましょう。