2017年7月12日水曜日

ビットコインの何がすごいのか!(その1)


ビットコインの仕組みを知りたい方に・・・少しマニアックかも

イントロダクション

株式や投資信託の売買など多くの金融取引について、決済(実際にお金が動く日、受け渡し日)は約定日(契約日)から「4営業日後」となっています。

この処理はネット証券でもリアル店舗の証券会社でも一緒です。

なぜそうなっているのか?

例えばAさんがネット証券で株式を購入した場合、その株式はBさんが所有していたものとすると(現実的にはだれから買ったのかは分かりません。)、契約はAさんが「買う」をクリックした瞬間に成立(約定)します。

しかしBさんの銀行口座に売買代金が振り込まれるのは「4営業日後」です。

「4営業日後」となる仕組みは、Aさんの株式購入代金は、Aさんの銀行口座(第一銀行)から日本銀行を一旦経由してBさんの銀行口座(第二銀行)に送金されているのです。(実際は少し違います。)

ここで使用されているのが「日本銀行の決済システム」なのです。

「日本銀行の決済システム」では、10万円や100万円の少額?をいちいち決済処理してられないので、銀行間である程度まとまった金額としてドカンと一気に処理されています。

ドカンと一気に処理するためには、4日ぐらいを単位として第一銀行と第二銀行間の収支をまとめ、最終的に例えば第一銀行から第二銀行に1000億円を支払うことで精算されます。

この精算では、日銀にそれぞれの銀行が積んである当座預金間で行われます。

日本銀行の決済システムを使っている銀行は、日本銀行に当座預金としてあらかじめ10兆円ぐらい預けています(日銀当座預金)。(この積みと呼ばれる預金額は強制なので、一定の金額(日銀当座預金残高)以上を維持しないと日銀に怒られます。)

日銀内では、各銀行の当座預金間だけで決済処理されていますから、実際のBさんの口座への入金処理は、日銀内の決済処理後、第二銀行がBさんの口座残高を書き換える(振込入金する)ことにより処理されています。

一般に銀行の電算機システムは巨大かつ複雑です。
みずほ銀行では、電算機システムの更新で約2500億円を要しています。

銀行のシステムは、基本的に大型電算機を中心としたシステムなのですが、各銀行に導入されている大型電算機のメーカーが異なるため、各銀行システムをネットワーク化するのにも高度な技術とばく大な費用がかかります。(みずほ銀行の大規模なシステム障害はこれが原因)

なぜ複雑になってしまうのかと言うと、結局の所「信用」の裏付けをしっかりと確認しながら処理しなければならないので、「いつ」「だれ」が「だれに」「いくら」「出金」し「いつ」「入金」したのかを明確にしながら記録し、処理しているのです。

このシステムでは、毎日1兆円を超える金額を処理したとしても、1円の誤差もゆるされないのです。・・・当然でしょう。利子が5円しか付かない現状ですから、1円の誤差は何があっても許されません・・・と私は考えます。

同じ銀行システムの中だけの処理なら、少額でも素早く処理できますが、他の金融機関同士の決済では日銀経由となりますから、どうしても決済は「4営業日後」になってしまうのです。


本題

このような現状決済システムについて、有名な中本哲史(Satoshi Nakamoto)氏の論文「ビットコイン:P2P 電子マネーシステム」のイントロダクションでは、次のように記述されています。

「インターネットで商取引は、ほぼ例外なく、電子取引を処理する信用できる第三者機関として金融機関に頼っているのが現状である。大多数の取引において、このシステムで十分であるも、信頼に基づくモデルであるがゆえ弱点が残っている。金融機関争議仲裁を避けて通ることができないため、完全に非可逆的な取引を扱うことができない。仲裁コストが取引コストを引き上げることで、取引規模が限定され、小額取引の可能性が失われる。また、非可逆的サービスに対する非可逆的支払いを提供することができないことによる損失がより広範にわたる。可逆的取引を扱うために信用が問われる。商業主顧客に対し用心深くあらねばならず、顧客から多く情報を求める。一定割合の詐欺は避けられないものとして受け入れられている。対個人におけるこれら損失や支払い不確さは有形通貨を使うことで避けられるが、第三者機関を通さずに通信チャンネル経由で支払いを可能にするメカニズムは存在していない。」

結局インターネット環境における送金で問題となるのは、Aさんが入金していないのに送金したと言い、一方Bさんは入金があったとしても受け取ってないとウソを言った場合どうするのかという点です。

現金ならば受け渡しは確実に行われますが、サイバー空間内でデータだけのやりとりでは様々な不正が起こります。

現状として、銀行がAさんとBさんの間に立ってそれぞれの信用度をチェックしつつ、いつ、だれが、だれに、いくら送金したのかを保障することで問題が起きないようになっています。

これが「信頼に基づくモデル」なのですが、そのため銀行はシステムの構築・維持に膨大なコストを掛けています。

また個人としても根掘り葉掘り個人情報を聞かれ、送金は10万円まで、口座引き出しは50万円までとかいろいろ制約をかけられ、おまけに国外送金では2000円から3000円も手数料がぼったくられます。

しかも銀行も個人も膨大なコストと手間暇を掛けても、結局決済は「4営業日後」にしかならないのです。

そこで僅か1000円でも10分で地球の裏側に送金できるシステムを中本哲史氏が考えたのです。

中核技術は「ブロックチェーン」と呼ばれる分散型データベースです。

分散型データベースでは、巨大なコンピーターも膨大な維持管理費もなにもかもいりません。

利用者がただネットにパソコンをつなぎ、利用してくれるだけでよいのです。
そうあなたのパソコンがこのシステムを支えているのです。

参考
みずほ銀行では合併に伴うシステムの統合で大規模なシステム障害が発生しています。これにより銀行システムが停止してしまいました。しかしインターネットのような分散されたシステムでは故障が一部分に発生することがあっても全システムが停止することはありません。分散型データベースも大規模なシステム障害が起こりにくいシステムと言えます。


先の例で銀行にはAさんからBさんにいつ、いくらが支払われたかの記録が残されています。

この取引の記録を一定時間ごとにをまとめ、ブロックにしてどんどんつなげていったものがブロックチェーンです。

では誰がこのブロックを作るのか?

それは採掘者(マイナー)と呼ばれるコンピュータノードになります。

ノードとは、ネットワークに接続されているコンピュータで、データを転送する機能を持っています。(受け取ったデータに嘘がないか確認し、正しければ次のノードに受け渡します。)

したがってネットに接続されているどのコンピュータも採掘者(マイナー)になれる資格がありますが、超難解な数式を最短時間で解いた唯一のノードにその権利が与えられます。

超難解な数式を最短時間で解くためにはコンピュータの性能はかなりハイスペックであり、また電気代もかなりかかります。

めでたく採掘者(マイナー)になると自動的にチャリンとビットコインが貰え、また取引額の1%ぐらいの手数料も貰えます。

参考
マイニングは、専用のコンピュータを有するマイニング専門企業が多く存在しています。マイニング企業は日々コンピュータの性能向上を図らないと競争に打ち勝てない(収入が得られない)と言われています。(マイニング企業は中国とアイスランドに多く存在しています。)

なんとビットコインはこの瞬間に発行されているのです。(マイニング(採掘)とはこのことを言っています。)

立派で厳めしい中央銀行の奥の院で国民の目触れること無く密かに1万円札が刷られているのと正反対に、誰からの指示もなく、全世界監視の中、10分ごとにビットコインは自動的にチャリリ~ンと発行されているのです。

参考
ビットコインの流通量が上限に達する(採掘され尽くす)と、以後マイナーに支払われるのは取引手数料だけになります。

参考
ビットコインの発行上限額は、2100万ビットコインに設定されています。2017年4月現在の発行額は1320万ビットコインであり、4年ごとに発行額が半減して行きます。今のところ2040年頃に上限の2100万ビットコインに接近すると推計されています。(このときでも微妙に発行され続け、最終の発行期限は2140年に設定されています。しかし採掘するためのコストが飛躍的に増大するため、採算が合わなくなると言われています。)

この採掘者(マイナー)が新に作ったブロックが過去の取引を記録したブロックチェーンに追加され、すべてのノードに分散され共有されます。

したがってどのコンピュータノードにも全世界の取引の記録が残されています。

このためハッカーがすべてのコンピュータの記録を書き換えようとしても不可能です。

また、もしBさんが入金されていないと騒いだとしても、ネットに接続された1億台のコンピュータに残されているブロックチェーンには「Bは受け取った」「Bは受け取った」「Bは受け取った」・・・と記録されているのです。

このようにブロックチェーン技術により、だれが嘘つきかがすぐに分かります。

一方AさんやBさんがどこに住んでいて、何歳で、免許証番号や顔写真がどうのと言った個人情報はブロックチェーンには一切記録されていませんから、とやかくうるさい金融機関の煩わしさがまったくありません。(ということは、ヤバイ人も、銀行口座が作れない人も、北朝鮮の首領様も、ポチやミケでもOKです。)

どこのだれだろうとお金を持っていて、ちゃんと支払ってくれることさえ分かれば、名前が分からなくても取引する相手としては十分に信用できるのです。

次回は「暗号通貨の作り方」です。



ビットコインの何がすごいのか!(その1)

ビットコインの何がすごいのか!(その2)