2016年9月12日月曜日

円安こそ国益だ!



 日の出の勢いだったアベノミクスが黄昏を迎えています。

アベノミクスに対する批判は様々ありますが、私は次の3点で高く評価しています。


1 日本経済が活性化した。


                       注:2008/1/4の株価を100%として換算しています。

日経平均の推移を見ればアベノミクスの成果は一目瞭然です。

2015年度の実質GDP約529兆円は過去最高となっています。


2 税収も飛躍的に増加した。

  GDP拡大とともに税収も増え、平成27年度の税収56.4兆円は、バブル期の平成2年60.1兆円、平成3年59.8兆円に次ぐベスト3位となっています。(国と地方の税収が約21兆円も増えているのです。)


3 雇用状況が飛躍的に改善した。

 平成27年度大学等卒業者の就職状況の調査より、
大学等の就職率97.3%(前年同期比0.6ポイント増)

 5年前(平成22年度)の同調査では、
大学の就職率91.0%(前年同期比0.8ポイントの減。)←過去最低

有効求人倍率では、平成22年度が0.5(求職者2人に対して求人が1件しかない状況)、平成28年4月が1.3(求職者1人に対して求人が1.3件ある状況)となっています。

そして失業率は3%近くにまで低下しています。


アベノミクスを批判をしている人たちは、まさか有効求人倍率が0.5だった5年前の日本がよかったと思っているわけではないでしょう。

政治は、鄧小平が言ったように「黒い猫でも、白い猫でも、鼠を捕るのが良い猫」であり、私は政治は結果がすべてだと考えます。

参考
1962年6月15日「中国共産党中央書記処」での鄧小平の発言。
人民公社に生産ノルマを課し、未達成の場合には罰金とする共産主義的政策を改め、ノルマを超過した分は農家の収入として認める方式(包産到戸)がよいという意味で発言され、イデオロギーはともかく、経済をよくする方法(ネズミを捕る猫)を国民が望んでいるのだと述べています。(この考え方は共産主義の理念に反し、鄧小平失脚の原因となった。)


さて、前記の経済環境は昨年のチャイナショック以来急激な巻き戻しが起こっています。

為替は円安から円高に反転、今年の6月23日英国の国民投票後に5円も円高が進み、8月18日にはついに100円を割り、株価もこの1年は下げ続け、アベノミクスは胸突き八丁に差し掛かっています。

参考
2015年6月5日 125.61円がアベノミクスにおける円安のピークです。(グラフ参照)
2016年8月18日 99.87円がこの1年で最も円高となったレートです。




株価は円安とともに高値を更新し、日経平均も円安がピークとなった(2015年6月5日)約3週間後の6月24日終値が20,868円となり、これがアベノミクスの最高値です。(グラフ参照)

注:グラフは2015/1/8の終値を100%として日経平均、S&P500の推移状況を示しています。

日経平均はグラフに示したとおり、チャイナショックⅠ、Ⅱ及びBrexitショックにより深刻な打撃を受け、円高の進行と共にその水準を下げ続け、アベノミクス最高値からちょうど1年後の2016年6月24日には14,952円(-28.3%)まで下げています。

一方米国のS&P500はそれぞれのショックは受けるものの、2~3ヶ月で値を戻し、極めて打たれ強い市場であり、さらに今年の7月、8月には史上最高値を更新し続けています。

まさに絶好調。

おまけに米国の失業率は、ピークだった2010年の10%から下がり続け、ついに5%を切るまで低下(2016年8月の失業率4.9%)、完全雇用と言ってよい状況にあります。(この状況でも利上げができないイエレンさんはすこし鳩派過ぎるようです。)

米国が絶好調なのは日本と違い為替がドル安となっているためで、日本だけが○○ショックがあるたびに円高のハンデを背負わされています。

なぜそうなるのか?

それは、「円は避難通貨」というおまじないが世界中に流布しており、ヘッジファンドのHFTにそのシステムが組み込まれているため、○○ショックのたびに「円」が買われ、ヘッジファンドはこの条件反射を利用し巨額の利益を稼ぎ出しています。

したがってこの「おまじない」の効力が消え失せてしまえば、本来の「有事のドル買い」に戻り、日本はハッピーになれるのですが・・・

 現在の日本の状況を見れば為替レートが100円は行き過ぎであり、本来の為替レートの決まり方からは逸脱した異常なレートとなっています。

 これは投機筋が市場を歪めていることが原因と言われています。(ヘッジファンドは円を買いたいわけでは無く、リスクオンの時に借りていた円を、リスクオフになると必死で返す(キャリートレード)から円買いとなるのです。)

参考
日本経済新聞朝刊2016年7月6日付
「安全通貨」というけれど 円を取り巻く奇妙な力学


アベノミクス復活のため安倍総理は、総額28兆円の経済対策を考えているようです。
一方黒田日銀総裁は思案投げ首。

しかし問題の本質は、有りもしない「安全な円」という神話のために投機筋にいいように市場が荒らされている、言わば金融暴力とでも言って良い状況なのですから、この際ヘッジファンドにしっぺ返しをすることが根本的な解決方法なのです。

しっぺ返しとは、米ドル(米国債)を30兆円ぐらい買い込み、円を125円まで腕力で引き下げてしまうのです。(日銀は紙屑になりそうな日本国債を毎年80兆円も買い増しており、それも先細りが見えているのですから、この際安心安全な米国債に毎年30兆円ぐらい投資した方が国民のためには断然よいと思うのですが。)

米国債の買い方として、政府から独立している日銀が買う方が外交的な圧力が少し弱まるでしょうし、効き目がなくなってしまった日本国債買いよりも米国債の方が景気対策としては特効薬になりそうです。(ヘッジファンドが震え上がることは確実だと思われます。)

米国に対しては、中国が売り浴びせている米国債を買ってやるのですから、「礼はいらないヨ!」と言っておけば良いのです。

いずれにしろ世界中の投機筋が信奉し、唯一稼げるシナリオである「円は避難通貨」という理不尽な状況をぶっ飛ばさない限り日本は復活できません。

内閣参与でもある浜田宏一氏も「日本と投機家たちの戦い」で、円高が日本経済のアキレス腱であり、ファンダメンタルズは円安になってよいのに、投機等がそれを妨げていると断じています。

そしてアベノミクスを成功させるには、通貨当局は為替介入し、投機筋を懲らしめろとハッパを掛けています。(世界的に高名な経済学者が暴力には暴力で対抗をと書いており、言ってはいけないことを書かねばならなかった心情を思うと、国を思う止むに止まれぬ気持ちがひしひしと伝わって来ます。)


現在の状況はアベノミクス対ヘッジファンドであり、この困難を打ち破るには政府と日銀がすべきことは1つしかありません。


円安こそ国益なのです。