賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その6)で述べたように、
○流動性資産として給与振り込み口座などに生活費の6ヶ月分が確保されていること
○結婚資金や子供の教育費、自宅購入資金などは安全性を重視してネット定期や財形貯蓄などで計画的に貯蓄できていること
以上を前提にDCを「リスク資産」と位置づけポートフォリオを作ります。
ポートフォリオを作るためには最初に投資家自身のリスク許容度を設定します。
そこで、
あなたは年間どれくらいの損失なら耐えられますか?
もし100万円を投資したとしたら、1万円ぐらいでしょうか。10万円ぐらいでしょうか。それとも50万円でしょうか、100万円全額が無くなってもOKですか。
前記の流動性資産や安全資産がしっかり確保され、なおかつあなた自身が健康で安定した収入があるなら、万が一DCの運用において全額を損失しても許容範囲内と言えるのではないでしょうか。
これは極論ではありますが、あなたの資産運用基盤はかなり「盤石である」と考えてよい一例として記してみました。
一方、資産運用基盤は盤石としても、「精神的ストレス」による耐えられる損失レベルがあります。
DCは長期の運用となりますから、毎日毎日相場の変動が気になって「眠れない」のであれば、かなりリスクを低く抑えなければなりません。
現実的にはアセットクラス別のリスクは概ね次のようなレベルになっています。
株式(国内・国外) リスク 20%
株式(新興国) リスク 25%
債券(国内) リスク 5%
債券(外国) リスク 13%
米ドル リスク 12%
ここで「リスク」とは価格変動のバラツキのことで、定量的には標準偏差(σ)で表されます。
一般的に年間の最大損失額は2σと見積りされますから、株式ならリスク20%の2倍の年間40%の損失が起こりうると考えなければなりません。
実際リーマンショックにおいて、日経平均は2008年8月から2009年2月にかけて42%下落しています。
上記のリスク値から計算すると、100万円を投資しているとして、
国内・国外の株式なら最大40万円の損失
新興国株式なら最大50万円の損失
国内債券なら最大10万円の損失
外国債券なら最大26万円の損失
為替(米ドル)なら最大24万円の損失
と見積りすることができます。
これはINDEX(市場全体)に分散投資した場合ですから、個別株式などに投資した場合は、リスクはさらに高くなります。
たとえば、東京電力はこの1年間で株価が10分の1にまで下落(90%の損失)しています。
さてここでもう一度質問します。
「あなたならどこまでの損失に耐えられますか?」
ご自身で耐えられる限度をお決めください。
これは投資家として最も重要な決断です。
この決断があってはじめて、限度額(リスク)をもとにしたアセットクラスの組み合わせを作ることができるのです。
ではアセットクラスの組み合わせ方を次に記します。
重要な点は、「組み合わせ方によりリスクを減らせる」ということです。
これはモダンポートフォリオ理論に基づく方法ですが、このブログにもいくつか投稿していますのでご覧ください。
この理論の「鍵」はアセットクラス間の「相関」にあります。
相関とは、2つの保有銘柄が同じように変動しているのか、無関係に変動しているのか、まったく反対に変動しているのかどうかを定量的に示す数値です。
同じ動きなら相関は「1」となり、無関係なら相関は「0」、反対の動きなら相関は「-1」となります。
相関が1の場合は、価格の変動が同じように動いているので、この組み合わせはリスク低減効果が得られません。
分散によりリスクを減らすためには、相関がなるべく低い(理想的には-1)組み合わせを選択する必要があります。
一般的に、市場の流れがリスクオン(買い意欲旺盛)においては株式が買われ、リスクオフ(買い意欲低下)においては安全資産の債券が買われるため、株式と債券の相関は0からマイナスとなっています。
ですから、株式と債券の組み合わせはリスクを下げる効果が大きいと言えます。
投資や家計全般のご相談についてはこちらをご覧ください。
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その1)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その2)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その3)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その4)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その5)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その6)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その7)
賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その8)