2010年11月24日水曜日

30台サラリーマンのための貯蓄術と資産運用法(その4)

3 マクロ視点による貯蓄と運用の方針(その2)
現在の経済状況に対する私の見方


8月5日にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、米国債の格付けを「AAA」から「AA+」(最上位の次のランク)に1段階引き下げました。

8月24日にはムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本国債の格付けを「Aa2」から「Aa3」に1段階引き下げました。(4番目のランクであり次はシングルAになる。)

  米国債の格下げによりニューヨークDOWは7月末のピーク値から17%も下落し、世界中がパニック売りとなり、日経平均も15%近く連れ安となりました。

一方日本国債の格下げについてはまったくの無風状態が続いています。
無風どころか、日本国債バブルのような状況となり、国債価格は上昇し、一時は金利が1%割れとなりました。

日米両国の国債格付けの引き下げにもかかわらず国債価格は上昇(金利は低下)し、一方株式市場の混乱が続いています。

いったいどうなっているのでしょう?

私の見方は次のとおりです。

1 安定して経済成長を続ける大国がなく投資家の不安心理が拡大
2 市場のグローバル化とともに投機資金の移動が刹那的

S&Pの発表後ニューヨークDOWは4%前後の乱高下を繰り返し、また米国国債や日本国債は格下げにもかかわらず避難先として逆に買われました。

そこには何の論理もなく、無節操かつ狂騒的な市場が現れたのです。
市場参加者はただただ相場の流れに乗って右往左往しただけだと思えます。

この状況を一言で言えば、

「赤信号みんなで渡れば怖くない。」

ということだと思います。

投資対象の価値を正しく判断することなく、「逃げる」ことしか考えていないように私には見えます。
市場を「恐怖」が覆ってしまっています。

私は「投資」とは本来、資本主義経済発展のエンジンであるべきだと考えています。

会社にしろ発展途上国にしろ未来は分かりませんが、成長する可能性に対し投資し、無事に発展した果実としてリターンがもたらされます。

配当というご褒美とともに、「投資」が投資先の発展に貢献した喜びも加わります。

でも今は、美人投票で1位に投票した人が償金を貰っているだけです。

どの会社が優良であるのかはどうでもよく、他の投資家がなにを考え何に投資するのかだけしか見ていないようです。

私は、リスクテイカーとしての「投機家」は市場にとって不可欠であると考えています。
それは市場において売り-買いがバランスするための大切な存在です。

しかし、これから発展しようとしている会社や発展途上国にとって逃げ足の速い投機資金は有害この上ないものです。

そうした中、ウォーレン・バフェット氏(バークシャーハザウェイ)はバンク・オブ・アメリカ(BOA)に50億ドル(約3800億円)を投資しました。

投資対象の価値を正しく判断し、長期的な成長性と現状が割安なことを評価したためと思います。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はバフェット氏を「恐怖の前でも断固として振る舞う。」と評価しています。

バフェット氏に与えられる優先株は6%の配当が付いているそうです。
WSJはまた「バフェット氏と同様に、長期志向の投資家は恐怖感を利用すべきだ。」と書いています。

たぶん5年後、10年後にはBOAも成長しバークシャーともどもハッピー・ハッピーの関係となっているでしょう。

理想としたい投資だと思います。

日本国内では澤上ファンドがバフェット氏と同様このチャンスに割安な優良銘柄に投資を続けています。

マクロ視点(その3)については、次回「インフレは来るか?」について書きたいと思っています。