2018年5月21日月曜日

それでも中国経済はリスクの塊だ!


エコノミストや政治評論家などにより、これまで何度も繰り返されてきた中国リスク。

しかし中国経済は、かなりしぶとく、ゾンビ化し生き延びています。

その理由として「独裁国家「中国」は、必要なら全ての債務を帳消しにする(徳政令)ことも出来るから、いくら借金が膨らんでも資本主義国家のような国家破産にはならない。」といった怪しげな解説もあります。

「中国経済の崩壊は時間の問題」と盛んに言ってきた英エコノミスト誌も、最近は口を噤んでいます。

いったい中国経済の現状はどうなっているのか。私なりに分析してみました。

次のグラフは米ドル・中国元、米ドル・円の為替レートの変化を2013年1月から示したものです。

それぞれ2013年1月13日の為替レートを100%として表示しています。(左目盛り)

米ドル・中国元については、為替レートをそのまま示した折れ線(赤)も示しています。(右目盛り)


円レート(USD/JPY:青色)がアベノミクスにより大きく上下しているのに比べ、元レート(USD/CNY:薄いオレンジ色)はドルにペッグされているため、ほぼ100%のレベルで推移していますが、2015年8月以来「元安」傾向となっています。

 たぶん、輸出産業を支援するため元安に為替を誘導しているのでしょう。(とトランプさんは考えています。)

前回の投稿「中国経済はリスクの塊だ!(2016年12月26日)」では、中国元レートは1ドル=7元を突破すると予想していましたが、残念ながら大はずれ。

この投稿をした2016年12月26日の1ドル=6.948元が最安値となり、以後は元高方向で推移しています。

なぜ?

それはトランプさんが2017年1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領になることが決まったからです。

トランプさんは「アメリカ第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げ、中国を「為替操作国」と名指しし、「中国は不公平な貿易を行っている」と盛んにアピール、中国から仕事を取り返すとアメリカ国民に約束をしていました。

そこでびびった中国は、本音ではもっと元安にして、中国経済を下支えしたいと考えていたのですが、トランプさんが恐ろしいので「しばらく元高にしろ!」と通貨当局(人民銀行)に指示したと思われます。

しかし、2015年8月のチャイナショックⅠ、2016年1月のⅡ以来、中国が元安にしてきた目的は、不振の中国経済をふたたび上昇軌道に乗せるためだったはずです。

それがトランプさんの顔色を見ながら、じりじりと元高に押し上げ、2018年3月26日には1ドル6.282元までにしてしまいました。(すべては人民銀行の為替操作により行われています。)

つまり、2016年12月26日の1ドル=6.948元から10%も元高にしているのです。

たぶん賃上げやインフレにより競争力の劣化した中国の輸出産業にとって、この為替レートは壊滅的な打撃だと思われます。

この10%の元高でトランプさんのご機嫌が直れば良かったのですが、ここに来て更なる中国バッシングが続いています。

Newsweek 2018.4.17「米商務省、中国スマホ大手ZTEへの製品販売を7年間禁止 米中貿易摩擦は一段と悪化か」

昔あったCOCOM(対共産圏輸出統制委員会)のように、中国は米国から携帯用チップを輸入出来なくなるので、たぶんZTEは潰れるしかないと思われます。

中華皇帝習近平さんもトランプさんには敵わないのです。


それでは、中国経済の今後はどうなるのか?

この5月に入り、米ドル-元レートがじりじりと元安傾向となっています。

直近のドル元の高値は、2018年3月26日頃の6.28元でしたから、5月18日現在6.38元は高値よりも1.6%程度元安方向に向かっているようです。

この先どうなるのかはもう少し様子を見る必要がありますが、中国は、ここのところの米国の金利上昇によるドル高にペッグして元高を維持する財力が底を尽きかけているのではないでしょうか。

ドルペッグを維持するためには、巨額な「元買い-米ドル売り」を為替市場で常に行う必要があり、米ドルの国外持ち出しを禁止してかき集めた資金が、この為替操作に湯水のごとく使われています。

Reuters - 2018年5月7日「中国人民銀行(中央銀行)のデータによると、ドル相場が回復する中で4月末の外貨準備高は予想以上に減少した。4月末の外貨準備高は前月比179億7000万ドル減の3兆1250億ドル。」

この苦境において中国の取れる手段は限られ、残されている唯一の方法は「報復売り」と言われています。

「報復売り」とは、財政上の兵器と言われる米国債を大量に国債市場で売り、米国の長期金利を急騰させるのです。(米国債は暴落する。)

参考
中国の外貨準備高に占める米国債の割合は約30%の1兆2000億ドル(約130兆円)程度です。

そうなると「チャイナショックⅢ」がやって来ます。

その際円は、5円程度円高に振れそうです。

そこで日本の対応として、弱り目に祟り目の財務省が、このチャンス(ドル安、円高)に乾坤一擲、米国債を30兆円ぐらい買い向かったらトランプさんからどれ程感謝されることか。

GPIFや年金基金も格安な米国債をこの際20兆円ぐらい財務省の応援買いに参加したら、「チャイナショックⅢ」はほぼ無風状態にできるかも知れません。

この日本のオペに対して米国も、世界も賞賛の嵐が巻き起こりそうです。

でも小役人には無理なのかな?

この勝負、ソロス対イングランド銀行の戦いなど足下にも及ばない世界史に残る大勝負になるのは確実だと思うのですが・・・