2014年5月12日月曜日

株式投資を信頼する国、しない国

5月9日ダウ工業株30種が過去最高値を更新しました。
IBMなどの好決算が誘因となり、業績相場で上昇しています。

その一方、ニューヨーク市場では高値警戒感も強まっています。
アナリストの分析でも、理由のない上げ相場と言われています。

さて本当のところはどうなのでしょう。

一般にアナリストや市場関係者は、今期の分析評価と来期の業績予想が仕事なので比較的短期的な見方をしていますが、私はもう少し長い年数で見てみました。


このグラフは2008年1月からの日経平均とNY DOWの推移状況です。

いずれもこの期間の平均値を100%として各期間の値を表示しています。

このグラフから見えてくることを整理してみましょう。

最初に2008年のリーマンショック前後を比較してみます。

ショック直前(2008/9/26)
日経平均 11,893.16円(平均値の108%)
NY DOW  11,143.13$(平均値の85%)

ショック後(2008/10/31)
日経平均 8,576.98円(平均値の78%)
NY DOW  9,325.01$(平均値の71%)

日経平均は、11,893.16円から8,576.98円に、NY DOWは11,143.13$から9,325.01$に暴落しています。

割合で見ると日経平均は、30%の下落に対しNY DOWは14%しか下落していません。

日本人は株式投資にとてもナイーブ(うぶ、敏感)です。

その後はどうでしょう。

日経平均は、安倍内閣発足まで4年間もウロウロし、2012年11月15日から目覚ましい進撃を開始、6ヶ月後の2013年5月22日には15,627.26円(平均値の142%)を付けています。

とは言うものの、結局リーマンショック前(2008年の高値)の14,691.41円のレベルに戻っただけのようです。

そして2013年6月以降は手がかりも無くウロウロしています。

一方NY DOWは、グラフから見えて来るのは一貫して上昇し続けていることです。

そして2014年5月9日には、2009年の底値6,626.94$を76%上回る過去最高値の16,583.34$を記録しています。

この間の平均利回りは8.5%もあります。

米国経済は、企業のカミングホーム(米国本土への回帰)、シェールガス景気、そして不動産市場の回復など意外と足腰はしっかりしており、ウォーレン・バフェット氏も国内のインフラ企業やハインツなどの成熟企業を買っています。

NY DOWが一貫して上昇した原因は、QEⅠ、Ⅱ、Ⅲ(量的緩和政策)による効果と考えることもできますが、私は米国経済の足腰の強さと、株式投資を信頼し将来のために大事に保有し続け、買い続けた人たちがいたからではないかと思っています。

そしてその結果は、信頼に十分応えており、株式投資を続けた投資家は大きく報われています。

ニューヨーク市場は手がかりのない上げ相場と言われていますが、それはセルサイドだけの見方であり、バイサイドから見れば、米国民のファイナンシャル・リテラシーは高く、極めて強いニーズがあり、ETFなどの商品の普及も相俟って5年に渡る長期の株価上昇を支えていたのではないでしょうか。

そのような観点でこのグラフを見ていると、株式投資を信頼している国と信頼していない国があるような気がします。

どうして株式投資の信頼が失われてしまったのか。

国民性かも知れませんが、教育(ファイナンシャル・リテラシー)と営業手法に問題があったのではないでしょうか。

信頼を取り戻すことは容易ではありませんが、だれかが地道に根気よく続けて行くしかないのでしょう。




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