2012年6月29日金曜日

「eMAXIS」と「Total Stock Market ETF」を比べてみました


2015/7/21
eMAXIS 先進国株式インデックスなどの評価は次の投稿にあります。
儲けたい人のためのETF講座(その10)



三菱UFJ投信の「eMAXIS(イーマクシス)」が順調に契約数を伸ばしています。

6月末現在の純資産額は、新興国株式インデックスが約167億円、先進国株式インデックスが約118億円、TOPIXインデックスが73億円となっています。

「eMAXIS」は投資信託としては購入時手数料が0円、信託報酬が0.63%と低くお勧めなのですが、5年先、10年先に投資家の王道となるETFに興味を持っていただきたいと思い、ETFの横綱バンガードの「Total Stock Market ETF(VTI)」と比較してみました。

「eMAXIS」の代表としては先進国株式インデックスをとりあげます。

まずこの2商品の違いは、「eMAXIS」はMSCI Kokusai Indexを指標とする円建ての投資信託(ファミリーファンド方式)であり、「Total Stock Market ETF」はCRSP米国Total Market indexを指標(最近まではMSCI)とする米ドル建てのETFです。

純資産総額は6月末現在、「eMAXIS」は118億円、「Total Stock Market ETF」は301
億ドル(約3兆円)となっています。(VTIの資産規模はeMAXISの約254倍となります。)

いずれの指標もカテゴリーは外国株式となりますが、MSCI国際インデックスは日本を除く先進国、CRSPは米国株式となっています。

それぞれの指標について「eMAXIS」の設定日(2009/10/28)を基準として米ドルベースでグラフにしてみました。

(グラフはクリックすると拡大します。)

「Total Stock Market ETF」は5月まではMSCIを指標としており、現在はCRSPに変更されていて連続的な換算が複雑となりますから、このグラフでは指標ではなくVTIそのものの推移を示しています。

VTIの乖離率は1%未満なので、グラフ上指標との差違はほぼないと考えられます。

この期間のMSCI Kokusai Indexの平均リターンは8.4%、VTIは15.8%となっています。
(バンガードのHPより、VTIの過去3年間の平均リターンは18.73%です。)

為替を考慮し、円ベースでこの2商品を比較したのが次のグラフとなります。

アベノミクスによる円安効果により2商品ともパフォーマンスがよくなっています。

(グラフはクリックすると拡大します。)

この期間の「eMAXIS」の平均リターンは13.0%、VTIは19.6%となっています。

VTIのリターンがeMAXISを上回っている原因は米国の景気が順調に回復する一方、MSCI Kokusaiの投資対象である日本を除く先進国(特にEU)の景気回復が遅れていることです。

このグラフより結果論となりますがVTIに優位性があり、当面米国経済の回復が先行すると考えられます。

特にQE3の逓減により新興国からドルが引き上げられ本国に回帰(repatriation)するため、新興国株式インデックスが直撃を受けるので、VTIの優位性が一層顕著となります。


また信託報酬については、VTIは現在0.05%ですからeMAXISの13分の1です。
eMAXISが投資信託である限り信託報酬の低減には限界があります。


私はマクロ的、ミクロ的に見てVTIがお勧めだと考えます。


参考

儲けたい人のためのETF講座(その7)