2012年5月22日火曜日

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その4)

なぜ私がDCをお勧めするのか?
その理由は次のとおりです。

○税制の優遇があり、預貯金や株式投資、年金保険などと比較し、長期的には数百万円の利益がある。

○60歳まで引き出せないため、結果として長期運用のメリットが生かせる。

投資において最も重要なことは目先の利回りではなく、「コスト」です。
コストは確実にリターンを減らします。
コストの中でとりわけ比重を占めているのが税金です。

DCの場合課税額が次の例のように軽減されます。
前提
30歳会社員
会社の掛け金 月額1万5千円
本人の掛け金 月額1万500円
年間の掛け金合計額は30万6千円

注 2012年1月より本人の拠出(マッチング拠出)が認められるようになりました。
本人拠出額は、事業主掛け金額と合計して拠出限度額以内で、かつ事業主掛け金額を超えないこととされています。(拠出限度額は投稿その3にある表をご覧ください。)

☆所得税の軽減効果
年間の掛け金30万6千円は、本来給与所得として課税されます。
DCではこれが非課税となりますから、税率を20%とすると、年間61,200円、30年間では約184万円の節税となります。(厚生労働省データ

☆運用時の課税軽減効果
運用利回りを2%、年1回の売買として税額を20%と仮定すると、
DCで運用した場合と、個人で運用した場合では、DCでは30年間で約75万円の節税となります。
(売買回数が増えればその分節税効果は増加します。)

この前提で、60歳時点の資産総額は、
DCの運用では  1,241万円
個人の運用では  1,167万円
参考
累積掛け金額  918万円(会社負担分540万円、個人負担分378万円)


60歳において、DCの資産全額を引き出した場合、退職所得として課税されます。
本来の退職金が1,500万円、勤続年数を38年とすると、DCと合わせた退職所得への課税額は25万円となります。(以下の計算例参照)
DC分と退職金の額から税額を案分すると、DCへの課税額は約11万円となります。
したがって30年間の運用益の節税額75万円から11万円を引いた64万円がDCで運用したときの「お得額」となります。

退職所得への課税額の計算
退職所得額 1,241万円(DC)+1,500万円(退職金)=2,741万円
退職所得控除額 20年×40万円+(38年-20年)×70万円=2,060万円
課税所得額  (2,741万円-2,060万円)×1/2=340万円
税額 340万円×20%-427,500円=約25万円
退職金への税額 14万円
DCへの税額  11万円
(退職金が少ない場合は、DCの資産額と合わせて退職所得控除額以下なら税金はかかりません。)

☆公的年金等控除の効果
DCの資産を年金として受け取った場合は公的年金等控除が受けられます。
65歳未満の場合は控除額70万円。
65歳以上なら控除額が120万円となります。
60歳からDC年金のみを受け取った場合は65歳になるまでは、毎年約7万円の節税効果が期待できます。

65歳以降、サラリーマンの方は、厚生年金が120万円、基礎年金が80万円ぐらいありますから、これだけで120万円の控除額を上回るので、基礎控除38万円を加えてもDC年金については税額軽減効果が期待できません。
自営業者の方は公的年金が基礎年金80万円だけとすると、65歳以降も年間約8万円の節税効果が期待できます。
したがってサラリーマンの方は、60歳時点で、DCの資産を一括でもらい退職所得控除を受けるか、公的年金等控除による節税額を使うかよく検討する必要があります。(どちらがお得なのかは退職金の額及びDCの資産額によります。)

以上の試算結果をまとめると
所得税の軽減効果     約184万円
運用時の課税軽減効果     約75万円
公的年金等控除による節税額 約35万円
合計のお得額       約294万円


DCでは口座の管理手数料が年間3~7千円とられます。
年間5千円とすると、30年間では15万円がコストになります。


特別法人税 1.173%については現在課税されていません(凍結中)が、凍結解除されると大きなコストとなります。この例では約190万円となります。
当面は、超低金利の状況がつづいていることから凍結解除は難しいのではないかと考えられます。
しかし財政の健全化のための課税強化またはインフレによる利回り改善等の状況においては、特別法人税の凍結解除が行われる可能性があります。

DCの節税効果について具体的に試算してみましたが、この制度は「使わないと大損!」だと言うことがご理解いただけましたでしょうか。

でも投資には不安があるし、もし失敗したら・・・
との懸念があることと思います。



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賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その1)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その2)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その3)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その4)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その5)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その6)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その7)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その8)

賢い投資家のお得な自分年金の作り方(その9)