2011年5月7日土曜日
FX(外国為替証拠金取引)における最適な倍率(レバレッジ)は何倍にしたらよいか?(その4)
(図はクリックすると拡大します。)
5 変動値の上限値と下限値
想定するリスクは、期間平均値の±2σとなりますが、たとえば為替レートの最安値で買った場合に、値下がりリスクは0(無リスク)となってしまいます。
しかし現実に、円ドルレートでは、3月17日に1995年4月19日の最高値79.75円が16年ぶりに更新され77.16円へと値上がりし、戦後の最高値となっています。
つまり記録は更新されるためにあるということなので、最高値・安値付近では±2σ+αが必要と考えます。
+αとは短期的なリスクなので、項目3の「短期間のリスク」で示した5日間の変動幅4円を採用することにします。
以上からリスクとして想定する変動幅の上限値と下限値は次のようになります。
A 売買値が最高値、最安値付近の場合
リスクの下限値=為替レート-4円
リスクの上限値=為替レート+4円
B A以外のとき
リスクの下限値=期間平均値-2σ
リスクの上限値=期間平均値+2σ
必要な投資額(証拠金額)は、
買いの場合 投資額=契約レート-下限値+ロスカット
売りの場合 投資額=上限値-契約レート+ロスカット
注:
投資額は、1米ドルあたりの金額になります。(1万ドルなら×10,000)
ロスカット=平均レートの1/10の30%と仮定します。
6 FXにおける最適な倍率の計算
最後に最適倍率(安全倍率)は、つぎの式で計算できます。
最適倍率(安全倍率)=契約レート÷投資額
以上の関係を図5に示しています。
図の横軸は契約レート(売買値)、左側の縦軸は買値と振れ幅になります。
図の赤線は売買値を示しています。
契約レート(売買値)=買値ですから、赤線は正比例の直線となっています。
赤線の上下の破線は、上限値及び下限値を示しています。
上限値と下限値の間が想定されるリスクの範囲となります。
右側の縦軸は倍率になります。
図5より、安全倍率の線は、買いは右下がり、売りは右上がりと反対の傾向となっています。
買いの場合、81円付近で買ったときに最高約12倍となり、110円で買った場合に最低の3.1倍になります。
売りの場合は、売値が高いほど倍率は高くなりますが、目安として105円で売ったときは13倍、80円で売ったときは2.4倍となっています。
注:
円ドルレートについては3月に最高値となったので、下限値についてはかなりの信頼性がありますが、上限値についてはデータ期間により変化し、最安値は戦後の360円まで下がりますから、上限値の信頼性は高くありません。
以上、FXにおける最適倍率(安全倍率)について検討してきましたが、8月から始まる25倍の規制はほぼ妥当な値だと言えます。
しかしいずれにしても投資家の自己抑制によるリスクコントロールが最も重要であることを強調しておきたいと思います。
為替レートにかかわらず、常に25倍までレバレッジをかけてしまうことは自殺行為になります。
図5から、買値、売値により最適レバレッジが大きく変化することを理解し、賢い投資に心がけてください。
最後に投資は自己責任でお願いします。
(完)
その1
その2
その3
その4
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