2010年9月16日木曜日

日本経済の処方箋(その3)

政府・日銀による為替介入が9月15日から行われました。
国内の評価としては、すこぶる好評のようです。

「なぜもっと早く」と言う声も多くあります。
スイスのような「失敗」を恐れる財務省や日銀を政治力で押し切ったようにも見えます。

いずれにしろ、今回は大成功でした。
経済界は中小企業も含めて諸手をあげて歓迎しています。

議論の多い民主党のマニフェストもこの際小沢氏の政界引退とともに全部封印して、政策を「円安」一本に絞り、是非為替レート100円目指して全力投入してもらいたいものです。
日本国民の多くが支持するのではないでしょうか。

1995年4月19日にドル/円の最高値79.75円を記録しています。
この時は、日本車の怒濤のような輸出攻勢に米国ビッグ3が猛反発し、クリントン政権も貿易不均衡是正策として積極的に円高誘導策を取っていました。

この円高の政治目的は、貿易摩擦の解消であり、結果として6月には「日米自動車交渉」が妥結し円安となっています。

現在の円高に政治目的があるとは思えませんが、過度の円高(自国通貨安)を放置することにより、米欧をはじめ韓国等のアジア諸国も多くの利益を得ています。
円高が世界経済の回復の踏み台にされてしまっているのです。

ですから円高の状況を日本がひっくり返したところで、どこからも文句を言われる筋合いはありません。
現在は、国内の輸出企業の多くは海外生産が主流であり、工場も現地化されており、円安により日本の輸出が急増する状況にはありませんし、貿易黒字も1986年の13.7兆円をピークに減少しており、現在は3兆円以下で低迷、輸出が多少増えたところで3兆円が5~7兆円になる程度ですから目くじら立てるほででもありません。

このような状況をふまえれば、日本は声を大にして「円安」を世界に向けて堂々と言って当然だと思います。
たとえドル円が100円になっても、それで経済的な打撃を受ける国は少ないはずです。
むしろ、打撃を受ける国は、中国、韓国や台湾など、リーマンショック後の千載一遇の為替安に乗じて稼ぎまくっている国なのですから、不均衡是正が行われて当然です。

米欧にとっては、現在中国の元安が問題なのであり、海外進出の進んでいる日本の円安は痛くもかゆくもないはずです。
ただ為替への人為的介入に対する「不快感」があるだけです。

政府・日銀の判断は遅きに失した懸念はあるものの、しかしこれ以上、円が世界の経済回復の踏み台にされることを放置するわけには行かないと言う明確なメッセージを世界に知らしめられたことは非常に良かったと思います。

適度な円安により日本の競争力を回復させなければならないギリギリの瀬戸際で断行された今回の断固たる措置は日本経済復活の狼煙でもあります。

日本の国益を守るため政治家に不撓不屈の信念を期待しています。