2012年7月20日金曜日

人気の外貨建て保険を利回りで比較してみました(その2)


(グラフはクリックすると拡大します。)

2015/7/16
ニッセイの外貨建て終身保険(ロングドリームGOLD)の評価



その1はこちらです。


外貨建て商品(終身保険、年金保険)について独自に試算した実質利回り及び原価率をグラフにしました。

原価率は左の目盛り、利回りが右の目盛りとなっています。

最初にアリコの「My Future」(米ドル建て)とエジソン生命の「とく割終身」(米ドル建て)を比較したいと思います。

原価率は同じ73%ですが、実質利回りに大きな差があります。

My Futureが0.56%に対してとく割終身は1.54%もあります。(実質利回りは保険料払込期間の長短には影響されません。)

実質利回りは、驚くことに3倍近くも差があります。

この差は手数料等の事務経費の差ではなく、運用(投資対象)の差です。

My Futureがより安全な投資先で運用しているのかも知れませんが、とく割終身もトリプルA格の債券に投資をしていますから「安全性」は同レベルと言ってよいと思います。

My Futureはおもしろいことに保険のランキングでは円建ての終身保険と比較され、1位を獲得しています。(とく割終身も紛れ込んでいますが低位です。)

客観的に見てMy Futureは、外貨建て商品比較において利回りは最低レベルなので為替のリスクを取ってまで加入する保険ではありません。

次にジブラルタ生命の「リタイアメント・インカム(米ドル建て)」です。

原価率81.3%、実質利回り2.21%とすばらしいパフォーマンスです。
(表面利率は3.5%が最低保障されており、9月現在の利率は3.54%となっています。)

現在の米国国債の利回りが2%前後ですから、これを上回る実質の利回りは賞賛に値します。

高利回りの理由は、保険金額が他社と同一の10万ドルなのに対して保険料が3倍以上となっており、保障性を減らして貯蓄性を高めているためです。

ジブラルタ生命、エジソン生命、スター生命はいずれもプルデンシャルグループに属しています。

それぞれ商品構成は異なりますが、外貨運用においては国内生保と比較し一日の長があります。

この3社については2012年に合併が予定されており、商品構成も統一されるものと考えられますが、より一層契約者の利益になる商品の開発を期待したいと思います。

スター生命の「ドルサポート終身」とエジソン生命の「とく割終身」「年金の夜明け」を比べると、実質利回りはほぼ同一(ドルサポート終身が+0.1%高い)となっています。

年金の夜明けは豪ドル建てであり、他の2商品に比べ原価率が1~2%劣っていますが、利回りの良さで挽回し、結果として実質利回りの差をなくしています。

年金の夜明けは、同社HPでは豪ドル建ての最低保障2.75%で計算されていますが、9月現在の利回りは3.97%ですから、実質利回りを計算すると2.12%となります。

実質利回りの比較は以上のとおりですが、FPとしてどれがお勧めかと問われれば、

1 固定金利の「ドルサポート終身」「とく割終身」「リタイアメント・インカム」はお勧めしません。

理由は、3.5%の固定金利は、現在時点ではたいへん魅力がありますが、30年間の長期の運用を考慮すると、必ずインフレが来ますから、国内の預金が5%もあるときに、為替のリスクをとってまでしがみつくほどの金利ではなくなります。

2 変動金利の商品については、「年金の夜明け」をお勧めします。

理由は、実質利回りのよさと為替変動しても円建ての保険料が一定していることです。



2012年1月にスター生命、エジソン生命、ジブラルタ生命は合併しジブラルタ生命となりました。



蛇足として、「ドルサポート終身」「とく割終身」「リタイアメント・インカム」はドル建ての保険料なので、為替の変動に伴い毎月の円入金する金額が変動します。

現在は円高ですから比較的無理なく保険料を支払えても、為替が100円、150円そして200円と円安になったときに継続して支払えるでしょうか。

わたしは今後10年以内に1ドル300円もあり得ると考えています。

本来の為替は、その国の経済の実力が反映されて決まるものです。
現在の「円高」は世界経済の不振を原因として一時的に発生した「まぼろし」です。

やがては為替も日本経済の実力にあったレベルに落ち着くはずですから、外貨建て商品(積立)の選択においては、インフレとともに「円安」も十分に考慮されるべきだと考えます。



参考

確定利回り43%・・・なぜ使わない!



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