2017年1月16日月曜日

FX投資家のための為替講座(その1)



トランプ氏が次期米国大統領として選ばれてから、為替は円安となり、同時に株価も2万円近くまで反騰しています。

円安にしてくれたトランプ氏は、日本にとってまさに神風のように思えます。

政府や日銀は、アベノミクスに水を差す円高がひとまず収まったことから、このトランプ相場にほっと胸をなで下ろしていることでしょう。

しかしこのハネムーンも1月20日(大統領就任式)までかも知れません。


さて2017年の為替については、97円から128円とアナリスト予想が出されていますが、その考え方はバラバラで、円高論あり、円安論あり、これってかなりテキトーなように思えます。

予想しているアナリスト自身も自分の予想が当たるとはたぶん思っていないのでは・・・

2016年は、専門家にとって「Brexitショック」や「トランプショック」など予想を外しまくった年となりました。

このような世界的な政治の混乱は当然金融の世界にも混乱を引き起こし、HFT(高頻度取引)をフル活用し、ヘッジファンドが荒稼ぎできるチャンスが多かった年でもありました。

ヘッジファンドが暴れまくったお陰でミセスワタナベたちにとっては辛い年となったようです。


予測がまったく当たらない専門家たちですが、特に為替を予測することは極めて困難と言われています。

後講釈として、数限りのない我田引水理論を目にしますが、箸にも棒にもかからないものばかりです。

とは言うものの一般に為替を長期的な視点で見た場合「為替はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に影響される。」と言われています。

ファンダメンタルズについては「ズ」が付いていますから、まあ「いろいろありますよ。」ということです。

私は為替の専門家ではないので、いろいろなことは考えられませんが、いろいろある中で最も重要な「需要と供給」と「金利差」から為替への影響を考えて見ました。


通貨の需要と供給が為替に与える影響

通貨も商品ですから、需要と供給からドル需要が多ければドル高円安、円需要が多ければ円高ドル安になります。

ドル需要については、企業のM&AやGPIF・保険会社などの外貨投資による「実需の買い」と、ヘッジファンドなどの「虚需の買い」があります。

虚需の買いとは、「ドル」なんか欲しくはないけれど、今後値が上がると考えられるため、先物を買っておくことです。(ミセスワタナベのしていることとまったく同じ)

したがって先物取引については、結局反対売買により差金決済され、現物のドルを手にすることはありません。

参考
債券先物を除きあらゆる先物取引は原油であっても株式であっても現物を手に入れる目的はなく、差金決済による利益が目的となっています。(傍から見ると指数が上がるか下がるかを当てっこしているだけなのです。)

外国為替市場の取引量は、2016年が1日平均約5兆ドル(約575兆円)と巨額であり、このうち為替スワップが2.4兆ドル(約47%)、直物(スポット)が1.7兆ドル(約33%)、先物(フォワード)が0.7兆ドル(約14%)となっています。

為替スワップとは、例えば6ヶ月間だけ円をドルに交換したいときなどに利用するもので、直物のドルを買うと同時に先物のドルを売る(為替ヘッジ)取引になります。

為替ヘッジをしていますから為替スワップ取引ではドル安、ドル高などの為替リスクがありません。(このメインプレーヤーは銀行などです。)

しかしこの取引には先物のドルを買う相手が必要です。

この相手がリスクテイカーとなり、いわゆるヘッジファンドなどの投機家の出番となります。

為替スワップの金額が外国為替市場の約47%ですから、リスクを引き受けている投機家の影響力はかなり大きなものがあります。

参考
米国の国家予算は歳出約4.0兆ドルですから、1日で5兆ドルが動く外国為替市場をトランプさんが思うようにコントロールすることはたぶんムリと思われます。

ちなみにミセスワタナベも取引業者を通じて外国為替市場ではヘッジファンドと同様に投機家のポジションにいるのです。

この市場で投機家がドルが上がると考えドルを買いまくるとドル高となりますから、為替の上げ下げは投機家が握っていると考えられます。

一方、投機家の買いは虚需ですから、やがては売らなくてはなりません。

そうすると一時的に為替は実需から乖離し、あり得ない値段となりますが、投機家の反対売買によりやがては実需に基づく妥当な値段に落ち着くことになります。

今ではHFTによりこの期間が極めて短くなってきています。

参考
為替取引に銀行とヘッジファンドしか参加していない市場を仮定すると、ヘッジファンドが値段をつり上げても、その後ヘッジファンド自身が反対売買をせざるを得ないので、結局儲けはチャラになってしまいます。ではなぜ外国為替市場でヘッジファンドが儲けられるのかと言えば、いわゆる「ちょうちん(投機筋のお先棒を担ぐ人)」となるミセスワタナベなどが遅れて参戦してくるのをカモったり、ストップロス(損切り)を巻き込むことで巨額な利益を稼ぎ出しているのです。


以上より為替は、短期的には投機家たちの思惑により変動するため予測することはできませんが、やがては実需に支持された値段に収束するので、長期的にはファンダメンタルズ(ここでは実需)に影響されると考えられます。

参考
外国為替市場は築地市場のように現実の建物はなくサイバー空間に作られたバーチャルな市場です。ただ取引額から見るとロンドンで取り扱われる金額が2.4兆ドル(約37%)とダントツ1位で、アメリカ国内の取引額は1.3兆ドル(約19%)程度しかありません。ですから銀行間取引ではLIBOR(London Interbank Offered Rate:ロンドン銀行間取引金利)が広く用いられているのです。

参考
ロンドン市場で取引される米ドルをユーロドル、円をユーロ円と言います。日本の銀行は主にロンドン市場を通じてユーロドルを調達しており、ユーロドルを借り入れるときにはLIBOR+ジャパンプレミアム(上乗せ金利)を支払っていますが、現状のジャパンプレミアムは100bp(1%)を超えています。



FX投資家のための為替講座(その2)