投資の世界はあまりにも複雑になってしまいました。
しくみ預金やETF、通貨選択型、TTS、TTB、FX、REIT、NISA、金融先物、金利スワップ、オプション・・・
用語を1つ理解するのにも簡単ではありません。
ですから証券会社や銀行の窓口でリスクについて説明されても、・・・たぶん理解できていないのでは・・・。
たとえば「通貨選択型ハイ・イールド債券投信」のリスクでは為替の先物の説明が必要ですし、変額年金保険のリスクでは市場価格調整率の説明が必要なのですが、売っている銀行の窓口も証券マンも正しく理解している人はあまりいませんから、これら商品を買っている人たちがどの程度理解されているのか・・・多いに疑問に思っています。
法律ではリスクをちゃんと説明しなさいと義務づけているのですが、結局中身の分からない人(≒分かったつもりの人)がマニュアルをお客様に「読み聞かせ」ているのが実情なのでしょう。(当然しっかり理解し説明されている担当者もいるとは思いますが。)
売る方も分からないのなら買う方はいったいどうしたらいいのでしょう?
一つの選択肢として「ヤバイ」投資話には近づかないというのもよい判断だと思います。
命の次に大事なお金ですから、元本割れなんてとんでもないとお考えなら、預貯金だけというのも「あり」かも知れません。
でも、預貯金は絶対安全と思っている方に知っていただきたいのは、この世の中に「絶対安全なお金の置き場所はない!」ということです。
インフレ(物価の上昇)になると現金や預金はどんどんその価値が下がってしまいます。(物価があがると、100円で買えたものも、120円となりますから、お金の価値は下がってしまうことになります。つまり実質的な元本割れ。)
そしてインフレがさらに進むと運用能力のない、日本国債をいっぱいため込んでいる金融機関はつぶれてしまいます。
金融機関がつぶれても預金保険制度があるから自分の預金は保護されると思っていると、ハイパーインフレ(超物価の上昇)では国家財政自体が破綻してしまいますから、日本国債にたよりきっている金融機関がバタバタと潰れるため「アテにできない!」ことになります。
したがって世の中のすべての金融商品に絶対安全なものはありませんから、望むと望まないとに係わらずお金の運用は避けて通れないことなのです。
そこでFPの出番として、「超簡単お金の運用法」を以下に書いてみました。
ただしお金の運用法だからと言って「お金の儲け方」と勘違いしないでください。
FPはお金の知識はあるものの、「儲け方」は案外下手なのです。
なぜかって?
それは知ったかぶりをしていろいろの金融商品に手を出すから失敗してしまうのです。
いい例が わ・た・しです・・・(^^;)
参考
でもちゃんと勉強して知識を持っているファンドマネージャーが儲けられるのかというと、バートン・マルキール先生は「そんなことはない!」とおっしゃっていますから、たぶん私と同じような失敗を日日くりかえしていることと思います。
ご同情申し上げます。m(_ _)m
さて、お金の運用が避けて通れないのなら、難しい金融や投資などの勉強をしなければいけないのかというと、そうではありません。
一般常識でほぼ理解できますし、常識で理解できないものは買ってはいけないのです。
そこで大事なことは、「何が儲かるのか」という観点に立つと必ず失敗するという教訓を知り、「リスク」と「配当」に注目することを学ばなければいけません。
リスクとは、1年間で最大何パーセントぐらい価格が下がるのかということです。
もし100万円を運用するとして、最大でも1万円の値下がりならリスクは1%、20万円の値下がりならリスクは20%となります。
そして・・・最も大事なことは、「あなたは1年間に何パーセントのリスクまで耐えられますか?」という質問に答えを言わなければならないということです。
ご自身の気持ちや考え方、家計としての必要性などから耐えられるリスク(損失)の限度を決めなければいけません。
(前提は5年以上解約しなくてよい資金であること。)
たぶん多くの人はリスク0%を選ばれるかも知れませんが、預貯金を含めて「それはありません!」というのが私からのお答えになります。
たとえば金利が0.1%の預金なら、インフレ率2%(物価が1年間で2%上がる)の場合、1年後の預金の価値は1.9%も下がってしまいます。(100万円の預金なら利子が千円付き1年後には100.1万円となりますが、物価高により実質的な価値は98.1万円しかなく、結局1.9万円の損(リスクは1.9%)となります。)
次に大事なことは「配当」を知ることです。
配当とは、あなたが預貯金や株式などに投資した元本を会社などが借り入れし、生産活動を行った結果生み出した利益の分け前として投資した人(あなた)に分配してくれたお金のことです。(つまりお金の貸し賃がもらえること。)
お金の運用において、世の中の金融商品は配当の「ある」ものと「ない」ものに分けられます。
(配当がないものとは、お金の借り賃を払ってくれないものです。)
株式投資は、会社の生産活動にお金が使われ、利益を生み出します(パイが大きくなる)から、配当があります。
(赤字の会社では当然配当がありません。)
債券も、世の中の生産活動にお金が使われているので配当(クーポン)があります。
配当がないものとは、FX、先物取引、為替取引、金投資、競馬、競輪、・・・など。
(競馬などで配当金と言っているものは、利益の分配ではなく、馬券の売上金を山分けしたものです。しかも主催者に30%もピンハネされた残りを一発当てた人たちで山分けしたものです。)
注意
FXでは、高金利通貨を買い持ちしているとスワップポイントがたまりますから、外貨預金と同じように配当(利益の分配)があると考えられますが、全体として見ると為替取引(通貨の交換)なので配当は「ない」としています。
参考
通貨を選択する毎月分配型投信では、為替の先物取引による利益が原資となっていますから、配当金の一部分は博打で稼いでいることになり、博打で負けると元本を取り崩して配当を行っているものがあります。
配当がない金融商品は、賭博と同じですから「当てた人」が「外した人」からお金を巻き上げるシステムになります。(いわゆる丁半博打)
そこでは投資されたお金が世の中の生産活動に使われませんから、投資元本全体としては利益を生むことはなく(パイが大きくならない)、結果としてお金のぶんどり合戦をしていることになります。
これはいわゆる投機であり、ゼロサムゲームですから私は個人投資家にはおすすめしません。
参考
為替の先物などは輸出会社や機関投資家などがリスクヘッジとして利用していますが、利益の源泉となる投資対象としては位置づけられていませんから、投資の王道としては不適格と私は考えます。
ではFXや先物取引、為替取引などの投機は悪いことかというと決してそうではなく、金融の世界では無くてはならないものなのです。
なぜなら相場は時として一方向に偏りますが、そこに投機家があえて反対側に立って売買をすることで市場がなくなってしまうことを防いでいるのです。(投機家がいないと市場が成り立たない。)
投機家(speculatorスペキュレイター)がリスクを取ることでお金の流動性が確保できているから世の中の金融システムが維持されているのです。
しかしゼロサムゲームであなたがプロ中のプロの投機家を相手にぶんどり合戦で勝ち組に入れる自信がないのならば参加しない方がよいと思います。
つづく
超簡単・・・お金の運用法(その2)
超簡単・・・お金の運用法(その3)
超簡単・・・お金の運用法(その4)
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