2010年9月17日金曜日

日本経済の処方箋(その2)

いよいよ中国が世界第2位の経済大国になります。
それに引き替え日本経済の衰退は、目を覆うばかりです。

でも、経済の衰退は表面的な部分で、先進国の中で日本だけが水面下でもがいている原因はもっと深いところにあります。

今の「日本」は、国家として目標を見失い迷走しています。
「日出ずる国」「エコノミックアニマル」「ジャパン・アズ NO.1」と言われた頃は右肩上がりで、明確な目標があり、先進国に追いつけ追い越せの世の中でした。

現在は、「どうしたらいいの?」「どうしようもない!」と言う気分が横溢し、長期低迷の世界で、若者たちがもがき苦しんでいます。

「景気」は国民の気分に左右されます。
実体経済がよいと「景気」がよくなるのではなく、国民が「明日はもっと良くなる」と信じ、浪費をすることで実体経済がよくなるのです。

過去のバブルの教訓から導かれたスパイラル現象では、人々の「予想」(明日はもっと良くなる)がもっとも重要な要素となっています。

その予想は、人々の「気分」次第で変わります。
景気上昇は、そのような「気分」の大波に世の中が呑み込まれた結果として来るのです。

ですから、政治家は国民に「夢」と「希望」を与えなければなりません。
最近の歴史ブームを見ると、若者たちは近代、現代に「英雄」が見いだせないため、遥か遠い戦国時代に自分なりのヒーローを見いだし、自己のアイデンティティーと生きる希望を見いだしているように思えます。

やはりその根元には、「日本」と「日本人」に対して誇りを持ちたいと言う気持ちがあるのではないでしょうか。

国が若い人たちに「アイデンティティー」を持たせきれていない結果が現れていると思います。

一方、経済においてもエコノミストや経済学者の書いた論文みたいな景気対策が横行し、政治も「経済」と「歴史」を知らない、「票」しか見えない3流政治家ばかりが目に付きます。

一流の政治家は、国家の危機に臨んでは国民に「勇気」を与え、失意落胆している人々に貧しくとも「生きる希望」を灯さなければなりません。

「子供手当2万6千円」はポピュリズムそのもので、最低の政治屋のやることです。
ましてや1万3千円と比較して対立するなど権力闘争もいいかげんにしてもらいたいと思います。

今政治家がやるべきことは、迷走する「日本」の「あるべき姿」と「進むべき方向」を示すことです。
そのための課題は、

○「日本」は世界の中でどの位置を占めるべきか

○尊敬される国とは何か

○国民が「勇気」と「自信」をもって外国で働くためには、どんな教育が必要か

○「日本」はこれから何をして利益を得て行くのか

○そもそも「国益」とはなにか

これらを明確に示す政治家がステーツマンだと思います。

日本の課題は山積しています。
しかし国民が迷走し意気消沈している今こそ、目先の予算配分ではなく、国民に「勇気」と「自信」を持たせる国家ビジョンが必要なのです。

方法論は後回し。
「日本の将来像」を描いてもらいたいのです。
目指す方向が見え、国民の気持ちが前向きになれば、自ずと景気もよくなります。


日本経済の処方箋(その3