2011年5月9日月曜日
FX(外国為替証拠金取引)における最適な倍率(レバレッジ)は何倍にしたらよいか?(その2)
最初に最適な倍率とはなにかという定義を明確にしておきたいと思います。
人によっては最も儲かる倍率と理解されてしまうかも知れませんので、私の考える「最適」についてはっきりさせておきます。
私が意図している最適倍率とは安全倍率と言ってもよいものです。
すなわち、95%超の確率においてロスカットされることなく(安全性)、かつその範囲において最大のリターン(最適リターン)が得られる倍率のことです。
ではどのような考え方で最適な倍率を求めるのかを段階を追って説明します。
1 レバレッジについて
図1にレバレッジと投資元本の関係を示しています。
為替レート(米ドル/円)が100円とすると、
100円で1米ドルを買った場合、レバレッジは1倍です。(取引手数料であるスプレッドは考慮していません。)
50円で1米ドルを買った(売った)場合は2倍、10円で買った(売った)場合は10倍となります。
注:FXでは投資元本は為替取引を行うための「証拠金」ですから、現実は10円で1米ドルが買えるわけではありません。
為替取引では通常外貨を手に入れることが目的ではなく、「差金決済」により利益を上げることが目的となっています。
したがって、差金決済において十分な証拠金があればレバレッジを掛けた「取引」が可能となります。
図1では投資額を緑色の四角で、売買値(為替レート)を青色で示しています。
売買値(為替レート)は時間とともに変化し、買値との差により損益が発生します。
1米ドルを100円で買った場合、110円(ドル高/円安)に値上がりしたら10円の利益となります。反対に90円(ドル安/円高)に値下がりしたら10円の損失(為替差損)となります。
この場合、10円の損失額を超える証拠金があれば取引は継続できます。
図1では、緑色の投資額(証拠金)はレバレッジが10倍の場合でも為替差損の額を上回っている状況を示しています。
2 為替変動のリスク
リスクは一般に変動値(為替レート)の標準偏差(σ)として表されます。
(損切りの哲学と理論(その3)参照)
米ドル/円のリスクは次のとおりです。
期間2008/1/1~2011/3/31(リーマンショック前から最近までの期間)
為替レートの平均値 93.9円(85.6円)
最高値(円安) 110.7円(94.76円)
最安値(円高) 77.16円(77.16円)
リスク σ=8.22円(4.08円)
注:カッコ内は期間を1年間(2010/4/1~2011/3/31)としたときのデータです。
通常リスクを評価する場合は平均値±2σを取りますから、想定内としての変動域は次のとおりとなります。
高値 93.9+2×8.22=110.34円(93.76円)
安値 93.9-2×8.22=77.46円(77.44円)
契約レート(買値、売値)からこの高値または安値までの価格差がリスクとして想定すべき範囲となります。
この関係を図2に示します。
リスクσは、3年間では8.22円、1年間では4.08円とデータ期間が長いほど拡大します。
しかし1日から30日のように短期間のデータを取った場合には極端に小さくなるということはありません。
短期間のリスクについては次回で分析します。
その1
その2
その3
その4
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